2020年4月

国政報告(第524号)

 4月の最終週に入り、会館の窓外の銀杏並木の若葉が青々と茂ってきました。通常ならゴールデン・ウィークに入って、野に山に人々が繰り出す時節ですが、新型コロナウイルス対策で今年は国民皆さんが在宅にて我慢されている現状です。今朝(28日(火))の世界の感染者数は、ほぼ300万人に達し、亡くなれた方は20万9千人、我が国の感染者数は1万3千人台となっています。6日(月)の緊急事態宣言から3週間経ち、東京都では先週後半から感染者数の増加が鈍化しており、お互いに努力して取り組んできた対策の効果が出始めているようです。一方、富山県の感染者数は181人と前号(130人)からさらに51人増え、富山市の病院に続き、老健施設でのクラスターが深刻な状態です。連休最終日の5月6日(水)の緊急事態の期限に向け、事態の収束が望まれます。

 一方、国会は6月17日(水)までの会期が2か月を切り、案件処理の見通しを立てる時期に近づいていますが、今週は27日(月)に内閣から補正予算案が提出され、衆参本会議で財政演説と代表者質疑が行われました。新型コロナウイルスに係る医療面での環境の整備、今年に入って大きな打撃を受けている観光・飲食・百貨店関係などの業種やこれに関わる家計の底支え、1人当たり10万円の一律給付、学校休業への対策、さらにはウイルス抑制後の経済のV字回復のための総額25兆7千億円弱の超大型補正です。これにより、一般会計の予算規模は128兆3千億円を超えます。今日から明日の午前まで衆院予算委員会で審議され、明日のお昼の本会議で可決、参院送付の見込みです。

 もちろん、対策はこれで終わるものではあり得ません。事態が長引けば、さらなる事業者や家計の資金繰りの援助、固定費に大きなウエイトを占める家賃の減免対策、困窮する学生への学費減免や一時金給付など、広範に施策を充実する第二次補正が必要になると思います。学校の休業が長引けば、1学期の履修が困難になると思われ、学校を再開している地域との差が高校・大学の入試に影響する懸念が強まります。既に今年の高校総体(インターハイ)は中止となり、目標を定めて部活に励んできた高3生につらい思いをさせています。今後とも、状況に応じ、国政の各分野できめ細かい対策の立案・実行が連続的に求められ、文部科学委員会も連休後には質疑を通じて各議員の考えを当局に伝えていければ、と考えます。

 昨日は、日本銀行の金融政策決定会合も開かれ、景気の厳しい現状に対応して、国債の買い入れ限度額を撤廃するなど、市中に資金を一段と潤沢に供給する姿勢を鮮明にしました。そのこと自体は必要な対応と考えますが、これまで「異次元の緩和」を続け、500兆円近い国債を保有しながら、より一層の緩和策を迫られる日銀の政策運営の現状を危惧しています。次号は連休明けに綴ります。

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国政報告(第523号)

 新型コロナウイルスのため、7日(火)に7都府県に出された緊急事態宣言が、16日(木)に全国に拡大されました。今朝(22日(水))時点の世界の感染者数も米国の80万人を始め252万人を超え、亡くなられた方が17万4千人、我が国でも感染者数が1万1千人を超えました。富山県でも、病院、介護施設でのクラスター発生などで130人に増え、前号(55人)から再び倍増の勢いで、何とか抑止できないか、大切な段階だと思います。

 国の「新型コロナウイルス感染症経済対策」のうち、生活に困っている世帯への30万円の給付は、与党始め各方面からの意見を踏まえ、16日に安倍総理の決断で、「全国すべての人々への新たな給付金(特別定額給付金(仮称))」に変更されました。一律に1人当たり10万円を給付、その目的も、緊急事態宣言対象地域の全国拡大を受け、「人々が連帯して、一致団結し、見えざる敵との闘いという国難を克服する」ためとされました。世論を背景とした我が党の二階幹事長や公明党の山口代表の強力な申し入れによる政策変更で、私も与党の一員として支える立場です。しかし、一度編成した補正予算を国会提出前に組み替える事は極めて異例で、政策変更を審議した17日(金)の党政務調査会全体会議には、多数の議員が出席、意見を述べ、了承まで2時間以上かかりました。コロナウイルスへの対応は前例の無い取り組みであり、先を見通すことは困難です。とはいえ、政策責任者には、様々なシナリオを描く「想像力・発想力」が求められる局面であり、専門家も含めた意見交換をさらに進め、国民世論を納得させる発信に努めて欲しいと願います。

 一方、補正予算の総額は25兆7千億円弱と、当初案より8兆9千億円弱膨らみ、これを賄う赤字国債の発行額も23兆4千億円弱に増加しました。今年1月に内閣府が発表した「中長期の経済財政に関する試算」によれば、2020年度の国・地方のプライマリー・バランス(-15.3兆円)の対GDP比は-2.7%のところ、赤字国債の増分を単純に足せば、-6.8%(-38.7兆円)と東日本大震災時並みに落ち込むこととなります。今後、追加の対策も必要となるものと予想されることから、コロナウイルス対策に係る予算は一般会計から分離して特別会計として賄い、中長期的にも別途財源を手当てするべきと考えます。

 今日の午前は、衆院文部科学委員会の与党理事懇談会にて、文科省のコロナ対策、特に学校が臨時休業を行う場合の学習の保障等の取り組みの現状を聴きました。午後は「2020年以降の経済社会構想会議」のウェブ懇談会を30分づつ3回行い、小泉環境大臣と一緒にメンバーの想いや意見を聴きました。まずは宣言期間の5月6日(水)まで、そしてそれ以降の対策と国の経済社会の在り方について、思いを巡らしながら、来週の補正予案算審議に向かいます。

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国政報告(第522号)

 桜から若葉へと季節が動いていますが、新型コロナウイルスで7日(火)に7都府県(東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、兵庫、福岡)に緊急事態宣言が発出されて一週間、人々の意識も大きく変化しているように感じます。今朝時点の世界の感染者数も米国の59万人を始め196万人を超え、亡くなられた方が12万4千人弱、我が国でも感染者数が8千人を超えました。富山県でも院内感染が発生するなどして、半月程度で感染者数が55人に達し、最近5日間程度で倍増の勢いで、石井知事、森富山市長からも感染抑止の呼び掛けがなされています。

 疫学的には人と人の接触を普段の8割以下に抑えれば、感染は急速に収束するとされており、緊急事態宣言下の地域では出勤を7割以下に抑えるよう要請されています。このため、国会も衆院本会議の出席議員数を半数程度に調整することで各会派が合意し、昨14日(火)は冒頭の採決の後、私も国対の指示に従い退席し、会館の自室で年金法案の質疑を院内テレビ中継で視聴しました。委員会についても一日4委員会の開催を限度とすることになり、文部科学委員会の開催もしばらく目途が立たない現状です。今週に入り、議員秘書、国会職員、議員宿舎居住者にも感染が発生し、改めて個々が注意し、努力する必要性を痛感しています。

 一方、「新型コロナウイルス感染症経済対策」に基づく令和2年度補正予算は来週国会で審議され、早期成立を目指します。生活に困っている世帯への30万円の給付、事業継続に困っている中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に対する給付(前者は200万円、後者は100万円が上限)や各種税の納税猶予・減免など、「緊急支援フェーズ」下の対策が5月の早い時期に行き渡ることを願っています。また、現場でご苦労の多い医療・衛生関係者への支援はもとより、地方自治体に対しても「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を1兆円措置し、各種対策の財源に充てて頂くこととなっています。緊急事態宣言に基づく飲食店などへの休業要請に伴い、自治体が支払う協力金にも充当できるよう検討されているようです。

 世界各国の状況を見ると、それぞれ厳しい中にも、感染がピークアウトしつつある国も見受けられ、我が国も来週あたりに兆しが出てくれば、と期待しています。その上で、5月にも早期に次の「V字回復フェーズ」への対応の準備に入ることができれば、6月辺りで灯りが点ることにならないか、と思います。2月27日(木)の全国一斉休校要請以降、多くの学校が、児童・生徒の登校・授業もままならない状況下に置かれていますが、5月の連休明け位から正常化できれば、学習の遅れも取り戻せるようです。全て、今週から来週の感染者数の動向にかかっており、快方に向かうよう念じます。

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国政報告(第521号)

 今週の国政も、新型コロナウイルスへの対応一色の様相です。富山県でも3月30日(月)夜に最初の感染者が出てから、今日(7日(火))までに12人が確認されました。6日(月)夕刻、安倍総理は7都府県(東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、兵庫、福岡)を対象に緊急事態宣言を発出する意向を表明、今日にも実施の予定です。今朝時点の世界の感染者数も米国の35万人を始め131万人を超え、亡くなられた方も7万3千人と、依然深刻な状況です。

 一方、「新型コロナウイルス感染症経済対策」が、先週までの党の各部会の議論も踏まえ、今日閣議決定され、令和2年度補正予算も編成、国会提出の次第となりました。総事業規模108兆円にて、税・社会保険料の猶予、困窮する家計・事業者への現金給付などが盛り込まれました。特に、売上げが極端に減り打撃の大きい業種の事業・雇用が継続されるよう、強力な資金繰り支援や雇用調整助成金での補助率のかさ上げを行います。1日(水)に発表された「日銀短観」でも、宿泊・飲食サービス業の業況判断がマイナス59~69と大きく落ち込みました。外出・旅行の自粛要請等の影響は特定の業種の事業者・従業員に厳しい影響を与えており、やがては経済全体に波及し、成長を下押しすると懸念されます。今回の対策は、まずは「緊急支援フェーズ」を乗り切ることを主眼とし、次いで、「V字回復フェーズ」への対応を逐次打ち出して行く事となります。

 今回の補正予算では、14兆5千億円弱の赤字国債が新たに発行されます。党で財政再建の議論に関わってきた立場として、現状の措置は当然理解するものの、このような「有事」に備えて力をつけておくため、「平時」には不断の努力をすべきだと強く思います。2008年のリーマン・ショックから12年間、プライマリーバランスの黒字化を達成できぬまま、再び大きな財政赤字状況に陥ることが残念です。日本銀行の金融政策も、2013年に「異次元の緩和」に踏み出したまま、「コロナ・ショック」に直面し、「正常次元」に戻す道筋をどう構築するのか、厳しく問われると考えます。

 地元では週末の5日(日)、高岡市立国吉義務教育学校五位小学校の開校式に出席しました。コロナウイルス対策を入念に取り、出席者も極く限定しての開催でしたが、ともにこれまでの蓄積を大切にしながら新たな人材育成への意気込みを強く感じさせる式典でした。国吉校は、県内最初の義務教育学校の取り組みです。小中学校9年間のカリキュラムを効率的に再編し、部活や地域教育も充実させるなど、後続校のモデルを目指します。五位校は、従前の東五位校、石堤校の120年の歴史を踏まえ、4年後の千鳥が丘校との統合に向けて新たな歩みを始めます。これから両校に学ぶ児童・生徒の皆さんの活躍を念じます。そして、「コロナに負けずに」と思いを新たに緊急事態宣言を受け止めて国政に臨んで行きます。

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