2016年7月

国政報告(第340号)

 北陸から一足遅れて、東京も28日(木)に梅雨明けとなり、強い日射しと暑さがやってきました。先週に引き続き、経済対策の取りまとめ、2020年小委など党政務調査会の仕事を主体に、週日の東京での活動を続けています。

 先週末は、伏木港万葉埠頭に海上自衛隊の護衛艦、「いせ」、「みょうこう」、「せとぎり」の三隻が入港しました。防衛大学校の学生120名余の実習を兼ねての寄港で、一度に三艦が接岸するのは伏木港では初めてであり、全国的にも珍しいとのことです。22日(金)の歓迎レセプション24日(日)の艦上での答礼レセプションに参加、福井司令ほか皆さんと歓談しました。23日(土)は、高岡で日本インドア・グリーン協会の総会があり、屋内緑化を営む方々が全国から100名余集まられました。地元の野上さんが行事の運営から視察研修のコース設定まで仔細に準備されており、総会前には滝田洋二郎監督が制作された高岡を紹介する5分物の映画も上映され、好評でした。いずれの行事も、北陸新幹線の開業効果の現れであり、防大生も伏木港で下船し、新高岡駅から東京経由で横須賀に戻ったそうです。

 25日(月)の朝、党県連常任顧問会議にて、今秋の知事選に石井知事を推薦するべく、30日(土)の総務会に提案する事に決し、夕刻に上京、26日(火)朝の政調全体会議での経済対策の議論に参加しました。政府から提示された案は、①一億総活躍、②21世紀型インフラ整備、③英国のEU離脱決定に対応した中小企業対策、④熊本地震対応ほか防災対策、の4本柱となりました。総務部会長として、地方に十分な事業が確保されるよう要望し、具体的に、本年度当初予算で十分に採択されていない、学校施設整備、農業基盤整備、社会資本整備総合交付金の三事業を挙げ、自治体の要望に応えるよう求めました。会合で出された意見を踏まえて調整が進められ、28日夕刻に再度会議が持たれ、扱いは稲田会長に一任されました。来週8月2日(火)の閣議決定の予定とされており、対策の規模は、官民合わせて28兆円程度と安倍総理が表明されています。この後、内閣改造を経て補正予算の編成に入る訳ですが、一般会計の規模としては、3兆円程度と言われています。自治体の要望が1件でも多くかなうよう、期待しています。

 26日は、利賀ダム期成同盟会の総会が砺波市庄川地区であり、建設現場の視察には参加できなかったものの、新幹線でのトンボ帰りで総会に顔出しがかないました。綿貫会長自らのご尽力で、7年間かかっていたダム事業の必要性の検証作業に答えが出て、継続すべきとの結論が北陸地方整備局から国土交通省に上申された機会での節目の総会で、事業完遂に向けての決意を一同新たにしました。

 27日(水)には、参院選後初めての2020年財政構想小委の会合を持ち、歳出改革工程表の目玉である社会保障分野について、若手議員の皆さんと議論しました。内閣改造・党人事前に、来週もう一度委員会を開催し、少しでも議論を深めておこうという思いです。また今週は、南砺市、小矢部市、高岡市と重要要望に上京され、対応しています。いよいよ8月1日(月)には第191国会(臨時会)の召集、3日には内閣改造の予定となり、新たな体制でまた頑張っていきます。

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国政報告(第339号)

 東海地方まで梅雨明けしたとの事ですが、東京は雨で涼しく、夏にはもう一息という所、今週は「金帰火来」で月末にまとめられる経済対策に向けた党政務調査会の作業が主体です。

 先週末の三連休、16日(土)は富山市にて、党四国選出国会議員の皆さんの視察に対応しました。17日(日)は昨年に引き続いて富山新港を舞台に開催された「タモリ・カップ」のパーティ、18日(月)は伏木海上保安部の巡視船「やひこ」の体験航海への参加と、「海の日」らしく過ごしました。タモリ・カップは、タレントのタモリさんが主催するヨット・レースで、前後にはヨット・パレードやバーベキュー・パーティなど来場者も幅広く楽しめる催しがあります。県セーリング協会の四方会長、石井知事、夏野射水市長などの熱い要望に、タモリさんも来年の3度目のレース開催に前向きな発言をされ、イベント会場は大いに盛り上がりました。

 地元の皆さんの受入れ体制もさることながら、帆船海王丸、海竜マリンパーク、国立高専射水キャンパスと、海洋教育、海洋スポーツに関わる施設の充実ぶりは、タモリさんからも高い評価を受けているとの事です。「やひこ」でご一緒した福井伏木海保部長からも、北陸新幹線開業で首都圏からのアクセスが良くなった利点を生かし、子どもたちの体験学習や大学のゼミ合宿を「夏の富山湾」で積極的に受け入れては、とのエールを頂きました。新幹線を活かしてインバウンドのお客様を増やす事が課題の富山県にとって、上手に活かしたい提言だと思いました。

 この間、県議会政務活動費の架空請求問題で矢後県議が辞職するに至り、残念ではありますが、襟を正して受け止めたい心境です。

 19日(火)に上京し、地元6市の新年度要望のうち、重点事項について各省庁の対応方針の説明を順次受けながら、20日(水)には経済対策に盛り込むべき事項の協議のため、総務部会役員会を持ちました。今回の対策についての総理指示は、①一億総活躍、②21世紀型インフラ整備、③熊本地震対応ほか防災対策、の3本柱となっており、総務省からはICTを活用した地域活性化策や消防体制の充実等の施策が示されました。役員会としてこれを了承しつつ、地方経済のテコ入れのため、地域の要望に沿った事業予算の確保を強く求める意見が出され、地方創生推進交付金など、必要な措置を政府に求める事を付して、政務調査会に意見を提出しました。他部会も順次、部会や役員会を開催して意見を取りまとめましたが、私の出席した国土交通部会でも、自治体への補助・交付金事業の充実を求める声が相次ぎました。この後、稲田政務調査会長が党としてまとめた意見を政府に申し入れ、これを受けた経済対策案が26日(火)朝の政調全体会議に示される予定です。

 21日(木)には、2020年小委の役員会を持ち、来週27日(水)から社会保障分野で改革すべき点についての議論を始める事としました。来月上旬の内閣改造に伴う党人事で、小泉事務局長を含め、お互いにどのような役職に変わるかわかりませんが、少しでも若い世代の皆さんの想いをまとめておこうという方針です。同日、地元6市の先頭を切って、射水市から新年度要望を受けました。来週、再来週とこのような形で仕事をしていきます。

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国政報告(第338号)

 7月10日(日)に参院選の投票日を迎え、富山選挙区は応援してきた野上浩太郎候補が全国トップの得票率で三選を果たしました。全体の結果を見ると、我が党は1人区で21勝11敗で、前回の平成25年のレベルには達しませんでした。新潟・長野・山梨県と、秋田を除く東北各県の選挙区を落とし、沖縄での島尻大臣の落選は、党沖縄振興調査会事務局長としては残念でした。与党で過半数という目標は達成でき、主要メディアでも与党勝利との評価ですが、「西高東低」とも言える選挙結果については、慎重に受け止めなければならないと思います。

 ともあれ、12日(火)に上京し、まずは、選挙区の6市の新年度に向けた国への要望事項のうち、主要なものについて関係省庁から説明を受けています。13日(水)は総務部会・情報通信戦略調査会の合同会議で総務省から通信白書の説明と併せ、3年に1回の電波利用料の見直しの方針や、インターネットの普及に対応した今後の放送事業の在り方についての省内の検討状況を聴きました。また、射水市議会の自民会派の皆さんが上京され、議員会館での勉強会に招かれました。2020年経済財政構想小委の検討状況について話をし、医療・介護・年金・子育てなど福祉施策の在り方について幅広く意見交換しました。

 国政の政治日程も選挙前の想定より前倒しとなり、内閣改造は9月ではなく、8月3日(水)になるようです。現体制で経済対策と今年度補正予算の大枠を決めてしまう方針となり、来週には各部会から要望事項を稲田会長に提出するようにとの指示が出たところです。内閣改造に伴い、党人事も予定されており、総務部会長としての仕事も8月初めまでで一区切りになりそうです。2020年小委もメンバーの交代など可能性が強いものの、少しでも社会保障制度の改革の議論に入ろうと、14日(木)の幹部会で今月末・来月初の2回の会合を予定する事にしました。

 経済対策には、熊本地震の被害への手当てのほか、地域経済の活性化や社会資本整備が盛り込まれる見通しであり、学校施設の充実など、防災効果も併せ持つ事業が上手く組み入れられるよう、政調の会議で声を出して行きます。日本銀行の異次元の金融政策の効果が出ている間に、政調戦略が具体的に前進するように知恵の絞り所です。来週は、経済対策絡みの部会や役員会で忙しくなりそうです。

 こうして、約一カ月半振りに東京での活動に取りかかったところで、矢後肇富山県議会副議長の政務活動費の架空請求問題がにわかに大きなニュースとなりました。本人が記者会見で不正を認めて謝罪し、副議長も辞任するなど、全国レベルでも報道される事態となっています。同じ党で活動してきた同志として残念に思いますが、不正行為自体は到底許されるものではなく、県民の皆さんに真摯に向き合って襟を正していく姿勢が必要と痛感しています。本件についても推移をしっかりと見つめつつ、来週以降も東京での動きを中心にお伝えして行きます。

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国政報告(第337号)

 参議院選挙も終盤戦、時折、夏の前触れのような日射しが照る中、活動を続けています。途中、3日(月)には庄川左岸排水対策協議会に出席しました。前職の高岡市長時代から関わっている事業で、砺波・小矢部・南砺・高岡4市に及ぶ「となみ野」の農業用排水路を改修し、途中に調整池も設け、農業と住民の生活を支える基盤を総合的に整備するものです。附帯の県営事業も、一期、二期と進んで、来年度は三期に入る要望がなされています。平成21年度の着工以来、公共事業抑制の厳しい環境下ではありましたが、国営農地防災事業として着実な進捗が図られ、完成のめどが立ちつつあります。社会資本整備について色々な意見がある中、本事業はその効果を十分に主張できるものだと思います。

 ここ数回、前国会の政務調査会での議論の中からトピックを選んで紹介してきましたが、最後となる今回は、内閣の消費税先送りの決断を受けた今後の財政運営の課題を述べようと思います。これは、秋の臨時国会においても、TPP批准案件と並んで論戦の主要テーマになるものと思います。

 昨年の6月、党の財政再建特命委員会の議論を踏まえ、政府は2020年度までの財政再生計画を、骨太方針の一部として閣議決定しました。リーマンショック後の最悪期の10年度(西暦)のプライマリーバランスの赤字幅を15年度には半減できたことを基礎に、今後5年間で、平均3%の経済成長、消費税の10%への引き上げ、高齢化に伴う社会保障費の自然増抑制を核とする歳出改革の3つの手段の組み合わせにより、赤字を解消することとしました。今回の消費税増税の19年10月への先送りの決定は、当然、計画の進捗を遅らせる効果がありますが、最終年度の20年度には増税効果が十分に発現することから、計画の枠内で増税実施を可能な限り最大限遅らせたとも解釈できます。

 このため、計画で予定している18年度の中間点検時は、増税効果が無いため、赤字幅の縮減は厳しい状況になるものの、成長政策と歳出改革は計画に定めた通りに取り組めば、20年度の目標達成は可能な現状にあると言えます。従って、新年度予算編成に際しては、計画に定めた工程表通り、社会保障費の自然増の抑制策を実行していかなければなりません。自助・共助・公助の精神で、負担能力のある方には応分の負担をお願いし、真に困窮されている方へのセーフティ・ネットをしっかり張っていくという基本理念で、医療・介護・年金など各分野の制度の見直しを具体化しなければなりません。その際、2020年経済財政構想小委員会からの提言・発信も期待されるものと思います。一方、保育士・介護士の処遇改善など新たな政策実現のための財源は、原則として消費税以外の手段で用意しなければなりません。秋にも期待される経済テコ入れのための補正予算の財源も同様で、昨年度の税収の上振れ分が少なくなっているだけに、財源確保には工夫が必要になりそうです。

 また、日本銀行の「異次元の」金融政策も、市場への資金供給量が400兆円を超え、「出口」の議論開始が必至の状況になりつつあります。財政再建に向け、絡み合う政策課題をどう整理・解決していくか、今後の内政の焦点の一つだと思います。

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国政報告(第336号)

 7月に入り、晴れ間には日差しが強く、夏が近づいてきたと実感する中、参議院選挙の運動期間も後半戦に入ってきました。

 今回は、私が座長、小泉議員が事務局長となって活動してきた党財政再建特命委員会の「2020年以降の経済財政構想小委員会」の議論から、5月に3度検討した「働き方」に関する各論の内容を紹介します。少子高齢化を伴う人口減少局面に入った我が国では、特に地方圏において経済指標が今までと異なる動きを示しています。景気が過熱しているわけではないのに、27都道府県全てで有効求人倍率が1倍を超え、業種によっては人材難で事業継続を危ぶむ声まで上がっています。労働市場の供給ひっ迫は、当面変わらないトレンドであろうと思われ、このことを前提に、これから社会参加していく若者の働き方の変化と、必要な政策を議論しました。

 最近、企業の寿命は短くなり、個人の職業寿命は延びる傾向にあります。就職した会社で定年まで勤め上げるというスタイルが必ずしも主流ではなくなっています。また、労働力不足への対応として、外国人労働者を別とすれば、女性や高齢者の役割が期待される一方、子育てや介護との両立や「ワーク・ライフ・バランス」をどう作り上げていくかが課題となっています。企業の社員という形態のみならず、スペシャリストとして自営、起業する生き方もあり、従前の「職人」という働き方も見直されるべきです。「多様性=ダイバーシティ」は、労働分野でも今後のキー・ワードと言えそうです。

 すでに、大企業では採用時に学生時代に起業経験のある学生を評価する傾向にあり、30代で起業する方が増えている一方、教育の現場では、起業のチャンスを生かして踏み出す意欲を持つ若者を充分育てきっていないとの批判もあります。女性の妊娠・出産時の離職を反映する「M字カーブ」の解消、高齢者の労働意欲を高める雇用制度づくりが必要で、労働生産性・資本生産性を向上させるためにも労働時間の短縮が求められます。

 小委員会の中間とりまとめでは、「10代のうちから仕事や起業という道もあれば、大学卒業後すぐに就職しないという選択もある。転職を重ねるのも、学び直しをするのも当たり前。いつだって子育てや家族のケアを最優先できる。何かに失敗したとしても、何度でもチャレンジできる。」と呼びかけています。複線的な働き方のモデルを作り、新卒一括採用から、経験者も含む随時採用へと弾力化すること、企業内で総合職と専門職、正社員と非正規社員の処遇格差を縮めること、副業を解禁すること、1歳時までの育休制度を充実すること、など、社会の雇用慣行を変えていく必要があります。

 そのために、政府も、雇用保険・厚生年金の適用対象を拡大すること、職業教育・職業訓練の内容を見直すこと、育休制度を拡充することなど、制度を変える取り組みが必要となります。このことによって、労働生産性が向上し、経済が活性化するとともに、失業等の社会保障コストを低減させて、結果として財政再建につながれば、という思いで、参議院選挙後に提言をまとめたいと考えています。

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