2013年12月

国政報告(第213号)

 今年最後の国政報告をまだ雪無しの富山で綴っています。先週末は新年度予算編成の大詰めで、20~21日(金~土)と大臣折衝が続いた後、午後の総務会で政府予算案の概要が承認されました。消費税の8%への引上げ、社会保障の充実、地方財政の総額確保、国債発行の減額など、国が当面する課題に対応した内容であり、富山から見れば、平成27年春の新幹線開業を確実にする予算です。

 月初の税制改正から予算編成まで、私には与党議員として初めての経験でした。各議員により党内外の様々な意見が戦わされ、一定の結論にまとめ上げる伝統的な手法を目の当たりにし、感銘を受けました。一方、得られた結論が新聞報道等で様々に評価される現実に、政権運営を継続していく難しさと政策選択の際の覚悟の大切さを痛感させられました。

 22日(日)からは久し振りに地元に張り付き、一年の国政の動きについて様々な声を聴いています。地場の景気はどの程度底入れしているのか、米の生産調整の動きはどうか、外交や安全保障の受け止めはどうか、皆様の様々な意見を伺い、来年の課題に思いを巡らしています。24日(火)に猪瀬東京都知事が辞任、25日(水)には、安倍総理・仲井真沖縄県知事の会談で、普天間基地移転のための名護市辺野古沖埋め立て許可への見通しが明るくなったとの報道がありました。26日(木)は総理が靖国神社に参拝され、周辺諸国の受け止めに関心が寄せられています。文字通り、「政治はドラマ」という年の瀬の慌ただしい展開です。

 私の今年は、1月から9月末まで総務大臣政務官として役所に通い、10月からは与党の一員として国会と党本部を往復する毎日でした。電波、放送、郵政の行政の実際に接し、アフリカにも2回出張する機会を得ました。情報通信技術(ICT)が今後の日本の経済・社会の発展に不可欠である事を、医療、教育、インフラ維持、地図情報(G空間)など多くの分野で実感させられました。「電子政府」実現の夢を含め、今後も議員活動の中で取り組んで行く行政分野にしたいと思います。

 与党議員として政府を支え、自分の考えを政策に反映させる方法が、野党時代とは異なることも新鮮な経験でした。委員会や主意書での質問活動から、党本部の各種会議での発言や各省庁職員との意見交換に東京での日常活動が大きく変化しました。来年もこのポジションで、内閣を党側から支えて行きます。

 消費税引上げの下での経済成長と財政再建の両立、普天間基地移転の取り組みと日米関係の発展、TPP交渉の推移、日中・日韓関係の改善、原子力発電所再稼働への対処など、日本の前途には数々の課題があります。これらを乗り越え、公約通りに「日本を取り戻す」ために、来年が正念場と思い定めて進んでいきます。来週は新年のため報告を休みます。

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国政報告(第212号)

 師走も半ばを過ぎ、今年も後僅かです。昨年の総選挙から1年が過ぎ、第二次安倍内閣の下で、先週は新年度税制改正案、今年度補正予算案が決定され、来春の消費税8%引き上げへの対応がまとまりました。さらに、今週は新年度予算案の編成作業が進められており、党の政務調査会の各部会も開催されるため、もう一週間東京に残っています。

 政権の当面する課題について見れば、景気を持続させながらの財政再建の点では、株価が1万5千円台後半、円が1ドル104円台の水準で、日銀の短観の結果や来年度の税収見通しも良く、まずは巡航速度で進んでいる印象です。気になる点は、貿易赤字が拡大している事で、エネルギー面での対策が必要と思います。この点を含め、焦点と言える課題は、沖縄の普天間基地移設、TPP交渉、原子力発電所の再稼働審査、そして近隣諸国との外交関係と見ています。このうち、辺野古沖の埋め立て申請への沖縄県知事の判断が年内に予定されています。その他については、平成26年に引き継がれていきます。猪瀬知事の辞任を受けての東京都知事選も新年の政治日程に乗ってきました。通常国会は来月24日召集との事、国政の更なる前進に向けて努力していきます。

 さて、18日(水)、19日(木)と、衆院東日本大震災復興特別委員会の委員長・理事等にて福島・岩手・宮城三県に出張し、現状を調査してきました。初日は、福島第一原発に入りました。関係者の懸命の努力で一歩一歩、原子炉の廃炉と事態の収束に向けての作業が進められています。東京電力福島復興本社が置かれている楢葉町のJヴィレッジで説明を受け、大熊町・双葉町に位置する原発に入構、免震重要棟で所長さんほかスタッフにお会いした後、作業員の方々と同じ防護服やマスクを身につけて構内をバスで見て回りました。途中、汚染水から放射性物質を取り除く装置(ALPS)と、汚染水の海への流出を防ぐ遮水壁の建設現場では、下車し、実物を見る事ができました。事故当時から見れば、構内の空間線量は格段に下がったとはいえ、一番高い所では「毎時1140マイクロ・シーベルト」と、通常の1万倍近い値を示しています。これを下げて行くには、水素爆発等で飛び散ったガレキの除去、そして炉内で溶融した燃料を取り除かなければなりません。もちろん、各号機に置いてある使用済燃料の搬出も廃炉には必要です。

 マスクは、しっかり被った事もあり、身につけて1時間で頭が締め付けられる痛みを感じました。また、夏場の防護服を着ての作業の厳しさも偲ばれました。改めて、作業に関わっておられるスタッフの皆さんのご苦労を想い、事象が全体として着実に前進している手応えを、広く皆さんに伝えなければ、との思いを強くしました。作業を進めれば、線量は下がり、汚染水の濃度も下がります。また、身体をガードする必要性も低くなり、作業許容時間も伸びて行きます。一つ一つの手順を安全第一に進めて頂き、周囲への住民の立ち入りや帰還が可能になる日が1日でも早まるように、と願いながら、発電所を後にしました。

 二日目は、津波災害からの復興に向け、市街地の嵩上げや区画整理事業に取り組む岩手県陸前高田市宮城県気仙沼市を訪問、鳥羽市長、菅原市長始め皆様から、状況説明と国への要望を聴きました。事業遂行のためには、地権者である住民の理解と合意が欠かせず、多様な意見をいかに集約していくか、首長経験を共有する私も両市長の悩みに共感したところです。被災自治体の背中をうまく押してあげる観点での復興制度の運用が復興庁の課題と言えます。

 2日間、現地を見せて頂いた貴重な経験を、今後の委員会活動に反映させて行きます。

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国政報告(第211号)

 先週末の国会会期末は、結局6日(金)の午後に会期が2日間延長され、7日(土)未明にかけて参議院で特定秘密保護法案ほか数案件が可決成立して幕を閉じました。懸念していた会期の短さから、国家公務員法改正案は衆議院で継続審査となり、参議院の委員会審議は荒れ模様となりました。それでも、内閣提出案件の成立率は87.5%と、民主党政権時を大きく上回り、正常な姿になりました。特定秘密保護法案の必要性は理解されたものの、秘密の範囲の絞り込み、国民の「知る権利」との調和など、世論にも厳しい見方が残っており、この上は法の丁寧な運用を通じて懸念を払拭していく必要があります。

 8日(日)は党女性局長代理として、香川県高松市に出張し、昨年に引き続き四国ブロックの女性局大会に出席しました。9日(月)からは、税制改正、補正予算編成、当初予算編成と与党らしい年末の仕事が主体となりました。政務調査会で自分の持ち場である水産、総務、経済産業部会の立場で税制調査会の議論や財政当局への要請に加わりました。来年度に向けての税制改正は、消費税の8%への引上げに伴い、地方法人税や自動車への課税について変更の必要がありました。漁業については、燃油が高騰する中、石油石炭税の免税・還付措置の継続措置の継続が最大課題であり、水産部会長代理として要請の発言をしました。12日(木)の総務会で党税制改正大綱が了承され、地方法人税の一部の交付税化、自動車所得税の軽減、漁業用燃油の特別措置の延長など、私の関わっていた案件は概ね良好な取りまとめを頂きました。

 一方、消費税引上げ対策を主眼とする5兆5千億円規模の補正予算案も13日(金)に閣議決定されました。復興特別法人税の1年前倒し廃止に伴う復興財源の確保や、学校耐震化の推進、中小企業・商店街活性化策など多様な内容が盛り込まれました。さらに、新年度予算編成方針と党の取り組み方針も決定され、来週1週間で内示に向けた詰めがなされます。公共投資や地方財政計画は概ね今年度並で、2年に1度の診療報酬改定の内容の議論が進むなど、最終結論に向かっています。

 一方、シンガポールで開催されていたTPP交渉は、関税等合意に至らぬ分野が残り、最終妥結は新年にずれ込む気配です。このほか、沖縄の普天間基地移設問題も辺野古沖の埋め立てに対する知事許可が焦点となるなど、安倍内閣は依然として重要な課題を抱えて2年目を迎えようとしています。

 富山に戻ってみると、時雨に雪が混じるようになり、年の瀬に向かう慌ただしさを感じます。18~19日(木~金曜)には、衆院東日本大震災復興特委の委員視察で、福島第一原発・岩手・宮城県の被災地を回ってきます。次号では視察結果と新年度予算の骨格について報告しようと思います。

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国政報告(第210号)

 このところ、富山は時雨模様、東京は晴天の下、銀杏が散る毎日です。そんな中、週末の30日(土)は射水市金山地区で党支部主催の「夜なべ談義」にて国政報告の後、鴨鍋をご馳走になりました。月が変わって12月1日(日)は南砺市福野の野澤さん達が準備された石破幹事長、佐藤正久参議院議員の講演会に参加しました。幹事長からは、我が国が直面している課題に対し、しっかりと取り組んで行くお話しがありました。

 明けて2日(月)に上京し、会期末を明6日(金)に控え、国会の風景を見渡すと、衆院側は審議が空転する事もなく大方の案件が片付き、静かな最終日に向かっています。一方、参議院は特定秘密保護法案の取り扱いを巡って大荒れとなり、4日(水)の本会議が5日(木)午前4時半までかかりました。特定秘密保護法案については、民主党政権下で検討が始まっており、我が国の安全保障上、秘密にせざるを得ない事項がある事は大方の議員が認める所です。衆議院でも十分に修正協議がなされており、私自身は法案に賛成の立場ですが、ここへ来て、今国会の会期が短い事が災いし、先を急がざるを得ない与党と十分な審議を求める野党の想いがかみ合わなくなった事が混乱の最大の原因と見ています。

 せめて会期が後一週間あれば、という局面ですが、7日(土)にはシンガポールでTPPの交渉がヤマ場を迎えるほか、新年度の税制改正、消費税引き上げに対する経済対策、新年度予算編成と、内政も3つの山を越えなければならず、会期延長は極めて難しい状況です。今国会閉会後の雰囲気については来週お伝えできると思いますが、53日間という会期に比べて内閣の提出案件が多かったため、審議の「出口」である参議院に大きな負担をかける結果になってしまいました。野田前政権の頃に良く指摘していた、「段取り」の組み方の問題が、現政権にも反省すべき点になったように思います。

 この間、私にとっては、内閣委員会での国家戦略特別区域法案と国家公務員法等改正案の2件の審議の現場が一番体を取られました。柴山委員長の下、TPP対応でも重要な役割を担われている西川公也議員が与党筆頭理事として日程を上手く組まれ、野党筆頭の近藤洋介議員とも信頼関係を築かれて、短い期間に充実した審議を実現された手腕は、大いに勉強になりました。特に、2本目の国家公務員法等改正案は、自公民3会派で修正合意を見た上、委員会採決を次期通常国会に先送りする事になりました。仮に委員会・本会議で可決され、参議院に回しても、審議未了・廃案の憂き目に遭う事が確実な情勢であり、西川筆頭の的確な判断で、ベストの形で継続審査扱いとなりました。

 この他、3日(火)には東日本大震災復興特別委員会が今国会初めて開かれ、被災地の区画整理事業の進捗の遅れや、関東地方の子ども達への事故の影響についての質問がありました。今国会は1回のみの開催となりましたが、せめて2回は開くべきとの各委員の意見ももっともだと思いました。また、決算行政監視委員会は、平成21~23年度の決算認定につき、関係者にて審議日程確保に努力したものの、締めくくり総括質疑までは閣僚の日程調整が付かず、来春に先送りされる見込みです。

 この他、今週は党税制調査会の全体会議が連日のように開催されています。水産部会からの要望は概ね採択された他、償却資産に関する固定資産税は堅持される事となりました。このほか、自動車課税や地方法人税の取り扱いなど、今回の税制改正は大掛かりなものとなりそうです。税制については、経済対策の中身と併せ、次号で報告します。

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