国政報告(第484号)

 4日(木)に参院選が公示され、21日(日)の投票日まで、17日間の選挙戦に突入しています。4日、7日(日)、10日(水)と在京当番のため上京する以外は、富山で応援活動をしています。良い結果が出せるよう努力します。

 今回の選挙の争点は、大きくとらえれば、平成24年12月の政権復帰以後、6年半の自公連立政権の歩みを対象に、現在の政策路線で良いか、有権者の審判を仰ぐ事だと思います。国が直面する内政・外交の課題は多岐にわたり、私が担当している東日本大震災からの復興もその一分野です。復興の取り組みと被災地の現況や課題については折々報告していますので、この選挙戦中は他の分野について私の意見も述べたいと思います。

 安倍内閣が「地方創生」を政策目標に掲げたのは、平成26年の夏でした。当時、増田寛也元総務大臣の「地方消滅」というレポートが大きな反響を呼んでいました。少子高齢化の進展の下、人口の首都圏への一極集中が進むと、次世代を担う子供たちを産み育てる若い世代が地方圏では少なくなり、過疎地の人口減少にさらに拍車をかけます。まして、東京都の出生率は全国一低く、国全体の人口減少も加速させることになります。2040年には現在の市町村の半数近くが消滅の危機に瀕するとの衝撃的な内容でした。

 私も、平成21年夏の初当選以来、首都圏への一極集中には疑問を感じていました。それ以前の高岡市長時代の素朴な感覚として、自分の街で生まれ育った若い世代が都会に流出し、出入りがマイナスになることに抵抗がありました。もちろん、一人一人には人生選択の自由があり、都会、時には海外に出て、自分の活躍したい分野で大いに羽ばたく事は素晴らしいと思います。それでも中には故郷に愛着を持ってUターンする若者もいてほしい、逆に都会育ちで富山に自分の生きがいを見出して移住する若者もいてほしい。自治体の立場では、それを受け身に願うだけではなく、若者が「自己実現」できる職場を用意する努力が必要だ。一方、国も「国土の均衡ある発展」を促す施策で地方の取り組みを応援してほしい。北海道開発庁という国の国土政策の一端を担う役所で社会人生活を始めた自分の歩みに思いを馳せ、「地方から始まる新しい国のかたち」を描き出す事を国政に携わらせて頂いた際の初心としました。

 しかし、10年前の国政の雰囲気は、日本の再生のためには東京がエンジン役を果たすべきであり、「国土の均衡ある発展」は地方圏への公共投資のバラマキに利用されるだけだ、との論調が大勢でした。規制改革の考え方を国土政策にも適用し、国は地方の自主的な頑張りに自由放任的に委ねれば良く、むしろ、地方分権を徹底し、国の関与を薄めるべきとの考えが主流でした。そこから流れが「地方創生」に代わったのですが、この後は次号で続けます。

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