2014年6月

国政報告(第238号)

 20日(金)の午後1時から衆議院本会議が開かれました。野党から提出された環境委員長解任決議案と石原環境大臣不信任決議案を否決した後、通常国会の閉会手続きを済ませました。同日夜、参議院本会議も開かれ、22日(日)の会期末を待たずに実質閉会となりました。前号でも述べたように、内閣提出案件は殆ど成立し、議員立法も含め、立法府としては実績の挙がる国会でした。

 一方、会期末近くになって、石原大臣の福島第一原発事故による汚染土の中間貯蔵施設地元受入れ要請を巡る不適切な発言、さらには都議会での未婚女性に対する不適切なヤジが大きな批判を浴びました。3年3か月の野党転落の反省に立った第2次安倍内閣であるだけに、政府・与党の緊張感ある政権運営が改めて求められ、自戒していきます。

 24日(火)には、与党内の議論を踏まえた上で、新年度の政府の取り組みを方向付ける「骨太の方針」、「日本再興戦略(改訂版)」等が閣議決定されました。安全保障法制の見直しについても、自・公間の協議が詰まり、来週にも新たな方針の閣議決定に漕ぎ着けられそうです。これらを踏まえ、各省庁は8月末の新年度予算概算要求締切りに向けて作業を進めます。「衆・参のねじれ」が解消されて、7年振りに落ち着いて予算・施策を準備できる夏を迎えようとしています。

 私の所属する内閣委員会は、23日(月)に沖縄県で開催された沖縄戦の戦没者追悼式典への出席を兼ね、2泊3日で沖縄を視察しました。式典の後、西に広がる八重山諸島の石垣島に空路赴き、24日(火)は島内視察、さらに日本西端の与那国島を空路訪ね、25日(水)に島内を視察しました。戦後70年弱、本土復帰から40年余経過した今日、米軍基地の負担は依然重くのしかかっています。日米同盟を発展させながら、沖縄の負担を軽減していく事は、引き続き国家的課題です。

 一方、人口は増え続けており、1人当たり県民所得も、都道府県中最下位ながら、近年は顕著に伸びています。観光客入れ込みも順調に推移し、那覇空港も石垣空港も新ターミナルが早くも容量オーバーだそうです。石垣島の住民人口は5万人弱なれど、島外からの滞在者が5千人程度居ると言われています。与那国島では沖縄振興一括交付金を活用し、町が東京の塾会社と契約して、小3から中3までの児童・生徒向けに放課後学習塾を設けています。講師は優秀な学生で、ADSLを使った双方向の授業を展開しています。通信環境については、近々光ファイバーの敷設が予定されるなど、「ICT(情報通信技術)×教育」の好事例です。基幹作物であるさとうきびに加え、長命草の契約栽培ミドリムシの培養など、新たなプロジェクトへの取り組みもありました。沖縄の青い海、珊瑚礁、前向きな活力を糧に、夏を過ごしていきます。

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国政報告(第237号)

 通常国会の会期末、22日(日)を前に、事実上の最終日である20日(金)の朝を迎えています。今日の衆議院は、午前中に各委員会で国会閉会中の手続きを決め、午後1時に本会議の予定です。石原環境大臣が、福島第一原発事故で発生した放射能による汚染土の中間貯蔵施設の立地場所の選定に関する16日(月)の自らの発言を、誤解を招いたとして謝罪・取り消した事について、野党側から不信任決議案が提出される可能性があります。与党側とすれば、本人が謝罪されている事から不信任は当たらず、否決する事になるでしょうが、最後まで緊張感を持って臨まなければなりません。

 今国会の総括を述べるにはやや早い時点ですが、案件の処理状況を見れば、近年では一番実績を挙げた会期だったと言えます。内閣提出案件は法律案2本等、一部を除いて全て成立し、懸案だった決算審議も、衆議院で平成23年度まで、参議院では24年度まで承諾を終えました。最終局面では、議院立法も10本を超える成立となり、過疎法改正、花き振興法、内水面漁業振興法など各分野の政策遂行の手立てが充実しました。内閣や霞が関の各省庁にとっては、継続審議案件がほぼ一掃され、7月、8月と新年度の予算・政策をじっくりと検討する余裕も生まれました。秋に例年通り、臨時国会が召集されるとしても懸案は十分に絞り込めるので、年末に至るまで政治・外交日程を組みやすくなります。

 歴史を遡ってみれば、この状態こそ、政治が安定していた時期の永田町の風景であり、総理が一年ごとに交代した平成19年からの6年間が異質だったとも言えます。そうであればこそ、政府・与党とすれば、一層の使命感と緊張感を持って、日本の直面する課題の着実な解決に努めなければなりません。

 一方、国会審議案件以外の重要課題を見ると、消費税は4月の8%への引き上げが済み、安全保障法制の見直しは与党内協議が大詰めを迎えています。しかし、TPPはどちらかといえば米国の姿勢が定まらず、交渉妥結に至っていません。九州電力川内原発の再稼働申請も原子力規制委員会の審査が続いており、沖縄の名護市辺野古沖への普天間基地移設工事も未だ着手されておらず、これらの案件の解決はいずれも夏以降の宿題となりました。年末の消費税10%引き上げの可否の判断まで、正念場が続く状況です。

 私自身の活動としては、16日の決算行政監視委員会で今国会2度目の質問に立つ機会を頂き、初めてテレビ生中継を経験しました。恒例の万葉集の披露で始め、決算における基金残高の状況、行政におけるコンピュータ・システムの更なる活用(電子化)を取り上げ、安倍総理始め各大臣の答弁を頂きました。国の行政の電子化は、総務大臣政務官当時に手掛けた問題であり、内閣が業務の効率化と国民の利便性向上の観点から積極的な取り組みの姿勢を示していることを嬉しく思っています。

 来週からは国会閉会となるでしょうが、引き続き、新年度予算編成に向けて、「骨太の方針」、「日本再興戦略」の策定など内閣の取り組みに、与党の一員として党政務調査会の会議等を通じ、参加していきます。

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国政報告(第236号)

 先週末は、小矢部市津沢の夜高行灯を見せて頂き、高岡関野神社で淡交会高岡支部青年部の皆さんのお茶会に参加、党氷見支部総会に出席の後、8日(日)夜に上京しました。地域女性ネット高岡の辻会長さんほか一行を国会議事堂にてお迎えしてスタートした今週は、まさに「梅雨本番」、雨の降り続く中、予定をこなしています。8日朝には、桂宮様がご逝去、謹んでお悔やみ申し上げます。

 9日(月)の夕刻と10日(火)の朝一番で、内閣の規制改革会議の厳しい提言を受けて、党としての農業委員会・農協組織の改革案が農林部会幹部の皆さんから示され、議論を尽くした上で了承されました。焦点の農協中央会や全農の在り方については、5年の期間を置いて、当事者で今後の在り方を取りまとめる段取りに落ち着きました。引き続き、11日(水)には、今年の「骨太方針」や「日本再興戦略」(改訂版)について、政府側から政務調査会全体会議に柱立ての全体像が示されました。来週には個々の文章も入った全体像が示され、2度目の政調全体会議での議論を経て閣議決定に向かう事となります。

 一方、通常国会の会期も来週を残すのみとなり、10日、13日(金)の本会議では、条約等残る内閣提出案件と各委員会でまとまった議員立法を処理しています。前国会で成立した特定秘密保護法に関し、国会に監視機関を置くための国会法改正案等の案件も、議院運営委員会で成案がまとまり、参議院に送付される見込みです。16日(月)には衆議院の決算行政監視委員会にて平成21年度から23年度まで3年度分の決算審議の締めくくり総括質疑が予定されており、衆議院では政府提出案件は殆ど積み残しの無い状態となります。後は、参議院で会期末に向け、精力的な処理ができれば、と念ずるところです。昨年夏の参院選で「ねじれ」が解消し、国会審議が着実に進む状況となり、政府にも新年度に向けて施策をしっかり練る余裕が生まれてきました。当面は、「安全保障法制整備に関する与党協議会」において、合意点を見出すことが焦点です。

 さて、私の活動では、12日(木)に党沖縄振興調査会で西普天間基地跡地振興に関するワーキング・チーム事務局長として、島尻安伊子座長とともに、国際医療拠点構想の提言案を説明、了承頂きました。来春、普天間基地に先駆けてアメリカから返還される米軍住宅跡地50haの活用について、地元の宜野湾市、沖縄県の意向である琉球大学医学部、附属病院の移転新築や、重粒子線治療施設の建設に加え、米国海軍病院から提供頂く医療データを元に、新薬治験機能を盛り込もうというものです。昨年秋から構想作成作業に携わり、関係者からのヒアリングや4月の沖縄現地調査も踏まえ、取りまとめ・公表に至りました。事柄の性格上、提言がまとまって始めてオープンにできたものですが、今通常国会の間の自分なりに満足できる成果となりました。来週は、会期末に向け、緊張感を持って臨んで行きます。

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国政報告(第235号)

 6月に入り、暦通り東京も梅雨入りとなりました。会期末まで、来週・再来週を残すのみとなり、衆議院に残る内閣提出案件も後僅かです。来週にかけて与野党が一致できる議員立法の整理が進むようで、5日(木)の本会議では、花き振興法や養豚振興法が全会一致で可決、参議院に送られました。商工会などから要望の強かった小規模企業基本法も、政府提出案が全会一致で通過しました。

 与党内では、安全保障の自公両党協議のほか、夏場の新年度予算要求に向け、内閣が今月下旬に策定する「骨太方針」や「日本再興戦略」の改訂に向け、法人税減税や規制改革の議論が精力的に進められています。このうち、税制については5日の党税調で、代替財源を確保しつつ、法人税の実効税率を引き下げる方針が固まりました。農業委員会・農協組織の改革については、内閣に置かれた規制改革会議の厳しい提言に対し、来週以降、党としての意見集約が図られるものと思います。報道では農協中央会の廃止が取り沙汰されていますが、正確には、農業協同組合法で法定組織として置かれている中央会を、個々の農協の総意で組織する団体に切り替えようという提案です。全農の株式会社化を含め、農業者や個々の単位組合の意思を尊重する事が原則となっており、現状は、農協側の自己改革案の提起が待たれるところです。

 政務調査会で私が主に関わる水産部会では、「水産日本の復活」を合言葉に、漁獲から加工・流通まで一体としての産業振興策と漁村の活性化を目指し、政策を提案しています。また、総務部会の情報通信戦略調査会では、ICT(情報通信技術)を産業・社会の様々な分野に実装する事で、国と地域の元気の素となるよう、具体策の提言に向けた作業を進めています。このほか、議員が任意に集まって政策を議論・推進する「議連」が次々に発足しており、私も地域公共交通の活性化、都市再生、鋳物産業振興、慢性の痛み対策など、様々な分野の議連に所属する所となっています。22日(日)に予定される通常国会の閉会後はこれらの取り組みが各省庁の予算要求作業に反映されていく事となります。質問を通じて政府に物申していた野党時代とはやはり勝手が違うな、と正直、思います。

 先週末、31日(土)の党富山県連定期大会では、来春の県議選を睨んで、党員増強運動に精力的に取り組む旨、皆さんの気持ちが揃った印象です。続いて、砺波、大門、金山の各支部総会や、南砺市吉江地区の後援会にも出席し、国政の進展を報告させてもらいました。東京では、4日(水)朝、石井知事・高平議長から富山県の新年度に向けた要望事項を説明頂き、全国市長会総会にて上京の6市の市長の皆さんにもお会いしています。党内の議論と、地元からのご意見を重ね合わせながら、各省庁の施策に反映させるべく、8月末の予算要求締め切りに向けて努力していきます。

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