国政報告(第283号)

 梅雨らしい東京の天候の下、通常国会は会期末を控え、荒れ模様の展開となっています。一面、経済産業委員会、環境委員会などで着実に法案審議が進んでいるのですが、重要法案である労働者派遣法改正案、農協法改正案、平和安全法制の3本の審議は厳しい状況が続いています。派遣法案は日本年金機構の個人情報流出問題で審議が遅れていましたが、ようやく採決の機が熟してきました。野党側も維新が採決に応じる姿勢となったものの、民主・共産が拒んでおり、ギリギリの交渉が続いています。農協法案は、8日(月)に地方公聴会が開かれ、地域の意見も聴取して、採決に向けて大詰めを迎えています。一方、平和安全法制は、野党側が与党の提案する審議日程に難色を示し、累計の審議時間は35時間程度に留まっています。先週4日(木)の憲法審査会に参考人として出席した3人の憲法学者が揃って平和安全法制を違憲と述べた事で質疑がさらに難航しています。

 もっとも、平和安全法制は、昨年夏の切れ目のない安全保障体制構築する方針を示した閣議決定に基づき、関係省庁・与党内で内容を十分吟味してきたものです。閣議決定の際も、法制立案の際も、行政における「法の番人」たる内閣法制局が十分に審査・吟味しているものであり、当然憲法の枠内に収まっているからこそ、国会に提出されたものと思います。焦点の集団的自衛権も、国際法上の全てを認めるものではなく、我が国の存立が脅かされる特定の事態にのみ、いわば個別的自衛権の延長線上に例外的・限定的に認められている形となっています。あくまでも、日米同盟を基軸に、我が国の平和と安全を守るための法整備です。最近、日中関係もひと頃よりも雪解けムードとなり、我が国の国境離島をめぐる近隣諸国とのトラブルも沈静化している事を見ても、まさに「備えあれば憂いなし」です。併せて、国際社会が我が国自衛隊の平和維持活動に寄せる期待にも対応した法整備が盛り込まれており、特別委員会の審議を通じて皆さんに理解を深めて頂きたいと思います。

 さて、先週末は6日(土)の党高岡市連総会に出席したほか、地元の行事をこなし、8日(月)のかがやき536号で上京しました。国対委員会正副打ち合わせに始まり、財政再建特命委員会の2020年度に向けた歳出改革案の取りまとめに、事務局長代理として文案修正や各先生方との意見調整など汗をかいています。社会全体の高齢化が年々深刻となる中、社会保障費の自然増を制度の見直しや健康づくり等も様々な施策を検討、逐次実行に移すよう促します。その分、文教・社会資本整備等、政策的経費の純増の余地を残し、地方財政は国の社会保障引き下げと連動させて無理なく節約を進める方針です。アベノミクスの順調な展開により、26年度の税収も上振れが期待できるようです。経済再生と財政再建の「二兎を追って二兎を得る」提言案で近々の取りまとめを目指しています。沖縄の西普天間跡地の活用策の提言と併せ、月末に政府が策定する「骨太の方針」に反映させ、新年度の政策展開につなげて行こうとするものです。

 持ち場で汗をかき、大局の進展を念じる、そんな姿勢で、来週は今国会最大のヤマ場と覚悟して迎えたいと思います。

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