たちばな慶一郎 過去の国政報告

国政報告(第118号)

2011年12月25日(日)

 クリスマス寒波による積雪を心配しながら、今年最後の国政報告です。自然災害、経済、外交それぞれに予期せぬ出来事が際立った年でした。想定外の事態にも対処できる強靭な体制づくりと、緊急時の危機管理の重要性を認識させられた一年でした。

 昨年の参院選で衆・参両院の「ねじれ」が生じた中、菅政権は課題解決内閣を表明しながら、本気で何に取り組むのか曖昧なまま通常国会を迎えました。成立を公約した郵政改革・労働者派遣・地球温暖化の三法案に手をつけられぬまま、歳出が膨らんだ23年度予算案を巡って行き詰まりつつありました。そんな中で3月11日の東日本大震災が発災し、我が国は地震・津波・原子力発電所事故の三重苦に見舞われることとなりました。 被災された方々のご苦労はもちろん、自衛隊、警察、消防を始め、官民挙げて多くの方々の大変な努力と温かい支援により、復旧・復興が進められています。この間、日本にとって初めての経験となった原子力発電所の深刻な事故について、当事者の東京電力はもとより、菅総理始め内閣の対応は十分だったのか、その評価は、将来への教訓の意味も含めて国会の調査委員会に委ねられています。

 復旧・復興が緊急課題となる中、与野党協議が主導して、23年度予算、第1次補正予算が粛々と成立しました。やがて、錯綜する被災地対策をなす上で、菅総理の資質に与野党問わず疑念が生じ、あわや不信任案可決という所で「遠からず退陣」との表明に至りました。第2次補正予算、公債特例法案、再生エネルギー買取法案の3つを条件とする菅総理の居座りが続き、通常国会は70日間延長され、8月末に漸く退陣が実現しました。

 2年続いての民主党代表選の結果、5候補の中から野田氏が選出されました。「低姿勢」で滑り出したものの、前任者が課題を解決せず、空白期間を作った後だけに厳しい政権運営が続いています。欧米の財政危機に起因する受け身の円高、北朝鮮の金総書記の死去と、我が国を巡る環境は激動しています。沖縄の普天間基地の移転問題が解決せず、日米関係の再構築が課題となる中、国内の懸念を払いのけてTPP交渉参加を表明したものの、重要品目の扱いについて両首脳の発言が食い違い、「二枚舌」と酷評されました。一川・山岡二大臣の発言や資質への疑念から参議院で問責決議が可決されるや、協議が整いつつあった重要法案を残して臨時国会を閉会した点は、「課題解決の先送り」であり、前任者と同じ誤りに陥ってしまいました。

 年末に向け、消費税の税率引上げがどのように決着するか。来年早々、通常国会では野田総理の「志と覚悟」、それを成し遂げる上での「段取り」が真に評価される重大局面を迎えます。新年は1月第2週からのスタートとさせて頂きます。良いお年をお迎え下さい。

国政報告(第117号)

2011年12月23日(金)

 今週は、地元の挨拶廻りをしながら、東京でも第4次補正予算の内容や新年度予算編成の状況など、情報収集に努めました。補正予算による地方の基金積み増しで、妊婦健康審査が24年度も無料で継続することは良かったと思います。同時に、石井知事も指摘されるように、無料化を継続するなら制度化して当初予算に組み込むべきと考えます。基金という形で補正予算頼みになることこそ、今の国の予算が「歳出オーバー」である証拠です。マニフェストの見直しを強く求めるものです。

 今回は、富山を中心に、国の事業の今後の進捗見込みについて報告します。近い将来、地域の交通体系が大きく進展することがはっきりしています。まず、北陸新幹線の26年度末までの金沢開業は確実な情勢です。地域の皆様の理解もあり、高架橋が来年にはほぼ完工し、レール敷設に入るそうです。年末に向け、敦賀までの延伸も認可・着工の見通しです。現在整備中の北海道・北陸・長崎の3区間の残事業費が1兆円余りとなり、最近の予算実績である年3千億円程度で見ると、3年分しか残っていません。次の区間の用地を取得し、工事の準備に入る機が熟しています。

 高速道路については、能越自動車道の氷見北インター・灘浦インター間が来春供用され、さらに、県境を超えて灘浦・大泊間が26年度に供用の予定です。石川県側でも工事が着々と進んでおり、北陸新幹線開業時には七尾まで結ばれることになります。南に伸びる東海北陸自動車道の4車線化は、残念ながら政権交代に伴い、「再検討」とされましたが、既に費用対効果の検証が終り、建設主体となる中日本高速道路株式会社の経営体力のチェックを終えればゴー・サインが出る運びです。岐阜県側の白鳥・清見間から整備されますが、対面交通による事故を防止する観点からも、富山県内の早期整備を求めたいと考えます。

 また、追加インターとして、南砺(福野)、高岡砺波の2か所が認められており、2-3年後にも供用の見込みです。城端、氷見南、福岡でも可能性があり、能越道の無料化も含め、近い将来の実現が期待されます。

 伏木富山港についても、国において新潟港と並んで日本海側の総合的拠点港湾に位置付けられ、東アジア地域との人流・物流の窓口として必要な整備が進むことになりました。来年秋には富山新港の東西を結ぶ「新湊大橋」も供用の予定です。また、今朝の新聞によれば、来春には富山空港に台北便が就航するとのこと、まさに「陸・海・空」揃って、交通網の充実が確実となっています。

 これからは、地理的条件の向上を地域の活性化にいかに結び付けていくかが問われます。人材に、生活に、産業に、将来のための投資を、官民ともにどのように進めていくか、良い意味での正念場となりそうです。次回は年末となりますので、一年を振り返ります。

国政報告(第116号)

2011年12月17日(土)

 この冬一番の冷え込みで、窓の外は昨夜からの雪が積もって冬景色が広がっています。臨時国会が閉会して一週間、内閣は新年度予算編成と社会保障・税一体改革の取りまとめ作業を進めています。野党である私は、論点を整理し、国の前途にとって良い事は是、悪い事は非の立場で通常国会を目指します。

 国政における焦点の一つは消費税の引上げであり、その時期と税率が問題です。地方自治体の財政運営を経験した立場では、医療・保険・年金といった福祉に係る経費の多くは一定のルールで国が国民に支払っていくものであり、産業振興、公共投資など政策的経費とは別立てで収支を取るべきだと思います。よって、社会保障関係費を消費税と保険料で償い、他の税目で政策的経費を賄う形に変えていくことが望ましいと考えます。

 さらに、議員・職員の人件費の縮減はもとより、公債費の抑制に努め、国と地方の財政調整のルールも安定的なものに見直した上で、国の安全・安心と明日への飛躍のための投資を怠らない事が大事です。「投資」といっても、公共事業だけでなく、民間の設備投資や研究開発を促進する施策や人材育成も含めた広い意味での経費です。明日への持続的な投資無くして、経済の成長は有り得ません。成長を通じて税収を増やし、効果的な再投資に充てることこそ、健全な財政運営です。

 こんな財政運営の基本姿勢のもとに中期的な社会保障の水準を提示し、消費税引上げに対する各界各層の理解を求めていかなければなりません。今朝の報道では政府の社会保障の考え方が概ねまとまったようですが、将来の医療・介護保険、年金運営の姿や医療費の管理手法が明確に示されたとは言い難い曖昧な内容です。逆に、問題の多い2年前のマニフェストに先祖帰りして、後期高齢者医療保険制度の廃止や歳入庁の設立を打ち出してしまいました。この2年間、政権の中で前進させられなかった難題を逆に高らかに掲げる手法こそ、この政権の根本的な欠陥です。

 野田総理が志を立てて実現しようとしている「消費税引上げ」という難しい目的を達成しやすくするために、どのような手順で進めるのか、施策の細部において何を守り、何をあきらめるのか、そんな慎重かつ基本的な戦略が欠如しています。議員・職員の人件費の縮減も未だ実現せず、人事院勧告という法定のルールを守った上で引き下げるべきという私どもの主張に歩み寄る気配もありません。総理が消費税に命運を賭ける覚悟があるのなら、関連する諸問題の調整にもっとご自身の色を出し、リーダーシップを見せるべきです。そんな助言をするスタッフが官邸周辺に集まっていないことが、支持率の続落を招いています。大上段に振りかぶった「一体改革」が雲散霧消しかねない剣が峰、しっかり見詰めていきます。来週は地域課題を扱います。

国政報告(第115号)

2011年12月10日(土)

 第179国会の会期末の朝を迎えました。東日本大震災からの復旧・復興を主眼とする第3次補正予算とその関連法案を中心に審議が進み、復興庁の設立も決まりました。一方、郵政改革法案、公務員人件費引き下げ法案など、重要法案については全て先送りとなりました。政府・与党では、16日(金)ないし22日(木)までの会期延長案も模索されたようです。最後は一川防衛大臣を巡る諸問題に見舞われ、新年度の税・予算の検討時間も必要ということで、あっけない幕切れとなりました。

 5日(月)に「政治とカネ」をテーマに、衆議院予算委員会の集中審議があり、稲田朋美議員の「パネル持ち」をさせて頂きました。数週間ぶりに間近で見る野田総理の顔にはツヤが無く、眼が濁った印象を持ちました。政権発足から3か月であっという間に疲労が蓄積する姿を鳩山・菅・野田の3総理で身近に実感してみて、「総理のイス」の重さもありますが、余程の覚悟と周到な準備が無いと務まらない職務なのだとつくづく考えさせられます。

 昨年秋の臨時国会で、菅前総理が「有言実行」を掲げ、早期成立を所信演説で明言した3法案は、郵政改革法案、労働者派遣法案と地球温暖化対策法案でした。この3つが未だ成立していません。参議院の与野党勢力が逆転しているせいだ、と言われるかも知れませんが、今となっては、内閣側のスケジュール管理のまずさに大きな問題があると思います。

 事実、労働者派遣法案については、民主・公明・自民の3党で修正協議が整っており、会期をあと数日延ばせば成立する状態でした。しかし、沖縄防衛局長の暴言と、その後の一川大臣の対処のまずさから、参議院での問責決議が避けられない状況となり、国会を閉じて追及を避けた方が良いとの判断で、法案は継続審議になってしまった訳です。

 総理の座に就いた以上、政権の安定・継続を目指す事が大切なのは理解するのですが、それは物事を成し遂げるための手段であって、自らの掲げる政策目的が達成されなければ、成果にはなりません。この点、重要法案を来年の通常国会に先送りしたことは、成果を出せなかった上に、この後の「行き詰まり」をより確実にしてしまいます。それは、国益が実現されないということです。

 野田政権の発足以来、繰り返し綴ってきた、「段取りの大切さ」が今後もキーワードだと思います。いくら低姿勢を貫いても、結果が出なければ、発信力が無いとみなされてしまいます。年末に向けて社会保障と税の一体改革の取りまとめに入るわけですが、これまでの物事の運び方では早晩暗礁に乗り上げるでしょう。

 私にとっての今国会は、質問が6回、質問主意書が14通という活動状況でした。内容については、このホームページにアップされています。問題意識を温めていた法科大学院と司法試験の在り方について、稲田議員の声掛けで法務委員会で「今を生きる若い世代」の視点で質問できたことに、自分なりには満足しています。明日からは、地元を主体に皆さんの声を聴きながら、通常国会での活動の準備を進めます。総選挙も早まりそうな予感です。気を引き締めて年末に向かいます。

国政報告(第114号)

2011年12月3日(土)

 師走に入って東京にも冷たい雨が降り、黄色く色付いたイチョウの葉が風に舞っていました。ついに臨時国会の会期末まで1週間となり、東日本大震災関連の補正予算と法案は審議が進んだものの、郵政改革法案と公務員給与の引き下げ法案は見通しが立っていません。会期を延長して成立を目指せば、年末までの社会保障・税一体改革の取りまとめが困難となり、新年度予算編成も厳しくなります。当初から懸念していた、「段取り」の問題がここへ来てはっきりしてきました。

 野田内閣が発足して3か月。前のお二人の首相とは異なり、低姿勢に徹し、財政再建という当初の志を大切にしている姿は評価します。しかし、「覚悟と志」があっても、それをどのようにして実現するかという「段取り」が組めないと、日本丸は前進しません。まして国際関係面での課題も、TPP、欧米の財政危機と円高、地球温暖化対策と否応なく押し寄せて来ています。国会としっかり向き合い、官邸自らが重要案件の処理に周到なシナリオを書けなければ「政権担当能力」が無いと言われてもしかたありません。

 今週は、防衛省沖縄防衛局長の暴言の処理につまずきがありました。野田総理自身の陳謝のコメントが遅れ、仲井真知事へのお詫びも、当初は事務次官に任せて批判を浴びてから一川大臣が出向く形になり、官邸の「危機意識」に疑問符がつきました。一川大臣には、就任当初の「防衛問題には素人」発言からして問題がつきまとっており、週末の報道では与野党双方から辞任を求める声が上がっています。当然、野田総理の任命責任に直結する問題です。朝霞の公務員宿舎の建設凍結、TPP参加協議を巡る日米間の公式発表のズレ、そして今回の沖縄防衛局長の暴言と、一つ一つの事案が野田総理の力を削いで行きます。そもそも、マスコミとの関係でも、小泉総理以来の「ぶら下がり取材」を拒否して、自らの都合で記者会見する形に変えたことが災いしています。どうしても、官邸担当の番記者にすれば、野田総理に批判的な気分になっている筈で、内閣に不利な案件の報道が大きくなってしまうものと推測します。

 このままの展開では、社会保障・税一体改革の取りまとめを成し遂げても、2年前の総選挙の際のマニフェストとの違いは明確なことも含め、野田内閣自身が行き詰まる流れは避けられないと思います。自由民主党は、総選挙を通じてもう一度政権を担当させて頂くことが至上命題ですが、民主党の三代の内閣の推移を目の当たりにして、政権を担うことの責任の重さを痛感させられます。何を成し遂げたいのか、そのために何を妥協し、何を先送りし、何を我慢するのか、などなど十分に吟味・思案して歩み始めないと、あっと言う間に足をすくわれる。この瞬間を自分の糧に、との思いで、終盤一週間に臨みます。

ページトップへ戻る △