たちばな慶一郎 過去の国政報告

国政報告(第125号)

2012年2月25日(土)

 週末、富山へ戻ってみると雪が随分融けていました。さすがに春が近付いているんですね。20日(月)から予算委員会に出ずっぱりで、24日(金)には地方公聴会で滋賀県大津市に出向きました。昨年は同期の斎藤、小泉議員が務めた予算委員を今年は伊東議員と私が引き継ぎ、連日、総理以下閣僚の質疑・答弁を目前にできるのは、得難い経験です。

 今週は、新年度予算と併せて、社会保障の改革案や円高対策についても論戦が進みました。与野党議員の要請もあって、日本銀行が一段の金融緩和を行い、物価上昇率についても初めて「1%を目途とする」と表明したことで、為替は1ドル80円台に下落し、株価も上昇しました。年金制度の改正について、政府側は民主党の提案する新制度への移行を検討しつつも、目先は現行制度の改善で対応するとし、その内容は過去の自公政権の提案と変わらないものに落ち着いています。

 政権交代から2年半が経ちましたが、政権運営のスタイルは別として、政策面では、内政・外交ともに「学べば学ぶほど」、交代前の方針に近付いていくことを実感します。確かに高校授業料無償化、戸別所得補償、子ども手当については、民主党政権の新機軸ですが、その分、赤字国債の発行が増え、農業基盤整備の予算が半減するなど、持続性のないことがはっきりしてきています。いわば、政権交代という壮大な実験をしてみて、日本の抱える課題と対応策について与野党を超えて共通認識が深まったといえます。

 こうなると、問われるのは「実行力」です。野田総理の掲げる「決められない政治からの脱却」もまさにその通りです。それが、国民に実感できていないから、支持率が下がり、政治不信が強まるのです。実行力を言い換えれば、「政権担当能力」。その中身は、私の主張としては、「志・覚悟・段取り」です。23日(木)に、国家公務員の給与を24・25年度の2年間、平均7.8%引き下げる法案が衆議院を通過しました。東日本大震災で20兆円近く出費が増えたことへの対応が主眼です。これに併せて、政府は、昨年秋の人事院勧告を実施しない実績を作り、職員組合と団体交渉で給与を決定するシステムの導入につなげようとしました。しかし、公務員の労使関係がいかにあるべきかという問題は十分な議論が必要なテーマであり、何かに紛れて既成事実を作ろうという姿勢は、私たち野党には許せないものでした。3か月近い3党協議の末、自公案を民主党が丸のみする形で、人事院勧告を実施した上で引き下げを行うことになりました。

 この問題一つをとっても、野田総理は、消費税に全てを賭けるというのなら、譲歩の決断を早くするべきだったと思います。限られた時間の中で、論点を整理し、確固たる提案ができるか、来週から「危機の3月」です。

国政報告(第124号)

2012年2月18日(土)

 2月半ばを超えてもまだ週末ごとに寒波が到来し、冬が居座ったままの状態が続いています。梅の開花が待たれる気持ちを万葉集の歌に託して、16日(木)、予算委員会の一般質疑に臨みました。過日の本会議での討論を深彫りして、野田内閣の当面する諸課題について、「絞り込みを行い、順番を付けて取り組むべきである」と岡田副総理の見解を質しました。思いが少しは届いたのか、「仕事の整理は必要」との認識は共有できました。

 現在、予算委員会では、新年度予算の審議が進められています。慢性的な財源不足のため、年金積立金への繰入金の一部を交付国債で措置し、今後の消費税の引き上げで穴埋めするというアクロバットのような予算です。交付国債とは、必要な時に現金化できる、いわば無期限の「借用証」のようなもので、これを2兆6千億円措置することで、その他の歳出項目を手当てしたことから、一面、歳出カットの勢いがそがれているのでは、と懸念します。確かに、国が対応しなければならない事柄は多岐にわたります。明日の成長のための投資、例えば教育や研究開発、また、真に困っている方々に対する福祉のための経費も大切です。しかし、歳入と歳出がここまで乖離するとなれば、聖域なき歳出見直しと、企業・個人への負担のお願いは避けて通れないと思います。

 このため、私たちは「子ども手当」や「高校授業料無償化」を一律に実施することを見直し、「高速道路の無償化」も路線を限定することを求め、予算編成を前に三党協議で反映された事項もありました。しかし、高校授業料無償化については、予め三党間で協議をすることになっていたのに、今日まで与党側から何らアプローチが無く、13日(月)の予算委員会で我が党の下村議員から指摘があって、輿石幹事長から謝罪を併せて検討する旨の約束がありました。このような面でも、野田総理をサポートして様々な「段取り」を間違いなく組むスタッフの欠如が懸念されるのです。予算審議は佳境を迎えており、歳出は適切か、しっかり吟味していきたいものです。

 ここしばらくは、月曜から金曜まで予算委員会にかかりっきりですが、党の政務調査会の活動にも参加しています。特に、1期先輩の赤澤議員と取り組んでいる「地方都市再生研究会」では、全国各地のまちがそれぞれの個性を生かして活力ある都市となるために、国の施策として何が必要か改めて議論しています。もちろん、地方分権の時代ですから、それぞれのまちの自主的な取り組みが大切です。しかし、医師不足の問題一つをとってみても、臨床研修医制度の在り方の見直しや、高速道路のミッシング・リンクの解消は国の責務です。また、企業の生産活動が海外に移転していく中で、我が国の各地に新たな製品開発に取り組む「マザー工場」や研究開発機能を集積させていくよう促すことも必要です。教育の機会の確保、6次産業化の取り組み、安心して暮らせる地域づくりなど、基本的な生活環境を保障していくことも人口減少時代には重要な視点です。

 私どもの任期は長くて来年8月末までです。「これからの日本の各地域の在り方」の議論を深め、皆様に訴えるビジョンづくり、冬晴れの東京で雪の富山に想いを馳せながら、取り組んでいます。

国政報告(第123号)

2012年2月11日(土)

 3週間振りに富山で報告を綴っています。立春をはさんでの思いがけない大雪に驚かされましたが、窓の外の陽射しは春の足音を感じさせます。山沿いの地域や新潟県など、今もご苦労されている方々が多いと思いますが、もう一息です。政府も、自治体に対し財政面の支援を行うことになりました。後は除雪作業で事故が起こらないようにと念じています。

 東日本大震災から今日で11か月。同期の小泉進次郎議員は、党青年局長として、毎月11日に被災地を訪ねる活動を始めました。若々しい積極的な行動で、政治が社会に対して果たすべき役割をしっかりこなしていると思います。後方支援の私の方は、総務委員会での質問、本会議での討論に続いて、来週は予算委員会の一般質疑を予定しています。

 本会議の討論では、この報告で発信してきた野田内閣の歩みへの危惧を率直に伝えるよう努力しました。「段取り」の問題、課題を背負い過ぎ、身動きが取れない現状、真価が問われる正念場、という認識を述べました。党を代表しての討論だけに、政策面での厳しい指摘も多々盛り込まざるを得なかったのですが、富山県人として自分が一番伝えたいことが総理に届けば、と願っています。

 国会は、8日(水)に第4次補正予算が成立し、9日(木)から新年度予算の審議が始まりました。この間、沖縄の米軍基地再編について、普天間基地の移転を切り離し、できることから進めるとの日米合意が発表されました。また、TPPの交渉参加を巡る日米事前協議が始まり、農産物、保険、自動車の三分野が焦点となりました。前者には、普天間基地の固定化につながらないかという懸念、後者には、交渉への正式参加までの時間が相当かかる予感があります。ただ、善し悪しは別として、当面、外交面の課題の動きが緩慢になり、結果、野田内閣が「社会保障・税一体改革」に力を集中できる環境となりました。

 そこで、政府の取り組みですが、税制変更の前提となる社会保障制度の全体像は未だに不明確です。予算委員会の審議を通じ、民主党自身が、今後の年金制度について現行制度の手直しで行くのか、新制度の導入で行くのか、決めかねている現実が鮮明になりました。また、後期高齢者医療保険制度を本当に廃止するのか、歳入庁は本当に設立するのか等々、平成21年夏の総選挙の際のマニフェストの扱いについて、自ら深みにはまって決められない状態です。新年度予算案自体は、高速道路無料化の断念、子ども手当の見直しなど、昨年の与野党協議の成果も踏まえて政策面での対立点は少なくなっています。ただ、歳入と歳出の大きなギャップが赤字国債の大量発行につながっています。これを受けての税制改革であるだけに、野田内閣が政府・与党案自体をまとめ切れるのか、3月は予断を許さないものと思います。ではまた来週。

国政報告(第122号)

2012年2月4日(土)

 富山をはじめ、北東日本は、大雪となっており、皆様にもご苦労が多いものと思います。国の対策も国会として、しっかり求めていきます。今週は、第4次補正予算の審議が進みました。今回の報告は、本会議での自由民主党を代表した賛成討論の原稿をもって代えます。

(はじめに)
 自由民主党の橘慶一郎です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、平成23年度第4次補正予算案について、以下の重要な問題点を指摘しつつ、賛成の立場から討論を致します。

(野田内閣の昨今の政権運営について)
 野田内閣が発足して約5カ月が経過しました。昨年夏の代表選の際にご自身が披露されたように、野田総理は「富山の孫」であります。富山県民の一人として、就任当初の低姿勢な態度や、「正心誠意」という信念には共感を覚えたところです。それだけに、最近の総理の言動から、当初、国民が期待した丁寧さ、誠実さが失われつつあるように感じられるのは残念です。
 総理には、「社会保障・税一体改革」を成し遂げたいという志、また、そのために相当の覚悟があるものと信じたいところです。しかし、この大きな課題を成し遂げるための「段取り」ができない、いや、かえって後期高齢者医療保険の廃止や歳入庁の設立など、手つかずの課題まであれもこれもと持ち込み過ぎて、目的の達成が危うくなりつつあるのが現実の姿です。
 あえて、富山ゆかりの総理故に直言させていただきます。なぜ、昨年末の臨時国会を延長せずに閉じさせたのですか。労働者派遣法を始め、前内閣からの案件の幾つかは、後数日で成立する局面でした。また、ご自身の2009年総選挙の際の、マニフェストのルールに関する発言について、谷垣総裁が先の代表質問でお伺いした際、「現在の政権任期中において消費税率の引き上げは行いません。従って、公約違反ではありません」と開き直ったかのような答弁をされました。なぜ、正心誠意、自らのマニフェストの限界を認められないのですか。
 与野党協議が続いている、国家公務員給与引き下げ等の案件についても、解決に向けたリーダーシップを発揮されるべきと考えます。とりわけ、国会において一つ一つの案件を審議するためには、一定の時間が必要な事は常識であると思います。先の臨時国会では、いわゆる「空転」が無かったのに、内閣提出の法案成立率が4割弱と異例に低い水準に留まったことを是非重く省みて下さい。内閣として、何を第一に成し遂げたいのか、何を後回しにするのか、持てる力を集中されるよう、強く求めるものです。
 なお、予算委員会でも指摘された、「議事録未作成問題」と「年金試算の隠ぺい問題」について、一言ずつ申し上げます。
 議事録の未作成は、政策決定過程の文書作成を義務づけた公文書管理法に抵触するものです。総理も財務大臣として、そして首相として継続的に災害対策本部に出席されていたはずであり、当然責任を問われる立場にあります。
 また、最大7.1%もの消費税の引き上げが更に必要となる新たな年金制度の試算について、なぜ、公表を見送ったのですか。年金制度の抜本改革は2003年のマニフェスト以来民主党の一丁目一番地であり、「一体改革素案」にも、来年の国会に法案を提出すると書いてあります。それならば試算を含め、全体像を国民に堂々と示し、議論を交わそうではありませんか。野田総理・代表に強く求めます。

(平成23年度第4次補正予算案について)
 それでは、本論に入ります。
 平成24年度予算政府案については、今後詳しく審議が行われる訳ですが、ここで2つの素朴な疑問を申し上げます。
 1つは、6年ぶりに一般会計総額が前年度を下回ったというのは本当でしょうか。
 もう1つは、中期財政フレームで定めた歳出の大枠約68兆4千億円と新規国債発行約44兆円を堅持できたのは本当でしょうか。
 答えはどちらも「No」であります。この「からくり」は、基礎年金国庫負担割合1/3から1/2への引き上げ経費約2兆6千億円を交付国債発行に求めたことと、一部経費を第4次補正予算案に付け替え、"隠れ蓑"として利用したことで成り立っているのです。
 消費税の増税を提案するのであれば、これまで以上に厳しく歳出の削減を図る姿勢を見せるべきであり、安易な補正予算への付け替えは問題外です。
 そもそも、4次補正予算の目的は、財務省の「補正予算のポイント」によれば、「整理整頓のため」と書かれています。復旧・復興に向けての取り組みとも、経済対策とも言えない、多方面に配慮した計数整理、いわば、技術的な補正を行うことが、この局面で真に適切といえるのでしょうか。内閣には、厳しい問題意識を持って事に臨んで頂きたいのです。
 歳出の中身ですが、3次補正予算ないし24年度当初予算に計上すべきものが大半です。問題点を3点申し述べます。
 第一は、中小企業への資金繰り支援です。中小・小規模事業者への資金繰り支援は不可欠ですが、なぜ、3次補正で思い切った計上をしなかったのか、疑問です。
 復興に加え、円高等足下の景気下ぶれリスクを含め万全を期すべく、わが党は、3次補正の閣議決定前の10月20日に1兆円規模への拡充を求めておりました。それにもかかわらず、3次補正には約6,500億円しか計上せず、年度末が迫ってからタイの洪水対策などという名目で4次補正に計上することは理解しがたい。後手後手の対応の見本のような事例であります。
 第二に、高齢者医療・子育て・福祉等への対策です。24年度末までの基金の延長、さらには23年度当初予算に計上されていた経費の基金まわしなどにより約5,000億円もの金額が4次補正に盛り込まれていますが、いずれも24年度に必要となるものであり、本来は本予算で対応すべきです。特に、基金の延長決定がずれ込んだ事は、事業を執行する自治体や国民に無用の心配を与えたものであり、政府の反省を求めます。
 第三は、食と農林漁業の再生に必要な経費や環境対応車普及促進対策費です。
 政府・民主党は、農業基盤整備予算等を今回の補正で800億円程度復活させていますが、自公政権の政策を否定し、大幅削減しておきながら、ここで復活させるという政策迷走の最たる例であります。
 また、強い農業づくり交付金は、24年度当初予算案ではわずか21億円程度しか計上していないのに、4次補正で245億円を措置しています。そもそも、こうした項目は当初予算で計上すべきものです。年度内に消化できるのか甚だ疑問です。
 エコカー補助金については、自公政権時に導入された政策であり、一定の成果をあげてきました。しかし、民主党政権は、平成22年9月に、補助金の役割は終了したとして廃止した経緯があります。何故、この時期に3,000億円規模で復活させるのか、明確な説明が必要です。
 また、税制のグリーン化の一環として自動車課税を見直し、「政策減税」の形で実施すべきではないでしょうか。
 最後に、今回の第4次補正予算の財源は、税収の上振れ分と国債費の下振れ分によって賄うこととされています。
 しかし、この先、東日本大震災からの復興のためには、被災地の実情を踏まえたきめ細かい対応が必要となります。剰余金は、復興のための財源に優先的に充てるべきではなかったのでしょうか。

(結びに)
 以上、4次補正予算案の問題点を指摘いたしました。
 ここに、我々は、被災地の一日も早い復旧・復興、そして日本経済の再生、持続可能な社会保障制度の構築に向け、全力を傾注し、邁進することを改めて決意するとともに、わが党はこの補正予算案については、不本意でありますが、賛成するものです。
 総理、私ども富山県民は、一度は立山登山を経験します。頂上を目指し、一歩一歩、細心の注意で山道を踏みしめて行きます。内閣が登る山が、進む道が、これで正しいのか、今が正念場ではないかと申し上げ、私の討論と致します。
 ありがとうございました。

ページトップへ戻る △