2015年7月

国政報告(第290号)

 台風12号が日本海側で熱帯低気圧に変わり、全国的に梅雨明け、夏本番となりました。今週、国会では28日(火)の衆院本会議で参院の選挙区是正法案が可決成立し、平和安全法制も27日(月)の参院本会議を経て、参院の特別委での審議が始まりました。29日(水)には、衆院の厚生労働委員会、経済産業委員会で審議中の法案が採決されるなど、両院とも動き始めました。

 私自身は、先週末で「夏風邪」が峠を越え、散髪も済ませて国会終盤に臨んでいます。平和安全法制については、事務所にも手紙・FAXなどで審議の進め方に関する意見を頂きますが、参院定数是正についての考えを含め、私の立場は、先に本報告で述べてきた通り、我が党の方針を支持するものです。なお、衆院の定数是正については、昨年の総選挙の前に小選挙区の「五減」等で、選挙区間の格差を2倍以内に納めています。さらに、比例区の定数の在り方や、選挙区間格差を2倍以内に保つ方策について、衆院議長の下に学識経験者からなる委員会が設けられ、検討が進められています。安倍総理も、党総裁としてこの委員会の結論を尊重する方針を明言されており、近い将来に取りまとめがなされる予定です。現在、衆院の定数は、小選挙区295、比例区180、合計475ですが、個人的には、まずは比例区を30程度減らし、445程度にしては、と思っています。参院については、都道府県の区画を尊重し、地域代表の要素も加味するよう、憲法改正をすべきです。

 このほか、現下の国政では、かねてから指摘しているTPP、原発、沖縄の各問題に加え、新国立競技場の建設、ロシア経済水域における北洋さけ・ます流し網漁業の全面禁止措置など、新たに対処すべき課題が生じています。衆院与野党間では、8月7日(金)に予算委員会を開催し、これらを念頭に一般質疑を行う方針で折り合っています。TPPは、ハワイで閣僚折衝が大詰めを迎えており、宮腰先生を始め、党農林関係議員も現地に詰めています。各品目の関税の具体的な設定内容について、各紙が交渉過程を報道していますが、党のレベルでは、政府から未だ報告を頂いておりません。まとまった段階では、先に選挙公約等で国益維持を約束した、「米、麦、乳製品、肉類、甘味作物」の五品目を主体に交渉内容をチェックして行くこととなります。

 さらに、北洋さけ・ます流し網漁業の禁止措置が来年から発動されれば、根室市を中心に東北海道で大きな打撃を被ると予測されています。船や船員のみならず、さけ・ますの加工場など関連産業も併せ、地域に与える影響額は250億円に達すると見込まれています。既に水産庁や党水産部会議員など担当者が北海道に飛び、地域の声を踏まえ、8月半ばにも国として緊急対策を取りまとめる予定です。北陸・関西地域では、北陸新幹線の福井開業前倒しの可否について党内で議論されており、さらに新大阪までのルート決定の議論が本格化しそうです。新年度概算要求の内容チェックと併せ、これら国政上の諸課題にも目を向けながら、8月を迎えます。

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国政報告(第289号)

 先週の台風11号に続き、今週は台風12号が沖縄に接近、週末は西日本も影響が出そうな状勢です。24日(木)から沖縄出張の予定でしたが、大事を取って中止し、来月に先送りとなりました。富山を始め、各地で梅雨明け宣言が出され、夏本番ですが、私は先週末から不覚にも「夏風邪」にかかり、のどを気にしながらの一週間、体力回復に努めています。

 国会は16日(木)の衆院本会議で平和安全法制が可決されて以来、動きが止まっていましたが、参院の選挙区是正について野党四党案を我が党も了承する所となりました。24日(金)の参院本会議で可決の見込みで、これを受けて衆院側も来週明けから審議を再開できそうです。1人区の鳥取・島根、徳島・高知をそれぞれ合区する案で、党内では該当県の議員を中心に強い反対意見も出ています。しかし、現行憲法では、衆参両院の選挙区の在り方について何ら定めがなく、法の下の平等の法理が優先し、一票の格差をできるだけ是正すべきというのが、最高裁の憲法判断です。米国の上院が各州ごと2人づつで構成されるように、世界的に見ても院の構成は必ずしも人口だけに拠る必要は無く、2院制の我が国では、参院議員に都道府県代表の要素を強く持たせる考えも成り立つと思いますし、私は賛成です。ただ、そのためには憲法改正が必須であり、今日現在、司法府から違憲判決を受けている以上、立法府として速やかに法的措置を講じざるを得ず、今回の合区案はやむを得ないと考えます。併せて、参院選挙区に係る憲法改正を急ぐべきと思います。

 さて、17-8(金―土)と、党北海道振興特別委員会事務局長として、北海道の釧路・十勝地方を視察してきました。20年余り前、北海道開発庁に勤務していた折、農村部のまちづくりに国・道・町村皆で協力して取り組む「ニューカントリー事業」に携わっていたことから、そのモデル町村だった標茶町(釧路管内)と本別町(十勝管内)を訪ねました。事業制度は平成19年度で終了したそうですが、それぞれの機関が垣根を越えて一つの目標の為に事業を持ち寄り、進度調整したことに感謝の言葉を頂きました。また、両地域は北海道農業の中でも、釧路の酪農、十勝の畑作としてそれぞれ特色ある大規模経営が実現しており、久しぶりに田の無い風景を新鮮に感じました。道立標茶高校では、酪農後継者の育成のために広大な農場を持ち、最新鋭の搾乳ロボットが導入されていました。十勝の帯広川西農協では、新たな輸出作目として「長いも」に取り組んでおられました。集荷場の機械化を大胆に進めつつ、なお、冷蔵設備の充実により、通年出荷を可能にし、常時百名の作業員を雇用するなど、地域に大きな波及効果を及ぼしていました。

 来年からの北洋漁業のさけ・ます流し網漁の禁止や、TPP交渉の影響の懸念など、不安材料も尽きない北海道ですが、地域に根差した力強い取り組みに感銘を受けました。併せて、道東自動車道の整備や、飼料輸入拠点としての釧路港の整備など、基盤整備の着実な推進も応援していきます。沖縄・西普天間地区の訪問が延期になったのは残念でしたが、来週から通常国会も第四コーナーを回る訳で、さらに実がなるよう、努力していきます。

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国政報告(第288号)

 台風11号が四国、中国に上陸、被害が心配される17日(金)朝の報告です。今週の国会の焦点は昨日衆議院を通過した平和安全法制の扱いでした。13日(月)の中央公聴会の後も、特別委員会での審議が続けられ、15日(水)に安倍総理出席の下、締めくくりの総括質疑があり、討論・採決の結果、可決すべきものと決し、16日(木)の本会議に上程された訳です。

 この間、野党からは採決は時期尚早との意見がありましたが、質疑時間は116時間に達し、論点もほぼ出揃った段階での採決は妥当と私も思います。私が野党時代にも「強行採決」を何度か経験しましたが、その場合は審議途中に与党側から「打ち切り動議」が出され、討論もなく即座に採決するパターンでした。今回は、事前の理事会で質疑終局が決められ、維新の党の討論もあり、これまでの「強行採決」とは様子が違いました。本会議にも、ほとんどの野党が出席し、反対討論をした上で、採決だけは退席しており、議事運営について委員長等の責任を問う動議も出されませんでした。私の6年弱の国会の経験からすれば、手順を丁寧に踏んだ運びであったと思います。

 この国政報告で何度か述べてきたように、平和安全法制は今日の日米安全保障条約を基軸とする我が国の安全の保持と、国際社会の平和維持活動において我が国に期待される任務の遂行のために必要な法案です。その起草に当たっても、昨年夏の基本方針の閣議決定以来、政府・与党にて現行憲法の枠内でできることを細心に吟味して練り上げています。もちろん、法案審議の過程で出された様々な意見は傾聴すべきであり、場合によっては参議院で部分修正や附帯決議がなされるかも知れませんし、それは立法府の大切な役割だと思います。この点、維新の党からは対案が出されましたが、民主党からは領海警備以外の部分に対案が出されず、吟味の具体的な成果を得られなかったのは残念です。

 もっとも、総理や浜田平和安全特委員長も述べられているように、政府・与党としても国民の皆様の理解を十分に得たとは言い難い現状であり、審議の途上でも党内から不適切な発言があったことなど反省すべき点があります。この法案は、現に起きている事態を対象としたものではないだけに、理解を頂く事が難しい面もあります。自衛隊や安保条約と同様に、歴史の経過を経てその真価が問われるものであり、そこに今日の政府・与党が負うべき責任もあるものと思います。参議院でのさらなる充実した審議を見守っていきます。

 さて、週末の11日(土)は有村治子女性活躍担当大臣、12日(日)は林幹雄衆議院議院運営委員長が来県され、それぞれご講演を頂きました。有村大臣からは、高岡市ファミリーサポートセンターの開設10周年記念式典にて、少子化対策、男女共同参画について聴衆を元気付けるお話を頂きました。林委員長には、「松村謙三先生の精神に学ぶ会」にて、日中議会交流の現状や、議会人として議員立法に努力されてきた経験から政治に携わる際の心構えを教えて頂きました。

 先輩の諸先生の背中に学び、今日の国会に気を引き締め、月末のTPP閣僚交渉、8月に予定される原発再稼働、沖縄辺野古沖の埋立工事の着手など、節目の事態をしっかり見つめ、与党の一員としての職責を果たして行きたいと思います。

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国政報告(第287号)

 今週の東京は、梅雨の真っ盛りの感があります。涼しくて湿気が高くて、太陽の強い日差しが懐かしく思われる毎日です。梅雨空の下、延長国会の衆議院は平和安全特別委員会の法案審議を軸に、案件が残る委員会が一歩づつ審議を進めている状態です。参議院も着
実に案件を処理しており、今国会の法案成立率は90%内外まで高まる事は確実です。とはいえ、焦点の平和安全法案は、本8日(水)に維新・民主党から対案が出され、13日(月)には中央公聴会が開かれるなど、来週には大詰めを迎えます。国対の打ち合わせもこの山をどう乗り越えるか、不測の事態を招かぬように、と緊張感が漂っています。

 週末の地元では、4日(土)に第三選挙区支部の幹事会が開かれ、今週末の総務会に向けた議案説明と併せ、私から国会の情勢を報告しました。11日(土)に有村国務大臣、12日(日)に林衆院議院運営委員長をお招きする事となっており、その案内も兼ねての集まりでした。13日(月)までに地元6市の新年度要望を把握させて頂きましたが、共通する課題として、北陸新幹線速達列車「かがやき」の新高岡駅停車の定期化と6市で「連携中枢都市圏」を構成することを国に認めてもらう事、この2点の実現が肝と見ています。

 新幹線と時期を合わせて、小矢部市での三井アウトレット・パークの開業も来週に近づき、更に、来月には射水市で会員制スーパー「コストコ」もオープンします。イオン・グループも、高岡店のリノベーションや砺波店の改装など力を入れており、地域の商業圏の
発展が期待されるところです。

 我が国の経済全体では、過日発表された日本銀行の「短観」(全国企業短期経済観測調査)でも先行きの見方は明るさが増す一方、ギリシャの財政危機や中国の株価下落など外的ショックも心配されるところです。TPP交渉、原発再稼働、沖縄の基地移転も、それぞれ、閣僚会議での交渉促進、川内原発への燃料装填など、大事な局面を迎えており、目が離せません。

 国会が重要な局面にさしかかる中、地元各市は恒例の新年度事業要望で首長・議長の皆さんが順次上京されており、先週の射水市に続き、今週は小矢部市に対応しました。また、南砺市の福光土地改良区、砺波市の油田商工業会の方々が新幹線を利用して国会見学に来て下さり、東京で富山の皆さんをお迎えさせて頂きました。

 さて、平和安全法制ですが、審議時間も今週には100時間を超えます。我が国固有の自衛権を憲法の制約の下で拡張した際に、国際法上の「集団的自衛権」の重なり合う部分を最小限度認めようとする政府・与党案は、今日の我が国を取り巻く国際情勢に照らし、適切な対応であると考えます。併せて、ここ20年余り、国連のPKO活動で自衛隊が果たしてきた役割への評価と期待を踏まえ、平和維持活動にも、慎重かつできるだけ前向きに対応しようと吟味された内容です。野党から提出された対案を含め、審議を尽くした上は、採決に進むべき時期が近付いていると思います。来週の国会の動きを注視していきます。

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国政報告(第286号)

 通常国会の会期が大幅に延長されて7月を迎えました。衆議院の平和安全特別委員会の法案審議は今週で80時間に到達し、6日(月)には沖縄県、埼玉県で地方公聴会が開かれます。衆院での審議は終盤に入ってきましたが、先週末以来、我が党議員のマスコミに対する発言が問題となり、特別委の質疑の焦点もこの点に流れがちの状況です。もとより、表現の自由や報道の自由は民主主義国家において重要な権利であり、政府・与党の立場で「圧力」と受け取られる言動は慎むべきです。また、総理・幹事長から、延長国会の目的達成のため、緊張感を持って臨むようにと繰り返し指示されている状況下で、一人一人の議員が慎重に行動すべき時期です。

 予定外の波乱に見舞われながらも、国会対策委員会として、法案審議を確実に進める努力を続けています。今週も経済産業委員会等で新たに採決に至る案件が出てきており、出口に向けて一歩一歩前進している現状です。

 この間、地元では、26日(金)に井波支部28日(日)に射水市連の総会に出席し、平和安全法制の成立を期して努力している現状を報告しました。27日(土)には石破地方創生担当大臣が来県され、朝日町と高岡市で講演頂きました。高岡の催しは、西部産業開発協議会の主催で、川村会長ほか皆さんや、6市の市長、県・市議出席の下、地方創生の理念や各地での取り組みへの期待とアドバイスを含め、大臣から力強く語って頂きました。講演に先立ち、6市長共同で、国の新たな「連携中枢都市圏」制度の適用を受けたい旨、要望がありました。従来は都市圏の中心となる市が中核市(人口20万人以上)である事が条件とされていたのですが、北海道や山形県、京都府北部など、中核市が存在しない地域でも都市圏形成の動きがあり、国も条件の変更を検討している現状です。大臣からは、20万人のハードルに拘る思いは無いので、6市側として、都市圏を形成した場合、具体的にどんな取り組みを進めるのか、良案を練って欲しいとの前向きな回答がありました。

 29日(月)は国対を休ませて頂き、地元各市の新年度に向けた事業要望を聴きに回りました。新幹線開業で公共投資に一定の前進を見たものの、なお残る「ミッシング・リンク」の解消や、27年度予算が厳しかった土地改良事業の手当てなど、それぞれに切実な案件があり、私も持ち場で努力していく決意を新たにしました。

 東京では、30日(火)に骨太方針の閣議決定が済み、政務調査会の仕事が一段落したものの、日ロ漁業交渉で来年からのさけ・ますの流し網漁が禁止になりそうとの情報や、米国議会がTPP関連法案を可決し、交渉が急展開するのでは、との観測もあり、関係する会議に出席しています。1日(水)には、議院運営委員会の「新たな国立公文書館に関する小委員会」メンバーにて、外務省の外交資料館宮内庁の書陵部を見学しました。この小委は、我が国の公文書館を、諸外国並みの展示・保管機能の充実した新たな施設に建て替える目的で、今春から検討を進めているもので、同種の機能を持つ施設を訪問したものです。我が国が開国した時の日米和親条約や、元号を明治と改元した際の手続き書類など、貴重な文書に直に接する事ができました。

 来週は、平和安全法制の審議も大詰めです。事態の展開を追っていきます。

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