2020年5月

国政報告(第528号)

 5月も最終週に入り、通常国会も会期末まで3週間余となりました。開会時には予想できなかった「コロナ禍」ですっかり様相の違う展開となりました。終盤を迎え、検察庁法を含めた公務員の定年延長法案の成立は見送られましたが、与党とすれば内閣提出案件をできるだけ成立させる努力の時期です。この後、第二次補正予算案の提出も予定されており、日程を苦心しながらの大切な毎日です。

 コロナウイルス対策では、14日(木)の39県の緊急事態宣言解除に続き、21日(木)には関西の3府県、25日(月)には北海道と首都圏の4都県も解除されました。4月7日(火)の7都府県の指定以来49日間、ともあれ全面解除を迎えました。各地で学校や営業活動が再開され、安堵感も漂いますが、感染の再発を注意しつつ、「新しい生活様式」に従い、人と人の接触を避けながらの滑り出しです。業種によっては引き続き負の影響が残るものもあり、政府としても第二次補正予算できめ細かく手当てする方針です。今朝(26日(火))時点の世界の感染者数は米国の165万人を始め545万人余、亡くなられた方が34万4千人、我が国の感染者数は1万6千人台で富山県は227人、前号と同数となりました。

 先週の動きですが、かねて定年延長について法解釈上の議論があった東京地検の黒川検事長が緊急事態宣言下で「賭けマージャン」をした事が発覚、22日(金)に辞職しました。これを受けて、内閣は公務員の定年延長法案について、廃案も含めて検討するようです。この問題については、自分なりに野党時代から関心があります。年金受給年齢の段階的引き上げに伴い、60歳代前半で無年金状態が生じることから、働き方改革の観点からも、職員本人の希望に従って定年を延長すべきとの立場です。もちろん、処遇や給与は民間の実情も勘案して降格や切り下げは必要と思います。本来は10年前にも制度として構築しておくべきだったのですが、政治や社会経済情勢の変遷の中、取り残されてきた課題です。可能なら、次期国会に向けて継続扱いとなれば、と願っています。

 衆院文部科学委員会は、20日(水)、22日と定例日に開催し、内閣提出の著作権法改正案を審議しました。インターネット上でマンガなど著作物を無料で閲覧させる違法サイトが横行する事への対策として、文化庁に関係者が集い、慎重に検討されたものです。サイトから自分のパソコン等へのダウンロード規制の対象について、映像・音楽から著作物全般に拡大するとともに、軽微なものを処罰対象から除くなど、権利者と利用者の間を入念に調整しています。関係者をお招きした参考人質疑でも苦心の跡が良く伝わり、充実した質疑の上、全会一致で可決されました。今後、東京オリンピック・パラリンピックの1年延期に伴い、明年の祝日を移動させる法案が提出される見込みです。第二次補正予算は次号でお伝えします。

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国政報告(第527号)

 14日(木)に安倍総理から緊急事態宣言について、富山県を含む39県で解除すると発表がありました。コロナウイルス対策も新たな段階に入った感があります。折しも、議員会館の窓外は、梅雨の走りのような雨模様で、春から初夏へとこの間の時の経過も感じます。今朝(19日(火))時点の世界の感染者数は米国の148万人弱を始め468万人余、亡くなられた方が31万4千人弱、我が国の感染者数は1万6千人台で富山県は227人、前号から6人増です。ロシア、ブラジルなど引き続き感染拡大が続く国もあり、国内も落ち着いたとは言え、感染再燃の警戒は怠れません。

 休業・自粛要請も段階的に解除され、学校も分散登校が始まるなど、経済社会が再始動しつつありますが、すぐに以前の状況に戻れるものでもなく、飲食・観光など引き続き厳しい営業環境に置かれています。「コロナ関連倒産」も、今月に入って増勢を強めており、昨18日(月)発表の本年1~3月期実質GDPも年率換算で3.4%の減、4~6月はさらに冷え込む見通しです。プロ・スポーツの再開もままならず、各種文化イベントも休止を余儀なくされたままです。このような現況も踏まえ、14日には安倍総理から第2次補正予算編成の意向が正式に表明されました。家賃支援、雇用調整助成金の上限額の引き上げ、自治体に交付される地方創生臨時交付金の増額、大企業への資本性資金供給などが主たるメニューとして検討されています。一方、文部科学省関係では、本日の閣議決定で、予備費530億円を使用し、「「学びの継続」のための「学生氏支援緊急給付金」」が創設されました。親からの仕送りやアルバイト収入が激減し、就学が困難になるなど深刻な影響を被っている学生に対し、10万円(住民税非課税世帯の学生は20万円)を給付するもので、対象者は約43万人を見込んでいます。

 党では、政務調査会の各部会ごとに、必要な追加対策案の取りまとめを進めており、明20日(水)の全体会議を経て、政府に申し入れる予定です。第2次補正予算は今月下旬にも内容を確定し、明月の国会提出、6月17日(水)の会期末までの成立を目指しています。第1次補正も含め、決定された施策を一刻も早く国民各層に行き渡らせ、安心頂くことが目下の重要課題です。

 先週に戻り、14日の衆院本会議で復興庁設置法改正案の趣旨説明・質疑が行われ、審議入りしました。昨年の副大臣在任当時に検討を進めていたもので、復興庁の設置期限を10年間延長し、特に福島県など原子力災害被災地域の復興を成し遂げるべく、施策の充実も図る内容で、早期成立を願っています。15日(金)には文部科学委員会で5時間の一般質疑を持ち、上記困窮学生の問題を含め、学校の再開、文化・スポーツへの手当てなど幅広く議論されました。20日から著作権法改正の審議を進めるなど、持ち場で努力します。

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国政報告(第526号)

 週が変わって、国会では11日(月)に衆参の予算委員会で4日(月)の緊急事態宣言延長を受けた質疑が行われ、各委員会も審議を再開する流れとなっています。本日(12日(火))の本会議では、社会保障制度改革の一環となる年金制度機能強化法案が可決され、介護制度を強化する社会福祉法等一部改正案の趣旨説明・質疑が行われました。文部科学委員会もお昼に与党の理事打ち合わせを持ち、週内にも委員会を開けるよう、馳筆頭理事を中心に調整を進めることになりました。今朝時点の世界の感染者数は米国の134万人弱を始め415万人弱、亡くなられた方が28万4千人弱に達しました。我が国の感染者数は1万5千人台で落ち着きつつあり、富山県は221人、前号から5人増にとどまり、2日間新規感染者が発表されず、感染再燃を警戒しつつも出口も見えそうな気配です。

 政府は、14日(木)に専門家会議を開いて緊急事態宣言の解除基準を諮る旨、表明しています。これに伴い、「特定警戒都道府県」以外の34県(富山県を含む。)の一部又は全部での宣言解除が検討されているようです。自粛要請に対し、国民、事業者の皆様の多大な協力を頂いて、感染者数の抑制を成し遂げてきた訳ですが、今度は如何に元の社会経済活動を復元させていくかという段階に入ります。一面、大都市圏など緊急事態宣言が継続し、引き続き自粛を要請せざるを得ない方々への追加的対策も求められます。また、感染再燃を防ぐために求められている「新しい生活様式」に、私たちの行動や事業活動を如何に調和させていくかも課題です。

 文部科学行政の分野でも、感染予防に配慮しながら学校の再開をどのように進めて行くのか、地域により授業進度もばらついていく事が想定される中、「9月入学」の提案も含め、入試をどのように行うのか、悩ましい問題です。また、留学生を含め、アルバイト収入により学業を支えてきた困窮学生に対する授業料減免や就学支援も検討が必要です。委員会質疑を通じ、施策への反映が望まれます。

 このほか、緊急事態が2か月に及ぶ現状から、家賃支援、雇用調整助成金の上限額の引き上げ、事業者に対する更なる資金繰り支援など、政府の新たな対応が求められる課題が浮上しています。4月20日(月)の緊急経済対策、第1次補正予算でカバーできていない施策を取り込んだ新たな対策・第2次補正予算の立案が必要との声が与野党から挙がっています。安倍総理も、必要な対策があれば今国会(会期末:6月17日(水))対応したいと昨日答弁されており、現場の声を的確に反映した追加対策を与党としても早急にまとめ、政府に申し入れていきます。

 ウイルスという目に見えないものに如何に対応し、私たちの経済・社会を安全・安心に運営していくか、科学的に知恵を絞り、人々の理解と協力を得て前進することが、目下の政治の課題です。

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国政報告(第525号)

 今までにない静かな大型連休が終わり、今日からまた議員会館に出ています。国民の皆様のご協力の結果、日々の新型コロナウイルスの新規感染者数は確かに減少傾向にあります。しかし、その速度が専門家から見てまだ十分とは言えないことから、4日(月)に安倍総理から緊急事態宣言の月末31日(日)までの延長が発表されました。ちなみに、昨日朝(6日(水))時点の世界の感染者数は米国の119万人を始め363万人弱を数え、亡くなられた方が25万4千人に達しました。我が国でも感染者数が1万5千人を超え、富山県は216人となっています。富山県も昨日は久しぶりに新規感染者が発表されず、対策の効果が確認できる状況です。

 一方、補正予算案は祝日の4月29日(水)も使って衆参両院で順次審議され、4月30日(木)に成立しました。早速、1日(金)から中小・小規模事業者に対する上限200万円(個人事業主は上限100万円)の持続化給付金の申請受付がネットで始まりました。国民の活動自粛や自治体からの休業要請でご苦労されている事業者の皆様には、従業員に対する雇用調整助成金、税金や各種公共料金の納税猶予や減免、自治体からの休業要請に伴う協力金と、信用保証協会・政府系金融機関による資金繰り対策を併せて活用頂ければ、と思います。また、国民1人当たり10万円の特別定額給付金も、申請書を郵送し、各自治体で体制を構築頂き次第、順次受付けが始まっており、マイナンバーカードを利用したオンライン申請も設けて迅速な支給に努めています。さらに、緊急事態の延長を受けて、政府では新たな経済対策も準備する事となり、党も現場の声を反映させるべく、対策本部での意見集約・提言を続けていきます。

 ウイルスという目に見えないものを、科学的知見を活かしながら抑え込んでいく取り組みが効を奏しつつある現在、慎重かつ確かな「出口戦略」が求められます。究極には、治療薬やワクチンの開発による万全の体制の構築が望まれますが、当面は感染を抑え込みながら、社会経済活動を可能な限り復旧させなければなりません。専門家からも「新しい生活様式」が示されましたが、「対面ではなく横並びの食事」など、飲食店の営業形態と如何に調和させていくかが課題です。状況が落ち着いた地域の宣言解除の道筋も付ける必要があり、解除基準が14日(木)をメドに公表する方針です。

 学校現場でも、富山県を始め休校状態が月末まで長引く様相です。文科省も、1日に学校運営に係る新たな通知を発出し、小学校1年生、6年生、中学校3年生等を優先して、分散登校日を設けるなどの対応を示しています。国会でも11日(月)の衆参予算委員会から質疑が再開されますが、文科委員会でも子供たちの現状や、文化・スポーツ活動の現状を踏まえ、行政側との意見交換が望まれる状況となっていると考え、委員長としても努力していきます。

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