2013年3月

国政報告(第176号)

 3月の最終週、東京の桜は今が最高潮です。今週は寒い日もあったお陰でお花見の期間が少し長くなりました。次は富山の桜が楽しみです。この間、国会では年度末案件の処理が参議院に移り、25日(月)から3日間連続で総務委員会が開かれました。省内で国会対応で一番ご苦労されているのは新藤大臣で、本会議、予算委員会を含め、殆どの質問の答弁をこなされています。私たちはほんの少しお助けするだけで、私については、郵貯・簡保の新規業務の認可手続きと東京タワーから東京スカイツリーへの放送電波の移転に向けた準備の進捗状況の2問に答弁しました。参院総務委員会には、同郷の又市議員、森田議員が所属されていて、短時間ながら毎回質問に立たれるので、お答えする機会を楽しみにしています。

 28日(木)には衆院本会議で50日間の暫定予算が可決され、29日(金)の参院本会議で年度末案件とまとめて可決されれば無事新年度を迎える事ができそうです。第二次安倍内閣がスタートして3カ月、第一コーナーを通過し、次は、25年度予算案の衆議院通過が課題です。一方、国民の税や社会保障手続きを効率化するために番号制度を導入する「マイナンバー法案」の審議も27日(水)から内閣委員会で始まっています。この法案と、各地の裁判所の違憲判決に対応する衆議院の定数是正法案がいわば今国会の目玉といえそうです。民主党政権の折に良く指摘したように、課題の解決は段取りを組み、先のスケジュールを良く練って進める事が肝心ですが、安倍内閣はこのことがキチンとしている事で安定感を増していると見ています。

 総務省では、若手補佐クラスの皆さんと月1回開催する二つの勉強会を相次いで開き、NHKの外国人向け国際放送「NHKワールド」の現状と活用方策、携帯電話通信事業者の国産端末への想いと支援の現状について、それぞれ関係者にも参加頂き、理解を深めました。NHKワールドは英語放送で、CNNやBBCの国際放送のように、我が国を拠点にアジアや世界の出来事を毎時30分のニュースで伝えるとともに、日本をアピールする多彩な番組を放送しています。国内ではインターネットでしか見る事が出来ないルールになっているのがちょっと残念です。一方、国産携帯端末の性能の良さは、耐水性や電池の持続力にあり、海外でもっとアピールしていきたいものです。

 このほか、ICTを用いた地域の医薬介護の連携方策、情報通信分野のイノベーション促進方策、大震災で見直されたラジオ放送の持続方策など、省内の公式の研究会も逐次開かれました。その成果は、6月を目途に「ICT成長戦略」として取りまとめる一方、官邸のIT戦略会議や産業競争力会議に向けて総務省として発信していくことになります。

 さて来週は、我が国の地上デジタル放送の方式を採用した南部アフリカのボツワナに御礼の、そして採用を検討中のアンゴラにお願いの訪問のため一週間海外出張することになりました。次号で報告しますので、お楽しみに。

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国政報告(第175号)

 20日(水)の春分を前に、東京では桜が咲き始め、週末には早満開の見込みです。急に季節の歯車がギュッと回ったところで、国会も年度末に向けて案件の処理が進んでいます。担当の衆議院総務委員会では、地方交付税法改正案、地方税法改正案、NHK新年度予算案の3案件が、丸2日間審議の上、21日(木)に可決され、22日(金)の本会議に上程されます。来週、参議院に舞台を移し、年度内の成立を目指します。その後、50日間の暫定予算の提出・成立で新年度を迎え、さらに、4月前半には25年度予算案の衆議院通過を目指すものと思われます。

 この間、私は17日(日)の党大会、春分の日の在京当番と、休日の東京暮らしが続きました。4年ぶりに与党に転じての党大会は出席者も一段と多く、再び政権を担う気構えと参議院選挙勝利に向けた緊張感がみなぎる元気な内容でした。司会を田畑代議士、議長団の一角を高平県連幹事長が務め、富山県連も気勢が上がり、出席された堂故氷見市長の参院選地方区での勝利を改めて誓い合いました。総務委員会では、何度か答弁の場面が予定されたのですが、時間の都合もあり、政策を語る答弁の機会はありませんでした。しかし、万葉集朗唱の営みは続けるようにと、民主党の原口元総務大臣、小川元総務大臣政務官から質問で促して頂きました。「梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや(巻五-829)」、「ももしきの 大宮人は 暇あれや 梅をかざして ここに集へる(巻十-1883)」の二首を議事録に残すこととなりました。月曜日からの参議院総務委員会では、実質的な答弁も含め、また心して臨みます。

 総務省の動きについては、委員会審議のため、各種研究会も開かれず、現場見学の予定も延期しました。一方、政務官としての担当分野であるNHK予算の審議を通じ、首都圏における放送波の東京タワーからスカイツリーへの円滑な切り替えの問題、NHKの外国人向け国際放送(NHKワールド)の充実・活用、公共放送としてのNHKの運営姿勢や番組制作への期待など、様々な貴重な意見を同僚議員から寄せて頂き、心して事に当たっていきたいと思います。

 19日(火)には、超高齢化社会におけるICTの役割について、総務省のビジョンと取り組みについての取材を受けました。健康・医療・介護分野の情報通信連携や、ICTによる買い物支援、高齢者の皆さんに対するICT機器の普及など、これまで省内で議論してきたことを自分なりに整理し、他人に伝える良い機会でした。ふと気がつけば、来週で政務官の仕事も丸三カ月、ICTの横文字にも大分慣れてきました。地に足を付けながら、これまでに吸収してきたことを自分なりにまとめ直し、ICT成長戦略の取りまとめ等、当面の目標に向かって頑張っていきます。

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国政報告(第174号)

 今週の国会は、衆議院予算委員会で新年度予算案の審議が進む一方、月末の年度末を控えて税制改正など成立させなければならない案件が各委員会に付託されました。総務委員会を始め、来週・再来週は忙しい展開となりそうです。一方、TPPについて自由民主党内では17日(日)の党大会を前に、対応方針がまとまり、これを受けて安倍総理は今日(15日(金))にも交渉参加を表明する見通しです。国内にはTPPについて多くの懸念の意見があり、党も「例外無き関税撤廃」を原則とする交渉には参加しない事を含め、6項目を公約し、先の総選挙に臨んでいます。今回の対応方針は、公約の遵守を基本に、先月の日米首脳会談の結果を踏まえ、関税を維持したい農産物等、我が国の国益を明らかにしたものとなっています。この間、12日(火)には富山県JAの穴田会長始め多くの方々が上京され、県選出国会議員との会合で、本当に国益が守れるのか、真摯な訴えがありました。内閣が決断する以上、党の公約を踏まえ、皆さんに納得頂ける交渉を進めなければなりません。関係者は重大な決意を持って事に当たるものと思います。

 今後のTPP交渉の流れですが、日本の参加意思表明を受けて、これをアメリカが認める手続きが必要です。その際、日米首脳会談を踏まえ、自動車と保険について、二国間での合意が求められます。報道ベースでは、自動車はアメリカ側の関税を維持する事、保険については継続協議と言われています。総務省関係では、かんぽ生命の取り扱いが該当することになります。二国間合意を経て、我が国は本交渉に参加していくことになります。日本の農産物、米国の工業製品をそれぞれ保護する見通しとなった事から、TPPと一般のEPAとの違いは薄れたものと考えます。日本を巡る東アジアの安定のためには良好な日米関係が不可欠という、外交・安全保障面の国益を含め、守るべきものを守らなければならないと思います。

 さて、総務省の業務については、11日(月)に新東京郵便局、13日(水)にNHKの国際放送スタジオを訪問しました。新東京局は江東区にあって、東京23区と全国との郵便物を集中的に捌いており、我が国の郵便配達ネットワークの心臓部と言えます。大きな建物の中に、郵便物を番号で読み取り、行き先別に仕分けする装置が配置され、さながら工場の観です。稲澤局長は富山県出身とのことでご縁を感じながら説明を受けました。ゆうパックについては、配送のみならず、保管や軽加工など、周辺の物流業務への進出も今後は考えていくべきと感じました。

 NHKでは、外国人向けの「ワールドTV」のスタジオや編集部門を見学しました。アメリカのCNN、イギリスのBBCのように、海外から信頼される報道と日本への理解を進める目的で放送開始して4年が経過しています。業務としては軌道に乗る一方、所期の目的達成に向けてさらなる改善に取り組む時期だと思います。引き続き、現場に足を運び、ICTの様々な可能性を議論し、年央の政策取りまとめに向け、努力していきます。

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国政報告(第173号)

 今週は、4-6日(月-水)と衆・参両院で先週末の四大臣演説に対する各党の代表質問があり、7日(木)からはいよいよ衆議院予算委員会で新年度予算案の審議が始まりました。予算の性格、安倍政権により見直された内容、また、TPPへの今後の対応等が論戦の焦点となりそうです。

 私については、7日に東京高岡会の会合があり、「総務省というところ」と題して、最近の活動状況を話させて頂きました。炭谷会長はもちろん、高校時代の同級生が10人出席してくれて、政務官就任を祝うブーケを用意して激励頂きました。卒業から34年が経ちますが、こうやって折々顔を見る事ができるのは心強いです。たまたま前日の6日には、国家公務員時代にイギリスに留学させて頂いた時の懐かしい友人5人が久しぶりに集まる機会もありました。総務省の仕事を始めて2カ月余り経ち、ようやく皆さんに自分の役割を具体的に語れるようになったように思います。

 さて、政務官としての一週間ですが、7日に横浜国立大学附属横浜中学校へ電子黒板とタブレット端末のパソコンを使った授業を見学に伺いました。総務省のフューチャースクール推進事業の実証実施校として、生徒が一人一台の端末を持ち、教員の皆さんがICT機器を活用した授業に取り組んでおられます。鈴木学長、蝶間林校長始め皆さんのご案内で、1年生と2年生の理科・数学・英語・総合学習の授業を見せて頂きました。気象庁のホームページから当日の各地の天候や天気図を読み取ったり、専用のソフトウェアを使って与えられた数値でグラフをきれいに描いたりする生徒の皆さんの手際の良さに感心しました。英語では、「What am I 」(私は誰でしょう?)というクイズを学習した英語表現を用いて各自が作り、答え(「ピカチュウ」とか「非常口表示」とか、色々でした。)も画像や動画で表現していました。先生が指名した生徒の端末から瞬時にクイズの内容が電子黒板に伝達され、とんちの効いた問題と答えにクラス中が沸きました。総合学習では、鎌倉での校外学習のレポートを5人毎の班に分かれてパワーポイントで制作していました。

 授業の後で生徒代表と先生方から感想を伺いました。生徒の皆さんはICTのもたらす様々な力を通じて授業に興味を持っており、先生方はICTを効果的に授業に取り入れる反面、生徒同士のコミュニケーションが活発になるように特に注意されているとの事でした。電子黒板については、以前に富山県内の首長さん達からその効果について聴いていたのですが、この見学を通じて留意点を含め、理解を深める事ができました。

 一方、7日、フランスのオ・ラン県(ライン川上流の意)から東日本大震災への日本の取り組みを視察に来られた消防職員にお会いしたほか、「ICTコトづくり」「イノベーション創出」「G空間×ICT」「生活資源」と四つの会議に出席しました。省内では、ICT成長戦略の立案に向け、議論が急ピッチで展開しており、まさに「百花繚乱」の観があります。自分なりの視点と座標軸を大事にしながら、成果を出していきたいと思います。引き続き、総務省と国会を往復している様子を報告していきます。

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国政報告(第172号)

 先週末の安倍総理の訪米で、日米間の外交上の懸案は新たな展開を見せました。事前の予想通り、日本側は普天間基地の移設問題での具体的な努力とハーグ条約への加盟を約束し、TPPについての米側の真意を探る出方となりました。首脳間の率直な会談の結果、文書で「例外なき関税撤廃をあらかじめ想定するものではない」との合意に至りました。日本側は農産物、米側は工業製品について関心が高いことも認め合いました。一方、自動車と保険の2分野については、米側が、日本のTPP交渉参加の前に協議したい旨、明確な姿勢を示しました。これを受けて、25日(月)の自民党役員会で交渉参加の判断を総理に一任する一方、総選挙時の公約は堅持する旨、内閣に申し入れました。

 この推移について、国内では様々な反応がありますが、私なりには総理訪米に際して準備が周到に進められたことで、外交的には日米関係の再構築という目的が達成されたものと受け止めています。TPPの前途は、総理が参加の意思表示を慎重に判断されるものと思いますが、一点大切なポイントは、米側が日本の参加を了承する前に自動車と保険の2分野についての事前協議が明らかに必要となったことです。この点は私が野党時代から政府に何度となく確認してきた問題で、牛肉は子牛の検査を緩和したことでクリアしましたが、残った2点の解決策は現状では未だ見えておらず、TPP交渉参加への道のりはそう単純でもないように思います。

 今週は26日(火)に補正予算が参議院で1票差で可決・成立し、28日(木)には両院で恒例の4大臣(総理・外務・財務・経済財政担当)演説があり、新年度予算の審議がスタートしました。来週の4―6(月-水)日に両院での代表質問が行われ、7日(木)以降、衆院予算委員会を舞台に本格的な論戦が始まります。例年より1か月遅れの運びとなっており、ゴールデン・ウィーク前後の成立を目指す事になりそうです。

 安倍内閣の2カ月間は、内政・外交とも堅実な歩みとなり、与党の一員としてもまずは順調な推移にほっとしています。持ち場の総務省では、経済再生のための「3本の矢」の最後の成長戦略に情報通信分野で寄与すべく、23日(金)に有識者からなるICT成長戦略会議が立ち上がり、その下で、今週は超高齢社会構想会議と放送サービス高度化委員会が開催され、出席しました。一方、見学は千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」で電力制御システム、ICTを活用した健康づくり、さらに千葉大学の植物工場を訪問しました。この2カ月で情報通信技術(ICT)の活用分野として、医療・教育・エネルギー・健康・農林水産業など様々な分野の可能性を実感しています。いずれも、関係者のニーズをいかにうまくとらえ、ネットワークに参加する方を増やすことで「スケール・メリット」を出し、商業ベースに乗せる事ができるかが課題であり、その解決に私自身も努力していきたいと思います。

 先週の20日(水)、今週の25日(月)と、省内の若手・中堅職員の皆さんとの語り合いも始めました。テーマは、「日本の放送番組をいかに海外に売り出していくか」「日本製の携帯電話の市場シェアをいかに取り戻していくか」の2つです。職員の皆さんの日ごろ業務に裏打ちされた的確な情報と、新鮮な問題意識に啓発されるところが大きいです。「どんな番組が必要なのか」、「携帯電話にどんな工夫が必要なのか」、それぞれ月1回ペースで話し合っていこうと思っています。参議院選挙前の6月頃を当面のゴールとして、総務省での仕事を進めていきます。

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