2015年9月

国政報告(第297号)

 前号を書き上げた直後、19日(土)午前2時過ぎに、平和安全法制案は参議院本会議で可決、成立しました。繰り返し述べて来たように、本法案は我が国の安全保障を強固なものとし、国連の平和維持活動に憲法の枠内で可能な限り貢献できるようにするものです。今後とも法の内容を国民の皆様に広く理解頂けるよう努力を続けるとともに、法に規定する重要事態が生じないように外交・安全保障面での努力を不断に続けることが大切と考えます。慎重な運用で法制定の意義に共感頂けるよう努力して行きます。

 連休に入った19日の朝の北陸新幹線をあさま、はくたかと乗り継いで富山に戻りました。深夜に及んだ国会対応の疲れを取りながら、シルバーウイークの様々な行事に出席しました。最終日の23日(水)は射水神社の式年大祭の神事で祝詞を奏上した後、JR西日本が10月から城端線・氷見線に運行する特別列車「べるもんた」(ベル・モンターニュ・エ・メール)の試乗会に参加しました。新高岡駅と城端駅を往復し、大きく見晴らしの良い車窓から秋のとなみ野の田園風景をゆっくり眺めました。新高岡駅・氷見駅間では、途中、高岡駅構内をスイッチ・バックで城端線から氷見線へと乗客を載せたまま移動する趣向との事、直通化構想にもエールを送って頂いた感じです。乗車券の予約も好調で、新高岡駅の乗降客数増加への寄与も期待されます。

 夕方からは、福岡の「つくりもん祭り」を訪ねました。今年は例年より多い47作品が展示されており、様々なテーマを野菜・果物などを上手く使い回してきめ細かく表現されていて、もはや「工芸」の域に達しつつあるようにさえ思えました。今年は、石澤全国商工会連合会会長のお招きで、豊永中小企業庁長官も来訪され、他に例を見ない伝統の「奇祭」を堪能されていました。

 23日の夜のはくたかで再び上京、実質の会期末となる25日(金)に向け、24日(木)はいつもの午前9時10分からの国対正副委員長打ち合わせ、11時からの議院運営委員会理事会に出席しました。大きなヤマを越えた感があるこの通常国会ですが、閉会に当たり、審査未了議案は継続審査となり、法務・厚生労働委員会などでは、次期国会に宿題を送る事になります。私の議事進行係の仕事も、今国会は25日の本会議の請願審査の動議が最後になりそうです。

 一方、午後からは党放送小委員会の第1次提言、沖縄の基地負担軽減を考える有志の会の立ち上げと大きな動きがありました。放送小委の提言では、インターネット時代におけるNHKの受信料の在り方を総務省・NHKにて抜本的に再検討する事を求めました。山本一太前沖縄担当大臣の強いリーダーシップで発足した有志の会では、島尻代表の下、沖縄の皆さんの基地負担の重さに他地域でも思いを致し、少しでも負担を分かち合っていく方策を探っていきます。辺野古への普天間基地移設をスムーズに進める後押しになればとの思いで、私も参加しました。

 17時からの両院議員総会で、安倍総裁の再任が報告され、事実上2期目に入りました。引き続き、「日本を取り戻す」ための公約実現を目指し、持ち場で頑張っていきます。

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国政報告(第296号)

 この報告は18日(金)の深夜、平和安全法制の審議が参議院本会議で行われている時点で書いています。15日(火)の中央公聴会、16日(水)の横浜での地方公聴会の後、参議院では、法案の委員会・本会議採決に向け、状況が緊迫しました。17日(木)には、鴻池委員長の解任動議が否決された後、夕刻に委員会採決がなされ、舞台が本会議に移りました。問責決議案が議院運営委員会委員長、中谷防衛大臣、山崎議長、安倍総理と4本出され、各々否決された後、18日午後2時に安倍内閣不信任案が衆議院に提出されました。

 この間、私たち衆議院の国会対策委員会では、参議院での審議を見守りつつ、終盤国会での案件成立を可能な限り増やす努力を進めてきました。状況が厳しくなる直前の16日午前の参議院本会議でも、内閣提出の医療法改正案、議院提出の琵琶湖保全法案が可決成立しました。内閣提出法案で言えば、75本中成立は66本超となる見込みで、成立率は88%強となりそうです。この点、会期末手前の24日(木)、25日(金)の審議にも期待をかけたい所です。

 とはいえ、16日午後以降は、参議院での平和安全法制の進捗をひたすらサポートする流れとなり、18日午後4時半に開会した衆議院本会議で内閣不信任案を否決したのが一番の仕事になりました。これで法案の審議が参議院本会議で再開され、冒頭、鴻池平安特委員長の問責決議案が出されましたが、否決されました。いよいよ、明19日(土)午前0時10分再開予定の本会議で法案の採決が始まるものと思われます。

 平和安全法制の成立までには、まだ緊張感を欠く事ができない状況ですが、敢えて所感を述べるとすれば、衆参両院で200時間を超える審議がなされ、様々な意見が出されました。法案の起草過程では、昨年の政府部内での検討、方針の閣議決定、そして具体的な法案の作成と、幾つもの段階で慎重な検討がなされ、集団的自衛権についても十分に限定的な内容にまで絞り込んで例外的に認める内容となっています。この間、昨年秋までは、私も党総務会のメンバーとして、法案に携わった政府職員の皆さんとも意見交換し、憲法の定めと整合する内容となるよう微力ながら努力した自負はあります。高村副総裁や公明党の皆さんも随分と努力され、当初の構想から見れば、極めて抑制的な内容に仕上がっていると思います。

 そうは言っても、多くの心配の声もある訳で、法案の提出、成立に努力した私たち、政府・与党とすれば、法案成立後は、その運用において、反対した方々の懸念を払拭するように努力しなければと思います。抑止力を高め、我が国の安全保障を強固なものとするとともに、近隣諸国との外交関係をより良いものに築いていかなければなりません。「戦争法案」というレッテルは全くの誤解だと思いますが、将来、確かにそうなるよう努力していきます。

 シルバーウイークをはさんでいよいよ会期末、最後まで実りある国会となるよう努めます。

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国政報告(第295号)

 台風17号が9日(水)に本州を縦断し、これに伴う雨雲が関東から東北に大量の降雨をもたらし、鬼怒川の決壊など、宮城・栃木・茨城に甚大な被害をもたらしています。11日(金)朝現在も、雨は東北北部で降り続いており、被害の全体像が判明するのはこれからですが、関係の方々にお見舞い申し上げます。豪雨・地震・火山噴火と自然災害が次々と起こる日本列島、ハード・ソフトの備えに辛抱強く取り組む必要を痛感します。

 先週末の4日(金)の午後から6日(日)まで、同期の伊東良孝代議士の招きで、北海道東部の釧路・根室地方を訪ね、釧路市(旧阿寒町)、浜中町、鶴居村の3か所で、党の「ふるさと対話集会」に参加してきました。坂本哲志代議士(党畜産酪農対策小委員長)に同行し、党北海道総合振興特委事務局長の立場で地元の方々と意見交換させて頂き、地域の抱える諸問題への理解を深める事ができました。釧路・根室地方の主産業は酪農と水産業であり、生乳生産への支援や、来年からロシアに禁止される北洋さけ・ます流し網漁の対策など、切実な意見を聴きました。また、地方創生が叫ばれる中、担い手の確保・育成が課題となっており、実際に事業を継承して頑張っている若手農業者にも会えました。阿寒湖・摩周湖など観光地も抱える地域で、札幌につながる高速道路が来春には旧阿寒町まで供用される事への期待や、空港・港湾・鉄道の整備・活用を求める声も強く頂きました。

 5日(土)には根室市・納沙布岬を訪ね、天候に恵まれて国後島、色丹島、歯舞群島をはっきりと目に焼き付けました。昭和20年、終戦の8月15日の後も、旧ソ連軍の攻撃が続き、北千島から南千島までを占拠し、住民は大変な苦労をして北海道に逃れた事など、当時の経緯を詳しく説明頂き、北方領土問題への取り組みの想いを新たにしました。とりわけ、色丹島、歯舞群島に住んでおられたのは、殆どが黒部市を始め富山県由来の方々であったこと、宮腰光寛県連会長が根室地域の振興に取り組んでおられる原点に触れたように思えました。ご縁あって、7月に続いて道東を訪ねる機会を頂き、伊東先生に感謝しつつ、この地域の課題解決にも汗をかく決意です。

 7日(月)からの国会は参議院の動きを見守る展開です。9日(水)には、3国会をまたいだ労働者派遣法改正案が修正議決され、11日の衆議院本会議での同意を経て成立する見込みです。刑事訴訟法など、衆議院から送った案件がまだ参議院に残っており、一件でも多く成立させるため、野上浩太郎議運筆頭理事ほか皆さんが精力的に取り組んでいます。しかし、来週に入れば、会期末まで残るウイーク・デーは7日間となり、平和安全法制の採決に向かわなければなりません。審議時間は90時間台半ばに達する見込みで、15日(火)には中央公聴会も予定されています。本案件の取り扱いが来週の焦点であり、参議院の努力を衆議院としても見守っていきます。

 このほか、8日(火)に総裁選が告示され、無投票で安倍総裁の再選が決まりました。10日(木)には、北陸新幹線の敦賀以西のルート検討委員会の2回目が開催されました。昭和48年の小浜ルートでの整備計画決定の経緯を事実として勉強し、次回以降は沿線自治体、JR西日本、鉄道・運輸機構等の意見を順次聴取し、丁寧な過程を踏んで結論を出していく事で出席者の思いが一致しました。

 また、石破派立ち上げの動きもありますが、自分としては石破大臣を応援しつつ、引き続き無派閥で活動して行く考えです。

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国政報告(第294号)

 猛暑で始まった今年の夏は、お盆明けからぐっと涼しくなり、収穫期を迎えるお米の出来もちょっと心配される九月初旬の状況です。ふとカレンダーを見ると、通常国会も会期末の27日(日)まで3週間余り、土日祝を除けば実質14日間を切っています。参議院の平和安全法制の審議も今週末には70時間を超え、大詰めを迎えつつある中、衆議院では内閣提出法案を一本でも多く仕上げる努力を続けています。これも、参議院に送った後に確実に審議してもらえることが条件となるので、最終盤という所です。

 先週末は、30日(日)に高岡市野村地区の坂林市議の講演会で国政報告を簡単にさせて頂き、31日(月)のかがやき536号で新高岡駅から上京しました。各省庁の新年度概算要求が出そろい、順次関係資料も届いており、説明をお願いする関心事項の洗い出しを進めました。来週からレクチャーを受けていく予定です。

 この間、国政上の課題の動きとすれば、TPP交渉の閣僚会議が8月には開かれず、今月以降に持ち越しとなりました。依然として妥結の見込みは不透明です。九州電力の川内原発1号機は、フル出力に達し、10日(木)から営業運転の予定です。次いで、川内2号機、高浜3、4号機、伊方3号機と、原子力規制委員会の厳しい安全審査を終え、再稼働の準備が進みます。沖縄の普天間基地移設問題は、辺野古沖での作業を1か月停止して、国・県の話し合いが続いていますが、未だ難航しているようです。私は、先行して今春返還された西普天間住宅跡地の利活用に関わっていますが、少しでもお役に立てれば、との思いで協議を見守っています。一方、景気は中国の減速の影響が懸念されるところであり、対策の必要性があるか、見極めていかなければなりません。

 3日(木)には、佐田党道州制推進本部長に同行して官邸に安倍総理(総裁)菅官房長官を訪ね、最近の道州制についての検討状況を報告しました。中長期的に我が国に道州制を導入して行く方針は変わらないものの、足元では市町村からも性急な移行には反対の声が強く、これまで国会提出を模索してきた道州制法案については一度棚上げする事となりました。地方創生の視点も含め、都道府県の広域化や国の権限の移譲をどのように進めるべきか、腰を据えて議論して行きたい旨、本部での7月30日(木)の取りまとめ結果を本部長から総理に説明、了解頂きました。安倍総理からは、大事な論点であり、引き続き精力的に議論し、良い提案が出てくれば取り組んで欲しいとの激励の言葉を頂きました。佐田本部長としては、広域連合制度を活用し、国の権限を特区型で移譲する事で突破口を見出したい考えであり、私も事務局長代理として努力していきます。

 3日(木)の衆院本会議では、参院で修正議決された個人情報保護法案に同意、成立させたほか、6委員会の審議を終えてから6法案5条約を参院に送りました。この11案件は、与党はもちろん、民主・維新も全て賛成であり、平和安全法制の動きとは別に、国会の立法機能を果たす営みが続いています。来週、再来週といよいよ緊張感を高めての国会運営、現場から報告して行きます。

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