2013年8月

国政報告(第197号)

 8月も最終週となり、霞ヶ関の各省庁では26年度予算の概算要求案が取りまとめられています。総務省でも「ICT成長戦略会議」の提言に基づき、医療、教育、資源探査、G空間、4K・8Kテレビの開発など施策が目白押しです。29日(木)の自民党総務部会での説明の後、財務省に提出となります。

 一方、富山では23日(金)の集中豪雨で被害が出ており、関係の皆様にお見舞い申し上げます。昨年、大きな被害を出した高岡市の地久子川は、この間の災害対策と消防関係者の迅速な対応で軽微な浸水被害に止まりました。改めて、ハード・ソフト両面の減災・防災対策の大切さを認識しました。

 25日(日)には福光南部( 太美山、東太美、西太美、広瀬館の4地区 )で国政報告会を開催させて頂きました。また、28日(水)には島根県選出の青木一彦参議院議員(党水産部会長代理)の来県を得て、射水市の海老江、金山の2地区で党の「ふるさと対話集会」を持つ事ができました。4年前の野党転落以来、地域の皆さんの様々な声を直に聴き、政策に生かしていく運動に党として取り組んできましたが、与党に転じても継続していく方針です。私にとっては参議院選挙をはさんで久し振りの「双方向」の意見交換でした。地域の基盤整備に関わる要望はもちろんですが、「福島第一原発の汚染水処理を急ぐべき」、「消費税増税で景気は大丈夫か」、「海水温上昇への対策は」、「TPPの水産分野への影響は」などなど、国政全般に関わる意見・質問にはっとさせられる場面も多々あり、地域に密着した活動の意義を痛感しました。

 総務省では、概算要求案の説明を受ける一方、本年5月4日に開局した日本郵便の川崎東郵便局を見学しました。我が国発着の船便郵便物と我が国到着の航空郵便物を一手に引き受けるほか、神奈川県東部地域の国内郵便物の区分事務も受け持つ全国3番目の最新鋭マンモス局で、局員は1300人だそうです。国際郵便物を扱うことから、横浜税関の出張所も置かれ、有害物品探知のために麻薬犬も活躍しています。何より、6階建ての大きな建物にフロア毎に区分機や作業場が機能的に配置され、スタッフの皆さんのさわやかな挨拶が印象的でした。最近の円安の下、海外向けの船便郵便物は昨年比2割程度増加し、日本郵便(株)の業績にも寄与しているそうです。また、競争力が劣る船便郵便から撤退する国が増えており、日本が中継地となるケースが増えており、この分野の「ハブ機能」は我が国が担いつつあるようです。いつもの事ながら、現場は「百聞は一見に如かず」です。富山でも東京でも、歩いて自分で見聞きする活動を怠らないように、と思います。

 私事ですが、来週一週間は、数年振りの家族旅行にて休む事、お許し下さい。198号は9月13日(金)頃の予定です。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第196号)

 残暑お見舞い申し上げます。高知県四万十市で連日40度を超える猛暑となる一方、山陰や東北では、「かつて経験したことのない大雨」で土砂崩れ等の被害が発生しました。関係の方々にはお見舞い申し上げます。在京当番で過ごした旧盆、15日(木)に武道館で催された戦没者追悼式典に初めて参列させて頂いたほか、出歩ける23区の範囲内で東京の下町の風情など楽しみました。

 いったん富山に戻り、21日(水)に再び上京、総務省でも概算要求はもとより、この秋に取り組む課題の打ち合わせを始めています。22日(木)は午前にNTT武蔵野研究開発センター、午後に三鷹市のICT街づくり推進事業と二か所を見学してきました。NTTでは、従来の電話に係る分野から広く情報通信全般、さらにはそれを受け取る人間の脳や神経の作用に至るまで、幅広く研究開発が進められています。自社のサービス向上に役立てられているのみならず、他業種と連携した製品開発も進められていて、研究員の皆さんから意欲的な説明を受けました。三鷹市では、清原慶子市長が率先され、災害時の帰宅困難者や要援護者対策を念頭に置いて平時からICTを生かしたネットワーク構築を進めています。JR三鷹駅周辺のWiFiエリア整備や、要援護者とサポーターとなるNPOの皆さんを操作しやすい端末でネットワークする取り組みなど、「人と人のつながり」を基盤に置いてICT街づくりを進める姿勢に感銘を受けました。このような一つ一つの取り組みが、総務省の掲げる「ICT成長戦略」の実現につながるものと思います。

 一方総務省内では、戦略の重要な柱である「電子政府」をいかに実現していくかという問題意識で、7月から職員の皆さんと勉強会を開催しています。国民や企業・団体の皆さんが、国や自治体の様々な手続きをよりスムーズに行えるよう、また、官側では業務を効率化し、かかるコストを少なくできるよう、ICTを活用したシステムづくりを進めようという取り組みです。ワン・ストップ、ペーパー・レスなど様々な効果が期待できる半面、何から手を付ければ良いのか、また、民側にメリットの大きい取り組みは何か、など具体的な進め方は必ずしも明確になっていない状況です。そこで、現に先行的に稼働しているいくつかの事例を対象に、参考とすべき事、解決すべき課題を明らかにしようと取り組んでいます。

 例えば、年一回の確定申告では、国税庁のシステム、「イー・タックス」を利用し、半数近くの方が電子申告されています。国(税務署)と自治体では、所得等の電子化されたデータを受け渡しし、再度打ち込む作業を省いています。さらに、自治体側も「エル・タックス」というシステムを構築し、企業の給与支払い台帳や償却資産台帳の提出の電子化を進めています。ここから先は、企業の人事・経理担当者の方にもデータの電子化に協力頂かなくてはならず、さらには企業向けソフトウェアのアウトプット項目に組み入れてもらう事も必要です。そうなってくると、企業側では、社会保険や労働保険も含めて手続きの電子化を望まれる事になるでしょう。このようにして、税・保険料の申告・賦課・納付の電子化を官民が協力して進め、お互いにメリットを享受していくことが大切だと感じています。経済・社会の様々な側面で、ICTを活用する、そんな思いで職務に当たって行こうと思っています。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第195号)

 3日(土)に北陸地方がようやく梅雨明けしたとのこと、今年の夏はからっと晴れる日が少なく、東京も湿度の高い日が多い状態です。6日(火)などは朝8時に夕立ちのような強い雨と雷があり、宿舎から会館に行く時間を遅らせたりしました。そんな中、臨時国会(第184国会)は2日(金)から7日(水)までの会期で開催され、参議院の新しい体制を決めて閉会となりました。初日には、堂故参議院議員も初登院され、会館の事務所も「店開き」となり、一緒に仕事をしていく体制が整いました。

 今国会では実質的な審議は行われず、この後は8月末締め切りの新年度予算概算要求の作業が佳境を迎えるほか、秋に予定される臨時国会に向けて提出案件を練る事となります。私にとっては、与党に転じ、政府の一員として初めて迎える夏ですが、9日(金)から18日(日)の旧盆の間、在京当番を引き受け、東京で「充電」する事になりました。国政報告も、来週は休ませて頂くとして、当面の国政上の課題と総務省での取り組みを整理しておきます。

 内政では、来年4月に消費税を5%から8%に引き上げる計画を実行するか否かの判断時期は9月とされています。このため、予算の歳入・歳出規模が固まらず、当面、既定経費は1割カットで要求し、成長戦略に資するものは別枠要求となります。人口の高齢化が進展する中、年々増大する社会保障費をいかに抑制し、成長戦略の実現に必要な「未来に向けての投資」を確保するかが予算編成上の課題です。併せて社会保障制度について、国民会議の議論を踏まえて制度改革を設計・提案しなければなりません。エネルギー分野では、通常国会最終日に廃案となってしまった電力供給制度改革法案の成立を期し、段階的に自由化を進める一方、エネルギー源の新たな構成を定め、原子力発電所の再稼働問題にも答えを出さなければなりません。これを踏まえて、地球温暖化に対処すべく、二酸化炭素排出量の抑制目標を再構築する事になります。

 このほか、東日本大震災からの復興、安全保障体制の強化、普天間基地の移設、国家公務員制度の改革、衆議院の定数是正などの案件がありますが、ここは「ステップ・バイ・ステップ」で、向こう2-3年の間に腰を据えて着実に解決していく事が大切で、拙速に取り組む事のないように、と思います。外交面では、TPP交渉に国益を守る立場で臨む事、さらに中国・韓国との首脳レベルの意思疎通を図り、国際社会において我が国の役割をしっかりと担っていく事が課題です。この点、安倍総理を先頭に閣僚の皆さんが積極的に海外出張されている事は、日本のプレゼンスを高める上で効果的だと思います。

 総務省での私の持ち場では、ICT成長戦略を実現するための新年度予算づくり、かんぽ生命の学資保険改訂認可のための業務体制確立、南部アフリカ地域での地上デジタル放送日本方式の採用を主たる課題と位置づけ、引き続き取り組んでいきます。次回は、その一環としてここ1-2か月精力的に取り組んできた「電子政府」の勉強会について報告したいと思います。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第194号)

 7月24日(水)から31日(水)まで、地デジ放送の日本方式を採用頂いた南部アフリカのボツワナ共和国での放送開始式典出席のため総務省の用務で出張してきました。併せて、モザンビーク共和国にも日本方式採用の働きかけのため出向きました。4月の時と同様に、香港・ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)を経由し、飛行機の乗り継ぎ時間を入れて丸1日づつかけての往復です。ただ、先方は南半球で、季節が冬だったため、気温は暑くても20度後半で、朝晩は冷え込み、空気が乾いていたので、快適でした。再び蒸し暑い東京の空の下、明日からの臨時国会(第184国会)を前に、今回はアフリカ出張報告を綴ります。

 25日(木)にモザンビークの首都マプトに到着し、ペレンベ科学技術大臣、レベロ運輸通信副大臣、イングレス運輸通信次官ほか政府関係者と面談しました。モザンビークはいったん欧州方式採用を閣議決定したのですが、森田前政務官始め日本側の働きかけで、日本方式による試験放送を今春から実施しています。6月に横浜で行われたTICAD-V(アフリカ開発会議)の際、来日されたゲブーザ大統領に安倍総理始め日本側から働きかけた経緯も踏まえ、試験放送を踏まえた日本方式の評価や技術研修の実施を提案しました。日本方式の長所は、テレビのみならず、携帯電話でワンセグ放送やデータ放送が同時にでき、電気が供給されていない地方部でも携帯端末さえあれば、情報を行き渡らせる事ができる点です。先方もこの事は理解が進んでおり、当方の提案を政府部内で検討するとの答えを頂きました。

 モザンビークでは、農業・物流分野等、日本の経済協力が行われており、日本企業による天然ガス、石炭、植物油、木質チップ加工等のプロジェクトも展開されていることから、我が国との関係を重視しています。引き続き、同じポルトガル語圏であるブラジルとともに、採用に向けて努力していきます。マプトはインド洋を臨む落ち着いた街で、海産物はイワシ、エビ、イカ、タコなど日本と同じです。赤みを帯びた土と水色の海、南半球の冬なので北寄りから昇る太陽が印象に残りました。

 27日(土)にマプトからヨハネスブルグを経由し、ボツワナの首都ハボロネに入り、29日(月)の放送開始式典、30日(火)の共同作業部会冒頭挨拶に臨みました。高地に位置するハボロネは、周囲に草原と低木が拡がる街ですが、4月は一面緑だった風景が、今回は冬らしく一面茶色に変わっていたのが印象的でした。担当のマシシ大統領府大臣とは、東京での会食以来僅か2週間での再会となり、今後地デジ移行の実務を担当されるモレフィ運輸通信大臣ともゆっくり話す機会が取れました。

 式典は、ケディキルウェ副大統領出席の下、SADC(南部アフリカ開発共同体)諸国のコンゴ、ザンビア、マラウィ、モザンビークからも大臣・副大臣等が陪席する中で開催され、私も日本政府を代表して、採用頂いた日本方式によるスムーズな地デジ移行の実現に最後までしっかり協力する旨、挨拶で誓いました。ボツワナでこれから始まる具体的な取り組みは周辺のSADC諸国も注目しています。ここで成果を挙げ、アンゴラ、モザンビークなどでの日本方式法採用、さらには南部アフリカ諸国とのICT分野での協力関係構築につながれば、という思いの中での「第一歩」を踏み出す出張となりました。冬晴れのハボロネの爽やかな空気を胸に刻み、同行頂いた総務省職員の皆さん、支援頂いた外務省大使館の皆さん、そしてこれからの具体的な協力作業に携わられるNHK始め民間の皆様に感謝しながらの出張報告とします。

カテゴリー: 国政報告 |