9月30日(月)に副大臣・政務官人事があり、昨年12月27日から9か月余り務めてきた総務大臣政務官を退任しました。この間、新藤大臣始め総務省の皆さんのお陰で通信・放送・郵政分野の業務に邁進でき、併せて得難い経験を積む事ができました。地元の皆さんにも、在京当番等で折々の行事・会合に欠席がちとなった点、理解、支援頂いた事、厚く御礼申し上げます。今後の党務、国会での持ち場はこれから決まりますが、再び一から努力していきます。
今週は、政務官として最後の出張となった山陰・阪神地方での見聞について、前号に続き、後半の25日(水)の活動を報告します。朝一番は、明石市に所在するNICT(独法・情報通信研究機構)の未来研究所を訪問しました。ICTの将来展開を見据えた幅広い分野で研究が展開されており、省電力化したマイクロチップの開発、外部からの刺激に対する脳の動きの分析など、情報通信をより効率的・効果的に活用するアイデアによる研究を見る事ができました。
その後、神戸市ポート・アイランドの理科学研究所の施設に移動し、以前よりその開発に注目していたスーパー・コンピュータ「京」の実物を見学しました。ずらっと並んだ計算回路は、お隣の石川県の工場で製造された製品です。装置から発生する熱を、空調と水の循環の二方式で冷やしており、随所にメンテナンスを容易にする工夫がなされていました。聞けば、計算回路の中は未だ電気的信号のやり取りとなっており、これを光通信に切り替えて行くことで、さらに省エネルギーが図れるとの事。また、膨大な計算結果のデータを全国のユーザーに通信する回線の容量を更に増やしたいとの点は、以前から私も気になっていた事で、NICTほか総務省の協力できる分野です。「京」は既に研究者のニーズが高まり、計算の順番待ちも発生しており、次世代の「エクサ」の開発が始まろうとしています。今後とも、注目・応援したい分野です。
最後に、大阪市梅田で、再開発ビル「グランドフロント大阪」に本年4月に設けられた「ナレッジキャピタル」を訪問しました。大阪駅再開発で生まれた新しい建物の中に、若い起業家・研究者・学生等が自由に交流し、ビジネスチャンスをつかむ場を提供しようとの趣向です。これまで「SOHO」(スモール・オフィス、ホーム・オフィス)と呼ばれていたインキュベータ施設を格段に進化させた施設で、NICTも分室を設け、協力しています。分室では、8Kのディスプレイで、ネット上の地図・風景情報を読み出し、驚く程の解像度で見る事ができました。 出張2日目は、ICT成長戦略を具体化する上での様々な手段を目にし、戦略実現への明るい展望を持つ事ができました。案内頂いた皆様に感謝申し上げます。
明けて10月1日(火)、総務省地下講堂にて私たち5名の副大臣・政務官の退任式があり、最後は万葉集巻19、4251番の家持卿の歌、「玉鉾の 道に出で立ち 行く我は 君が事跡(ことと)を負いてし行かん」を朗じ、省を後にしました。1日の消費税8%引き上げの決断など、国の重要課題の進捗については、自分の新しい持ち場の報告と併せ、次号で報告します。