2024年3月

国政報告(第718号)

 春分を過ぎたところで、再び寒が戻って、東京の桜も未だ殆ど咲かず、富山も見ごろは4月に入ってからになりそうです。地球温暖化とは言っても、逆に異常な寒暖差の生じることが多くもなるそうで、この春は到来が遅れることになりました。

 通常国会は、年度末を前に参議院で新年度予算案の審議が着実に進み、週末の28日(木)-29日(金)での成立が目指されています。一方、衆議院でも本会議で趣旨説明を行う内閣提出法案を順次取り扱っています。先週は19日(火)に重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案など2件、21日(木)に流通業務効率化促進法等改正法案の趣旨説明・質疑がありました。前者は近年その重要性の認識が広まっている経済安全保障の概念に基づく新規立法です。我が国の官民問わず保有する技術等の機微な情報について、その取り扱いを、官民問わず適正評価をクリアした人物に限定するものです。後者は、この4月から労働基準法の時間外労働の上限規制の特例が物流分野で撤廃されることにより生じる課題(2024年問題)に対処する法案です。特にトラック事業について、荷主や元請事業者の責務を厳しくし、国土交通省が定める「標準的な運賃」を参照して物流サービスに応じた適正な料金を収受できるように環境を整え、ひいてはトラックドライバーの働き方改革を支えるものです。

 今週も26日(火)に食料・農業・農村基本法の趣旨説明・質疑が総理入りで行われます。また、各委員会では年度末までに成立させなければならない「日切れ法案」の審議が進んでおり、19日の本会議では5本の法律案を可決、参議院送付しました。また、私が国対副委員長として担当している委員会でも、農林水産委員会で特定農産加工業経営改善臨時措置法改正案、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に係る特別委員会で地域再生法改正案の質疑が進みました。ここからは、現在60本政府から提出されている法案や条約の成立を期し、各委員会の円滑な進行を望みます。

 先週の中日の20日(水)は、党福光連合支部の会員大会に東京から日帰り往復で出席し、「最近の国政情勢について」という題で過日の政治倫理審査会の模様を中心に話しました。23日(土)は党砺波市連女性部総会での記念講演にて、政治資金問題、北陸新幹線の大阪延伸事業の見通し等について報告しました。また、23日(土)-24日(日)と、党県連会長として、宮本幹事長と一緒に来る参議院議員選挙における地方区公認候補者選定についてのヒアリングを県下34支部対象に実施しました(新川ブロックは上田衆院議員、鹿熊県議に委任)。

 25日(月)朝、二階元幹事長が派閥の政治資金問題の責任を取って、次期総選挙への不出馬を表明されました。清和会幹部等への党としての処分も近々決定の見込みとの由、また報告します。

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国政報告(第717号)

 春分を前にして、週末は再び暖かく穏やかな気候となり、いよいよ桜の開花も近づく感じがします。16日(土)待望されていた北陸新幹線の金沢・敦賀間が開業、新高岡・敦賀間は最速のつるぎで1時間を切るなど北陸3県の都市間の時間距離が一気に縮まりました。もちろん、名古屋・関西方面とのアクセスも向上し、経済面、観光面で大きな効果が期待されます。この上は、現在環境アセスが進められている敦賀・京都・新大阪間の一日も早い着工が望まれます。令和5年度予算から準備作業も予算を伴って進められていますが、詳細ルートの決定など着工5条件について関係者の合意手続きを促進するよう与党としても政府に働きかけていきます。

 この記念すべき日の夜に新幹線で上京し、17日(日)は第91回党大会に出席しました。一部派閥のパーティによる政治資金の収支報告書不記載による政治不信の高まりの渦中にて、岸田総裁の演説も反省と再発防止策の実行を約束することが主題となりました。党則、ガバナンス・コードの改正案も議決され、総裁は派閥幹部など関係者の処分を茂木幹事長に指示した旨、明言されました。例年はゲストもお招きし、華やかさのある大会ですが、今年は、厳粛な中で党運営刷新の決意を誓い合った点で、意義ある内容だったと思います。大会後、県連関係で党活動に貢献され、表彰を受けられた方々を囲む懇親の場を持ちましたが、県連会長として、信頼回復に努めていく旨、挨拶で述べました。

 通常国会は、新年度予算案の審議が参議院で進む一方、衆議院は内閣提出法案が各委員会で順次審議入りし、本会議で趣旨説明・質疑を必要とする案件の上程も進んでいます。政治倫理審査会も14日(木)に参院で世耕、西田、橋本議員の弁明・質疑が行われたのに続いて、18日(月)に衆院で下村議員の申し出を受けて開催されました。政治資金の不記載の経緯、議員個人の認識、政治責任の取り方などが論点となり、これまでに9人の議員の弁明・質疑が行われました。政治資金規正法を遵守した経理処理・報告についての議員側の注意・関与が弱かったことは確かであり、「経緯を知らなかった」からと言って、派閥幹部としての政治責任は免れられないと思います。党紀委員会による処分で一定の決着をつけるべきです。

 地元での月一回のミニ対話集会は、16日に南砺市井波地区で開催しました。青壮年若手の男性・女性の皆さんとの意見交換から、若者・女性が様々な分野で活躍できる環境づくりが地域への定着と子育てを通じた人口維持につながるとの想いを共有しました。社会課題解決を目指す起業者への多面的な支援や、地震対応の観光支援策の内容改善を求める要望も頂き、発信に努めます。一方、東京では栄養士会、農業法人会の方々との懇談の機会がありました。現場の皆さんの意見・想いを糧に、政策研鑽にも努めます。

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国政報告(第716号)

 11日(月)、東日本大震災から13年目を迎えました。地震、津波に原子力発電所事故が重なり、復旧・復興に長期を要する災害となりました。その後も、熊本地震、北海道胆振東部地震など各地で地震に伴う被害が続いています。今年元旦には能登半島地震により能登地域では未だ避難者1万人、断水1万7千戸とご苦労されています。私の地元も液状化という厄介な現象が復興を妨げています。改めて、事前防災・国土強靭化の大切さを痛感します。

 折しも私が事務局長を務める党東日本大震災復興加速化本部では、根本本部長を中心に、被災地復興のために目下取り組むべき事項を議論し、公明党さんと一緒に与党第12次提言として、6日(水)夕刻、官邸にて岸田総理、土屋復興相、齋藤経産相、伊藤環境相に申し入れを行いました。今回のポイントは5点です。

 第一に、昨年8月から海洋放出を開始した東京電力福島第一原発のALPS処理水について、緊張感を持って安全確保に万全を期すとともに、風評被害の抑制や漁業者支援に取り組むこと。第二に、昨年6月に創設された特定帰還居住区域制度により、帰還困難区域内で希望する住民の帰還が実現するよう計画認定やインフラ整備等を進めること。また、周囲への立ち入り制限の緩和を行うなど、今後の住民の活動のあり方について検討を深めること。第三に、中間貯蔵施設に集約した除去土壌について、「再生利用基準」等の策定に向けた技術的な検討や、再生利用先の創出等に関して政府一体となった体制整備に向けた取り組みを進めること。第四に、昨春スタートした福島国際研究教育機構(F-REI)の施設整備、研究環境の充実、国内外の優秀な研究者の参画を進めること。第五に、折り返し点を迎えた第2期復興創生期間(令和3-7年度)について、足元の状況を把握し、必要な施策の見直しを行うこと。以上です。

 提言を受けて政府も復興の基本方針見直し作業を進めており、7日(木)の党加速化本部で説明を受け、了承しました。処理水の海洋放出が始まり、帰還を希望する住民すべてが故郷に戻ることができる段階となりましたが、土壌の処理、立ち入り制限されている山林の扱い、そして事故を起こした原発の廃炉へとまだまだ長い道のりです。併せて、F-REI、イノベーション・コースト等による浜通りの地域再生も果たさねばと、決意を新たにしています。

 一方、通常国会は予算審議が参院に移り、衆院の各常任委員会では8日(金)を中心に大臣所信を聴取し、今週からは質疑、法案審議へと進みます。私が国対で担当している内閣提出法案の本会議上程も、今週から順次進めます。党政調では、6日に鉄道調査会地方鉄道PTにて、新法により進んでいるローカル鉄道再構築の動きを取り上げ、氷見線・城端線の計画認定についても紹介しました。次号では、党大会や党刷新本部の動きも報告したいと思います。

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国政報告(第715号)

 3月2日(土)、通常国会は、衆院で新年度予算案を可決、参院に送付されました。憲法の「30日ルール」に基づき、参院で審議が終了しなくても、年度末の31日(日)には予算は成立し、新年度初日から執行が可能となります。国対の一員として安堵するものの、ここに至るまでの先週の動きは綱渡りでした。

 我が党の一部派閥の政治資金の不記載問題に関し、予算委の審議と並行して、野党側から派閥幹部等の政治倫理審査会への出席を強く求められ、先々週末時点で5人の議員から申出書が提出されました。前号でも報告したとおり、2月26日(月)に政倫審幹事会が開催され、審査会開催に向け、条件整理に入りました。この段階で、野党側が審査会のメディアへの全面公開を主張したのに対し、申出人全員の同意が得られませんでした。審査会の規程上も申出人の意向を尊重することとされており、与野党協議は難航しました。

 27日(火)午後、いったんは公開に同意する2人を先行して28日(水)に審査会を開催することでまとまりかけました。しかし、最終的にはこの2人も残りの議員と異なる取り扱いに応じることに難色を示し、審査会の開催を決められず、29日(木)の中央公聴会以降の予算審議の日程も合意できない事態となりました。

 膠着した事態を動かしたのは、28日朝の岸田総理の「自ら全面公開の条件で審査会に出席し、説明する」との決断でした。与野党の交渉担当者にもサプライズとなった決断に、5人の議員も全面公開やむなしと態度を変え、29日(岸田、武田議員)、1日(金)(西村、松野、塩谷、高木議員)と審査会の開催に漕ぎ着けました。審査会幹事を務める私は、高木議員の弁明に対する質疑に立ちました。今回の事案は、派閥から個々の議員へのパーティ券売り上げのノルマ超過分の還付を、政治資金規正法に基づき政治団体間の資金の移動として記載することを怠ったものです。個々の議員側では還付分を収入として計上できず、結果として支出・留保金の明細も計上しなかったため、裏金として使途も自由だったのでは、との疑念を招く結果となりました。改めて、法を遵守することは、議員本人の身も守ること、故安倍元総理が派閥会長に就任された際に還付をやめるよう指示されたのに、逝去後、還付を継続した際、不記載の取り扱いを改めなかった責任が重いことなどを指摘しました。会計責任者が規正法をよく学ぶこと、議員本人もコンプライアンスを重視して事務所の運営に責任を持つことが必要な旨、申し述べました。

 日程がずれ込んだため、予算案の処理は1日から2日に遅れ、京都で開催された全国山・鉾・屋台保存連合会理事会はリモート出席で容赦頂きました。以上の経緯は3日(日)に党南砺市井口支部総会に併せた国政報告にて披露しました。東日本大震災復興加速化本部の第12次提言など政策面の動きは次号に譲ります。

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