2019年7月

国政報告(第486号)

 参院選が終わって、遅れ気味だった梅雨明けが西から宣言されて夏本番のようです。17日(水)からの終盤戦を地元で過ごし、堂故候補の再選の万歳を済ませて21日(日)深夜に上京、週明けからは「平常モード」に戻って議員会館と復興庁の往復です。

 「復興五輪」海外発信プロジェクトの一環で、23日(火)はウルグアイのフェレール大使24日(水)はインドネシアのタスリフ大使と相次いで面会しました。次いで午後から福島に出向き、あづま球場で旧国立競技場炬火台除幕・点火式に出席しました。この炬火台は、昭和39(1964)年の東京オリンピックで使用されたもので、震災復興の支援として平成26年から宮城県石巻市に貸し出されていました。今春から順次、岩手県、福島県で展示され、10月には製造元の埼玉県川口市に「里帰り」する予定です。内堀知事や王貞治さんも出席されてのセレモニーは、生憎の夕立で中止となりましたが、小止みになったところで福島市の小学生による除幕と点火ができました。会場関係者の粋な計らいで、オリンピック開会式の1年前をお祝いできました。その後、王さん、浮島文部科学副大臣、木幡福島市長とご一緒に、来年の本番に向けて改良工事が進む球場を見学して帰京しました。

 さて、前号まで2回続けて「地方創生」という政策の成り立ちを紹介してきましたが、今年は取り組みから5年が経過し、第2期に入ります。そこで、政策の主たるKPI(主要業績評価指標)では地方・東京圏間の転出入数や夫婦子ども数の実績を見ると、均衡を目指した転出入数は相変わらず東京圏への転入超過で改善が見られず、夫婦子ども数の実績も引き続き希望水準を下回っています。このため、政策の目的実現には一層の取り組みの強化が必要な現状です。もちろん地方創生の主役は、各々の地域であり、基礎自治体の創意工夫に依る所が大です。しかし、国全体としても急激な人口減少に歯止めをかけ、都市圏・地方圏を通じて高度空間を有効に利用していくことは重要であり、国の政策の見直し・強化も必要だと思います。少子化対策は、10月の消費税引き上げに伴う幼児教育・保育無償化や高等教育の就学支援新制度により、一定の前進が予定されており、出生率への好影響を期待したいところです。一方、地方圏で若者に就いてもらう「しごと」づくりの面で、特に官庁や大企業の本社機能の移転の実が挙がっていません。私は、民間大企業の地方移転を誘導する政策の強化と併せ、「隗より始めよ」で、文化庁の京都移転に続き、中央省庁の地方移転を改めて積極的に進めるべき、と考えています。参院選後の新たな国政のステージにおいて、今一度「地方創生」を真に実現するための政策提言に自分なりに努力していきます。次号からは、通常ベースに戻って復興庁や国会での活動を報告していきます。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第485号)

 参院選も運動期間が後5日と、終盤戦です。盛り上がりに欠ける雰囲気も感じられる中、この三連休も多くの支援者の皆さんに集会など参加頂いています。一方、天候は「梅雨寒」のような状態が続いており、下旬には夏空を期待したいところです。

 復興庁では、10日(水)に「復興五輪」海外発信プロジェクトの一環としてナミビア大使館に伺いました。今秋、日本で開催されるラグビーワールドカップで、10月13日(日)に釜石鵜住居復興スタジアムにてカナダとの対戦が予定されており、オリパラでは宮古市がホストタウンになっています。ルスウェニョ大使に面会し、復興に対する支援への御礼に併せ、現状を説明しました。

 さて、「地方創生」の前号からの続きです。大都市圏と地方圏の発展の調和を図る国土政策の考え方は以前にも存在しました。これに対し、地方創生は、我が国が直面する人口減少・地方消滅という「静かなる有事」への対応が主眼であり、ターゲットも子育て世代である「若者」です。若者世代に出生率の高い地方圏に居住いただき、良好な子育て環境の下で次世代を一人でも多く育成してもらう。そのために、まずは地方圏に若者の多様な自己実現の欲求を満たす仕事場が必要です。街に人が住むには仕事が必要、よって、「地方創生」=「まち・ひと・しごと創生」となります。

 もちろん、全ての街にあらゆる種類の仕事場を用意することはできません。当然、各々の地域にその地域の特性を生かした仕事があるでしょうし、それを伸ばしていく、或いはより魅力のあるものとしていくことも必要です。例えば、地域の農産物や伝統工芸品の販路を大都市圏、さらには世界に拡大し、消費者の様々なニーズに対応し、品質やデザインを高めていく動きが見られます。

 一方、東京を中心に集中している都市機能、特に官庁や大企業の本社機能が多くの若者を雇用していることも事実です。私の宿舎から議員会館への通勤経路にある地下鉄銀座線の溜池山王駅を行き交う数多くの若者の姿を見ると、正直、ため息が出ます。若者の学びの場である大学が大都市圏に偏って立地していることも、地方圏からの18歳時点での人口流出につながっています。官庁・大企業・大学が首都周辺に一極集中している姿が世界の通例かと言えば、アメリカもドイツも中国もそうではありません。少なくとも国内に数か所の中核都市と言われる拠点があり、機能が分散されている場合が主流でしょう。

 よって、地方創生では、地方圏での魅力ある職場づくり、官庁・大企業本社・大学の分散配置の促進、若者の子育て環境の改善、といった施策を総合的に展開し、主たるKPI(主要業績評価指標)として、地方・東京圏の転出入均衡や夫婦子ども数予定実績の向上を掲げたのです(次号に続く)。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第484号)

 4日(木)に参院選が公示され、21日(日)の投票日まで、17日間の選挙戦に突入しています。4日、7日(日)、10日(水)と在京当番のため上京する以外は、富山で応援活動をしています。良い結果が出せるよう努力します。

 今回の選挙の争点は、大きくとらえれば、平成24年12月の政権復帰以後、6年半の自公連立政権の歩みを対象に、現在の政策路線で良いか、有権者の審判を仰ぐ事だと思います。国が直面する内政・外交の課題は多岐にわたり、私が担当している東日本大震災からの復興もその一分野です。復興の取り組みと被災地の現況や課題については折々報告していますので、この選挙戦中は他の分野について私の意見も述べたいと思います。

 安倍内閣が「地方創生」を政策目標に掲げたのは、平成26年の夏でした。当時、増田寛也元総務大臣の「地方消滅」というレポートが大きな反響を呼んでいました。少子高齢化の進展の下、人口の首都圏への一極集中が進むと、次世代を担う子供たちを産み育てる若い世代が地方圏では少なくなり、過疎地の人口減少にさらに拍車をかけます。まして、東京都の出生率は全国一低く、国全体の人口減少も加速させることになります。2040年には現在の市町村の半数近くが消滅の危機に瀕するとの衝撃的な内容でした。

 私も、平成21年夏の初当選以来、首都圏への一極集中には疑問を感じていました。それ以前の高岡市長時代の素朴な感覚として、自分の街で生まれ育った若い世代が都会に流出し、出入りがマイナスになることに抵抗がありました。もちろん、一人一人には人生選択の自由があり、都会、時には海外に出て、自分の活躍したい分野で大いに羽ばたく事は素晴らしいと思います。それでも中には故郷に愛着を持ってUターンする若者もいてほしい、逆に都会育ちで富山に自分の生きがいを見出して移住する若者もいてほしい。自治体の立場では、それを受け身に願うだけではなく、若者が「自己実現」できる職場を用意する努力が必要だ。一方、国も「国土の均衡ある発展」を促す施策で地方の取り組みを応援してほしい。北海道開発庁という国の国土政策の一端を担う役所で社会人生活を始めた自分の歩みに思いを馳せ、「地方から始まる新しい国のかたち」を描き出す事を国政に携わらせて頂いた際の初心としました。

 しかし、10年前の国政の雰囲気は、日本の再生のためには東京がエンジン役を果たすべきであり、「国土の均衡ある発展」は地方圏への公共投資のバラマキに利用されるだけだ、との論調が大勢でした。規制改革の考え方を国土政策にも適用し、国は地方の自主的な頑張りに自由放任的に委ねれば良く、むしろ、地方分権を徹底し、国の関与を薄めるべきとの考えが主流でした。そこから流れが「地方創生」に代わったのですが、この後は次号で続けます。

カテゴリー: 国政報告 |

国政報告(第483号)

 通常国会が閉会して一週間、先週末のG20首脳会議に続き、板門店での電撃的な米朝首脳面会など国際情勢も激動する中、明4日(木)は参院選の公示日となります。6日に一度の在京当番日にあたり、富山での出陣式は欠席しますが、5日(金)から応援に注力していきます。梅雨前線が活発化して、南九州では大雨が続いており、大きな被害とならぬよう、念じています。

 先週は、6月27日(木)朝に富山に戻り、令和2年度に向けた地元6市の要望事項を把握すべく、市役所訪問を始めました。東海北陸自動車道の四車線化など地域の骨格となる社会資本整備も残ってはいますが、小中学校の耐震化などはほぼ終了するなど、どちらかといえばハード(施設整備)からソフト(制度要望)に重点が移ってきた印象があります。地元選出議員として地域の要望を共有し、各省庁の対応を確認していきます。28日(金)は在京当番、29日(土)に地元に戻り、高岡地区後援会青年部の国政報告会にて復興庁での取り組み、地方創生や高岡への思いなど話しました。

 30日(日)朝、射水市にて伏木富山港(新湊地区)国際物流ターミナル延伸整備事業完成式典に出席しました。岸壁の延伸により、コンテナ船が2隻同時に接岸・荷役できる体制が整い、船の運航が重なっても沖待ちせずに済む環境が整いました。過去、新潟の出先で課長として整備の青写真を描かれた下司弘之港湾局長が国土交通省を代表して出席、祝辞を述べて頂き、当時を知る者として嬉しい式典でした。お昼に武田慎一県議の県政報告会にて挨拶し、夜は小矢部市で参院選に向けた堂故茂・山田俊男両議員の結集大会に参加しました。7月1日(月)は庄川左岸地区用排水対策促進協議会の総会に出席し、昨年度の国営農地防災事業完工を受けて、附帯県営事業の促進を誓い合いました。

 1日夜に上京し、2-3(火―水)日と福島県に出張し、被災市町村を回りました。初日は飯舘村で子ども園・小学校・中学校が一体的に整備された姿を拝見し、南相馬市では県立小高産業技術高等学校、浪江町では福島水素エネルギー研究フィールドの建設現場特定復興再生拠点として再整備中の「陶芸の杜おおぼり」(大堀相馬焼のセンター)に伺いました。次いで、双葉町の駅前中野地区復興産業拠点の整備現場(既に4社5か所が立地協定締結済)、大熊町大川原地区の役場新庁舎と入居が進む復興公営住宅富岡町の夜ノ森駅周辺の除染・解体状況を順次見て回り、夕刻には県立ふたば未来学園中学校・高等学校の新校舎を見学しました。

 2日目は、冷温停止中で廃炉を検討中の東京電力福島第二原子力発電所を訪問し、富岡町の廃炉国際共同センターを最後に帰京しました。浜通りの復興の進捗状況を確認しつつ、進行中の営みや新たな課題も把握でき、今後の執務に役立てていきます。

カテゴリー: 国政報告 |