2022年12月

国政報告(第656号)

 令和4年最後の国政報告は、地元にて綴っています。一年を振り返ると、国政上の重要課題は、コロナウイルス、ロシアのウクライナ侵略、物価高の3項目であったと思います。3年目に入ったコロナウイルスは、感染拡大が第7波に及びましたが、5度目に至るワクチン接種とウイルスの弱毒化で、社会経済活動への明確な制限無しに「共生」できそうな方向です。目下、第8波と思われる感染拡大期に入っていますが、このまま行動制限無しに過ごすことができれば、感染症法上の2類から5類への変更も俎上に上がるものと期待されます。一方、ゼロコロナ政策を強力に推進してきた中国は、対応が限界に達し、感染爆発の状況にあるようです。一連の動きを振り返ってみて、国民への健康被害を最小限に抑えながらも、集団免疫を獲得させる対処法が最善の道ではないかと思います。

 ロシアのウクライナ侵略を契機に、世界各国で自国の防衛体制を見直し、強化する動きが強まり、我が国も今後5年間で防衛費を43兆円上積みし、GDP比2%まで引き上げる事になりました。このため、「防衛3文書」を改定・閣議決定するとともに、その財源について、歳出改革や特別会計からの捻出と併せ、所得税・法人税・たばこ税など、国民から広く負担を仰ぐ方針を党税調で確認しました。防衛の強化と、その一部の国民負担については、報道各社の世論調査でも国民の皆様の一定の理解はあるものの、今後とも丁寧に説明し、議論を深めていく必要があると思います。抑止力を高めつつ、幅広い外交の展開で安全保障の実を挙げるよう望みます。

 原油高や欧米のインフレ亢進に端を発した物価高は、国の11月の統計でも生鮮食品を除く物価指数が前年同月比3.7%に達しました。このため、国も今年度第2次補正予算で29兆円規模の国費を投入して経済対策を実施しています。石油元売りへの補助金によるガソリン価格の抑制に続き、家庭用電力料金も明年1月から9月まで国が一部負担することとなりました。石炭など燃料価格の高騰により、地元の北陸電力も、今年度決算が千億円の赤字予想となり、家庭向け規制料金の45.84%値上げを国に申請しています。日本銀行は、物価上昇率は来年末に向けて再び2%以下に落ち着くとしていますが、上振れリスクも皆無ではありません。来たる春闘での賃金水準の引き上げや、下請から元請への適正なコスト転嫁など、経済を成長・分配の両面で循環させていく取り組みが欠かせません。DX、GX、スタートアップ(起業)、研究開発といった分野を主に、成長戦略を着実に実行する事が大切です。

 以上、今年を振り返ってみましたが、我が党は旧統一教会問題や閣僚の政治資金問題で政治不信を招いていることも事実であり、来年は襟を正し、緊張感を持って政策遂行に邁進して行きたいと思います。北陸新幹線を含め、新年度予算は正月明けに報告します。

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国政報告(第655号)

 先週は15日(木)まで党税制調査会の議論が続き、難航した防衛費の財源問題は、令和6年度以降に法人税、所得税、たばこ税の増税にて1兆円分を賄う方針で宮沢会長一任となりました。もっとも、開始年度は定まっておらず、来年の税調でも議論が続く気配です。法人税については、所得の小さい中小法人は対象とせず、納税額の4~4.5%を付加税として徴収することとされます。所得税は納税額の1%の付加税とし、その分、東日本大震災の復興財源のための所得税は減税となります。復興財源の目減り分は、徴税期間の延長ですべて補うこととされました。ロシアのウクライナ侵略など、国際情勢の緊迫化の下で、我が国の防衛力を強化する方針は多くの国民が理解を示している現状であり、その財源の一部を国民の負担とすることにも一定の理解が得られるものと思います。しかし、今回の内閣からの提案は、与党にとっても唐突であり、十分に議論する時間の無いまま、やや生煮えの決着となったのは残念でした。

 今週は、新年度予算の編成が最終調整段階となり、与党の北陸新幹線PTも14日(水)、20日(火)の2回開催され、懸案の敦賀・新大阪間については、環境アセス調査の遅れから、認可段階に至らず、調査費12億3500万円で用地、地下水、構造物設計など具体の事業の前段に不可欠な準備作業を進めることで了承されました。事実上の建設着手と言える内容であり、引き続き、認可のための「着工5条件」のクリアなど具体の手順をしっかり踏んで、一日も早い全線開通を実現するよう、与党として決議しました。このほか、新年度予算は堅調な税収見込みに支えられ、地方交付税が十分確保されるなど、自治体にとって明るい内容となりそうです。

 一方、地元・富山は、先週半ばの初雪に続き、18日(日)からは本格的な積雪を記録し、隣の新潟県では国道の大渋滞が生じるなど、雪害への用心が必要な時節となりました。この間、17日(土)は南砺市の片岸市議の市政報告会、小矢部市での山田参議院議員、筱岡県議の合同報告会に出席しました。次いで18日は富山県柔道整復師会の設立百周年記念式典に出席の後、射水市小杉地区で14回目のミニ対話集会、高岡市の嶋川市議の市政報告会党南砺市連の合同国政報告会と出席、挨拶する機会を得ました。開けて19日(月)には、党井波支部の皆さんが上京下さり、小渕優子組織運動本部長との面談、野上・堂故先生と私も交えての懇談会と、久しぶりの国会訪問に対応することができました。

 本21日(水)、薗浦衆議院議員が、政治資金パーティの収入の過小記載問題で離党・辞職しました。臨時国会での3人の閣僚の辞任に引き続き、党中央の一員として、国民の皆様、また、地方組織で支えて頂いている方々に申し訳なく思います。緊張感を持って襟を正し、政策本位で頑張っていくよう自戒しています。

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国政報告(第654号)

 10日(土)で臨時国会は当初の会期通りに閉会しました。久しぶりに土曜日も開会して、参議院で旧統一教会の被害者救済法案の審議を進め、夕刻に衆参の本会議で必要な法案の採決と閉会手続きを執り、内閣提出法案は21本中20本が成立に至りました。

 この中で、前号でも触れた私たち、党「地方議会の課題に関するPT」で取りまとめた地方自治法改正法案も、9日(金)に参院総務委員会で可決され、最終日で成立に至りました。地方議会の議員の兼業規制を緩和し、自治体との年間取引額が300万円以下の自営業者が議員を兼ねる事ができるようになります。このほか、自然災害等やむを得ない事態が生じた場合に議会の招集日を延期できる規定を新設し、会社の従業員が議員に立候補する際の休暇について、雇い主が配慮するよう、国の働き掛けを求める附則も設けました。この附則は立憲民主党のアイデアによるもので、このほか、維新の会、国民民主党も附帯決議にそれぞれの主張を盛り込まれ、超党派の合意で議員立法の実現に至りました。改めて、足掛け3年間、議論を進め、各所に働きかけてきた努力が実った充実感を感じています。今国会は、会期中に大臣が3人更迭されるなど、政府与党にとっては厳しい展開でした。しかし、私にとっては、国会冒頭に衆議院選挙区を10増10減とする公職選挙法改正法案の党内了解を取り付け、成立に至ったことと、最終盤に地方自治法改正法案を成立させることができ、実り多い国会となりました。

 一方、週末の地元では、11日(日)に高岡市伏木地区で、勝興寺の国宝指定記念式典が催され、祝辞を述べる機会を頂きました。折しも季節通りの時雨が降る天候下、関係者の尽力により国宝としての新たに歩みを始める勝興寺が、様々な行事等での活用を通じて適切に保存されるよう念じて挨拶しました。同日夕刻、南砺市城端地区で安達県議の後援会総会に出席、励ましの言葉を述べました。

 この間岸田内閣は、コロナウイルス対策、ロシアのウクライナ侵略を踏まえた安全保障政策の見直し、エネルギー・物価高に対応する補正予算の編成と、国政の重要課題に着実な対応を進めました。しかし、毎週末の各種世論調査では、内閣支持率が逐次低下し、厳しい政権運営を迫られてきました。国会閉会後は、来年度以降の防衛予算の増額問題が焦点となっています。今後5年間で防衛予算をGDP比2倍程度に引き上げることとし、概ね43兆円の新たな財政需要に対し、歳出改革、決算剰余金の充当等で賄えない年額1兆円強を、企業(法人税)、個人(所得税、たばこ税ほか)に負担をお願いする政府見解が示されました。総理指示も踏まえ、党の政調全体会議、税制調査会にて白熱した議論が展開されており、臨時国会で一山超えても、まだまだ険しい山が残っています。議論の結論、また、5年度当初予算については、来週の報告とします。

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国政報告(第653号)

 いよいよ師走、富山では時雨模様と最後の小春日和が交錯し、「寒ブリ宣言」も出されて浜に活気が出ているようです。週末の3日(土)、砺波市選出の瘧師県議の女性部にて国政報告の機会を頂きましたが、穏やかな快晴、翌4日(日)の小渕組織運動本部長をお招きし、氷見市での堂故先生の報告会は時雨ましたが、小渕先生に北陸の冬を味わって頂く意味では良かったと思いました。

 国会は、2日(金)に令和4年度第2次補正予算が参院で可決成立し、コロナウイルスや物価高を克服して我が国経済を前進させる諸施策が始動しました。中でも、デジタル、グリーンと並んで人材育成やスタートアップといった人的投資が重点項目に挙がりました。少子高齢化の影響で人手不足が顕著となってきた地方圏の悩みにも的確に対応する内容が盛り込まれました。

 本6日(火)、衆院本会議で旧統一教会被害者の救済法案が審議入りしました。霊感商法など、不当な勧誘・要求を受けた過大で不本意な寄附の取り消しを可能にする一方、憲法で保障される個人の財産権との調整をどう図るかが法案の焦点です。与野党間で鋭意進められた協議を受けての政府提出法案であり、与野党間の隔たりを早急に詰め、会期末の10日(土)までに成立するよう、関係者が日夜努力しています。一方、旧統一教会については、文科省にて司法への解散命令請求を視野に入れた質問・報告徴収手続きが始まっており、請求の可否の判断に向けて、鋭意作業が進められています。

 党税制調査会では6日に各項目の〇×審議、明7日(水)に「〇政項目」(政治的に重要な項目)の議員間討議(小委員会)が予定され、税制改正も来週が大詰めです。一方、党政務調査会で新年度予算の編成大綱の議論も進み、年末に向けた新年度の税・予算の編成作業が続きます。また、今年は向う5年間の防衛力強化のため、防衛費をGDP比2%程度まで引き上げる道筋を歳入歳出両面から明らかにするべく、「防衛3文書」の改訂作業も進められています。

 さて、衆院総務委員会では本日、地方議会議員の成り手不足解消策の一環として、議員の請負禁止規制の緩和を図る地方自治法改正法案が、共産党を除く各党の合意により委員長提案としてまとまりました。ここ数年、党総務部会の「地方議会の課題に関するPT」で石田真敏座長、坂本哲志座長代理、あかま二郎事務局長の下、議論を重ね、公明党とともに与党案をまとめたのが一昨年春です。この間、野党側にも粘り強く説明・お願いを続け、会社員の立候補の際の休暇付与を促進することを政府に義務付けることを附則に規定し、議会のオンライン開催の促進や、女性議員の登用を付帯決議で提起するなど、各党の意見も入れて法案がまとまりました。今後、本会議での採決を経て参議院に送付し、会期内成立を期します。地方議会の活性化に向け、今後も環境改善に努めていきます。

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