2013年6月

国政報告(第189号)

 26日(水)で第181国会が閉会となり、政治の舞台は、23日(日)の都議選に続く参院選へと回り始めました。国会は、前号で懸念していた「波乱」が参議院で生じ、電力システム改革法、生活困窮者支援法や各種条約案件等が審議未了・廃案となりました。私の野党時代に、当時の菅総理、野田総理に対する問責決議が参議院で可決されましたが、今回の安倍総理に対する問責決議は、野党側が求めた今週の予算委員会出席を拒んだことを理由とするもので、根拠は薄すぎると思います。メディアの取り上げ方を見ても、事の重要性が小さく、野党の姿勢は疑問です。一方、与党の立場としては、衆議院で大方のコンセンサスがあった内閣提出法案を、内容ではなく周辺環境のために廃案にした事が残念です。次の国会では、改めて衆議院から審議する事となり、その分、何かの案件の成立が確実に遅れていく事になります。私が野田内閣に一番欠けていると指摘してきた「段取り」の問題が、私たちにも生じた訳です。ではどうすれば良かったのか、と言われれば、参院国対の現場のやり取りも知らずに論じるのは不謹慎ですが、「案件成立=実利優先」でひたすら頑張るのが与党側と言う事かと思います。最終的な内閣提出案件の成立率は84%。これは民主党政権時代から見れば見違えるような好成績です。安倍総理や私たちの新藤大臣の粘り強い国会答弁を始め、与党の皆さんの成果だと感じています。

 この間、総務省ではICT成長戦略の取りまとめに向けて24日(月)から26日にかけて集中的に会議が開かれました。既に戦略の重点部分は内閣の成長戦略やIT戦略の中にしっかり位置付けられていますが、省としての今後の予算・施策の羅針盤を仕上げた訳です。それぞれの報告書は今後パブリック・コメントを経て正式決定されますが、まさに、スマホの普及、鉄道や店舗でのICカードの利用、カーナビなどGPS(G空間)の活用、医療や教育分野での取り組みの盛り上がりなど、時代は「ICTの夜明け前」を思わせる状況です。成長戦略の要の一つとして、私自身も、ICTの積極的活用に取り組んで行きたいと思います。

 27日(木)、初めての国内出張で長野県塩尻市を訪ねました。ICT街づくり事業のモデル都市として、24年度の総務省予算でセンサーをネットワークしたシステムを構築し、子どもの見守り、地すべりや有害鳥獣の発見、ため池の水位管理など多用途への活用を図っています。さらに、災害時の緊急情報をエリアワンセグ放送で流したり、市内の公共施設にWi-Fi(ワイファイ)設備を整備し、インターネットに容易に接続できる環境を整えています。ICT街づくりの先端を走る塩尻市は、一面、木曽漆器やワインの産地であり、奈良井宿、木曽平沢という二つの重要伝統的建造物群保存地区を持つ、個性豊かな都市です。総務省の本事業推進委員会の岡座長の言われるように、「百聞は一見に如かず」、元気な地域の取り組みを歩いて勉強し、取り入れて行きます。来週からは参院選に入るので、この半年間の政務官としての経験を土台に、ICTの今後の展望を綴ってみようと思います。

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国政報告(第188号)

 先週末、富山に戻ると東京よりも熱く、驚かされました。今週も東京は雨が降ったりやんだりの梅雨空ですが気温は高くなり、蒸し暑い状態です。そんな中、安倍総理のサミット出席を兼ねた海外出張もあり、20日(木)の帰国を受けて終盤国会に入っていきます。

 20日に開催された政務官会議では、参議院で条約3本、協定書6件、法律案4件の審議・採決がまだ行われていない旨、報告がありました。24日(月)から最終日までの3日間の会期中に波乱が起きないよう気を引き締めて臨まなければなりません。衆議院の定数の0増5減法案も、週明けには再可決・成立の見込みです。23日(日)の東京都議会議員選挙の結果も受けて、会期末・参議院議員選挙へと向かう流れです。

 総務省では、ICT成長戦略の取りまとめが大詰めを迎えています。既に医療・介護の現場での電子カルテや処方箋等の情報を電子的にやり取りする「地域医療情報連携基盤」の2018(平成30)年度まで全国展開の実現など、内閣がまとめた成長戦略に織り込み済みの内容を含め、通信・放送にわたる近未来のICT活用の方向性を明らかにするものです。施策の方針を取りまとめたら、後は実行あるのみで、来年度の概算要求へと仕事はシフトしていきます。

 毎週の見学は、20日(木)に足立区にある日本郵便のロジスティックスセンター(JPロジサービス(株))に行ってきました。大口荷主から荷物を預かり、オーダーに合わせてピッキング・梱包し、ゆうパック・ゆうメール・EMS(国際急送便)などの郵便サービスに乗せる仕事です。物流業界では、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)と呼ばれる業務で、モノを配達するという基本業務に付加価値を上乗せし、収益を拡大するとともに、荷物を川上で確保する役割も果たします。日本郵便では、郵便の集配ネットワークの再構築を進めており、業務の集約化で空いた施設を営業倉庫に転用するなどして、3PLを始めとする物流業務の拡大を目指しているとの事。同じ施設には、株主総会の案内状の封筒詰め等の業務をこなすJPビズメール(株)も入居しています。偶然、JPグループの新経営陣のスタートの日と重なりましたが、郵便業務の周辺にはまだまだ発展可能性が広がっていると感じています。

 19日(水)の夜は、私が省内で主催している月1回のコンテンツ研究会があり、今話題の4K・8Kテレビの技術を用いた海外へのコンテンツ展開の可能性を語り合いました。高品質な画質がふさわしい分野でのコンテンツづくりや、インターネット機能と融合させた双方向のスマート・テレビ(ハイブリッド・キャスト)の活用など、近未来の夢が膨らむ会でした。25日(火)には、もう一方の携帯電話の研究会を予定しています。これら2つの取り組みもそろそろまとめに入らなければなりません。間もなく始まる参議院選挙に備え、来週・再来週には東京での仕事を一区切りつける予定です。

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国政報告(第187号)

 今週の東京は、台風3号の影響もあって、梅雨空が続きました。そんな中、国会では内閣提出法案の審議が粛々と進みました。総務省の案件も、13日(木)の参議院総務委員会を給与法改正案が通過し、全て成立の見込みとなりました。4月中旬から2カ月弱続いた、火・木の衆参総務委員会シフトも終わり、14日(金)の都議選告示を前に、150日間にわたった通常国会もゴールが見えてきました。官邸の委員会で検討されてきた成長戦略を始めとする各種構想も逐次取りまとめの段階に入り、7月4日(木)スタートと言われる参議院選挙を前に霞が関・永田町の動きは一区切りです。

 一方、為替と株の相場はここのところ変調を来しており、13日の終値は、東証の株価が843円安の12445円、円相場も1ドル94円台に円高が進んでいます。昨年末から見れば、十分株高・円安の状況に変わりは無いものの、メディアの見方では、政権の成長戦略への市場の評価が厳しいとの事です。この間の戦略取りまとめ作業を側で見てきた私の感覚とすれば、戦略の内容よりも、各項目を着実に実現してみせる事こそ、「第三の矢」を的に当てる方策だと思います。年初からの相場に見られる期待感を現実のものとする事こそ、経済政策の王道です。足元の相場の調整局面を憂う事なく、成長戦略の工程表を実行していくよう、総務省のICT関連施策について努力して行こうと思います。

 例えば戦略では、地域医療情報連携基盤の全国展開を2018年度までに実現するとしています。島根県、広島県尾道地域、長崎県など、地方圏では地域の中核病院と医師会の皆さんが連携し、自治体も支援する形で病院と診療所の情報ネットワークが育ちつつあります。しかし、患者さんが広域に分布する首都圏等の大都市圏では、未だ情報連携のモデルが確立していない現状にあります。しかし、目標年次を5年後に設定したからには、大都市圏での取り組みも早急に始めなければなりません。そのために、厚生労働省と協力し、地域に働き掛けて行く事こそ、今、総務省が頑張る番地だと考えます。私なりに声を出し、動いていこうと思い定めています。

 さて、今週の見学は、埼玉県ふじみ野市にあるKDDI研究所に伺いました。前身の国際電信電話(株)時代に関わる海底ケーブルの光ファイバーの伝送容量を増大させる取り組みから、高精細画像の圧縮伝送技術、スマートフォンをカメラとして災害時に活用する技術など、今日のICTの発達に応じたハード・ソフトにわたる研究開発の現状をわかりやすく説明頂きました。引き続き、現場を体感しながら情報通信分野の未来像を考えて行きます。

 先月末の東京スカイツリーへの放送電波移転に伴い発生した視聴障害への対応は、関係者の努力により、一歩づつ収束に向かいつつあります。さらに、かんぽ生命(株)の学資保険の内容変更の認可と南部アフリカ地域での地デジ日本方式の採用という、目前の課題の解決にも取り組んでいきます。

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国政報告(第186号)

 6月1日(土)から3日(月)にかけて、横浜で第5回アフリカ開発会議(TICAD-V)が開催されました。この機会をとらえ、前日の5月31日(金)にボツワナのマシシ公共政策担当大臣とアンゴラのブラガンサ外務副大臣と面談し、地上デジタル放送の日本方式の採用について話し合いました。既に2月に採用決定を頂いているボツワナ・マシシ大臣とは、今後の具体的な進め方を打ち合わせ、検討中のアンゴラ・ブラガンサ副大臣には、所管のロッシャ情報通信大臣によろしく伝えて頂くようお願いしました。このほか、レセプションの場等でマラウィのバンダ大統領、モザンビークのゲブーザ大統領にも働きかけをする機会を得ました。近年のアフリカの経済発展は目覚ましく、日本との間でも援助や技術協力を超えて、企業進出や資源開発など通商の多様な分野に渡って関係が深まりつつあります。TICAD-Vでも、安倍総理が議長となって「躍動のアフリカと手を携えて」とのテーマの下、「成長」に焦点を当てた議論が展開され、「横浜宣言2013」と向こう5年間の行動計画が採択されました。

 ちょうど3日には、中米のグアテマラが日本方式を採用頂いた旨、報道発表があり、これで中南米を中心に14カ国で採用されたことになります。南部アフリカにも展開が進むよう、引き続きアンゴラの動向を見守っていきたいと思います。

 今週の見学は、かんぽ生命(株)の東京サービスセンターでした。全国の契約のほぼ3分の1を取り扱い、個々の郵便局でお客様が申し込まれた新規契約の内容チェックと、保険対象の事故があった時の保険金支払いの審査をする場所です。窓口からの照会や、お客様の問い合わせ・苦情への対応も業務としています。いわば、「縁の下の力持ち」の役割を担っており、会社が保険業務を円滑に進めて行く上での要といえます。契約書面は1枚ずつイメージ・スキャンで画像として取り込まれ、スタッフの方がコンピュータの画面上で手際よく内容チェックを進めていました。今後は支払い関係書類も画像に取り込んで扱う予定とのこと、業務の効率化が期待されます。

 国会は、参議院で衆議院の定数是正に関し、野党が提出した18増23減法案の扱いを巡り与野党が対立し、新たな法案審議に入れない状況です。それでも5日(水)には本会議があり、先に委員会審議を終えた電波法改正案が可決成立、併せて一度否決された人事院の人事官と、会計検査院の検査官を含む人事案も同意されました。6日(木)には衆議院の総務委員会で地方分権を進める「第三次一括法」も審議を終え、残るは参議院の総務委員会で給与法改正案の審議だけとなりました。来週14日(金)には東京都議会議員選挙が告示・スタートするだけに、そこまでがいわば「終盤戦」です。

 安倍内閣の成長戦略が逐次発表される一方、株価はいつの間にか一本調子の上昇基調から不安定な値動きに変わってきています。参議院選挙まで1カ月弱、ここ一番、内閣の関係者が緊張感をもって事に当たるべき時、自分も持ち場で努力していきます。

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