2017年6月

国政報告(第386号)

 北陸も梅雨に入り、東京も湿度の高い日が続いています。都議選の投票日を7月2日(日)に控え、政府・与党関係者の問題について週刊誌などで報道が続き、発言撤回も相次いでいます。自分自身の言動を常時コントロールすることは困難ですが、緊張感をもって「常識」の範囲内に留めることや、周囲の危機管理が大切だと思います。ともかく、「オウンゴール」で悔いの残る結果にならないようにと念じつつ、復興庁の仕事をこなしています。

 先週末の地元では、25日(日)に高岡市長選が告示され、無投票で高橋市長が三選されました。出陣式、当選報告会に出席し、エールを送らせて頂きました。私の後の2期8年、着実に市政上の課題を解決され、新幹線を生かして街が飛躍する基盤を整えられた事に感謝しつつ、県西部6市の連携の要として、また、富山県の発展を牽引するエンジン役としての高岡の発展を高橋さんに託しました。もちろん、国政の立場から高橋市政を支えて参ります。このほか、24日(土)は県看護連盟総会、25日は武田慎一県議の後援会と党射水市連の総会に出席しました。

 26日(月)に上京して農業・農村整備の集いに出席、27-8日(火―水)は宮城県に出張しました。初日は仙台市で宮城県議会の中島議長、長谷川副議長、大震災復興調査特別委員会の畠山委員長始め委員の皆さんとの意見交換会に出席しました。発災から6年3か月、復興の進捗とともに新たなステージの課題への対応が求められています。議会側からは、復興交付金の柔軟な運用、被災者の心のケア、復興祈念公園の整備、復興工事に伴い損傷したる道路の補修、風評の払拭の5点のテーマを提起され、復興庁の取り組みの一層の強化を求められました。8月末の来年度予算の概算要求に向けて庁内でも政策の構築を進めている折、県議の皆さんの現場感覚に裏打ちされたご意見を反映させていきます。特に、岩手・宮城では住まいの復興が終盤に近付く中、被災された方が住み慣れた地域から仮設住宅、災害公営住宅と住所を転々とされ、その度に新たなコミュニティを作るご苦労が重なっています。被災者支援交付金等を通じ、スタッフの配置などによるコミュニティ形成支援や、生きがいづくりを支援する「心の復興」に取り組みます。

 2日目は東北大学の東北メディカル・メガバンク機構を見学しました。復興予算を生かし、地域住民の健康調査を通じて遺伝子情報などのバイオバンクを構築し、遺伝子研究を発展させて次世代型医療の創出を目指す先進的な取り組みを、山本機構長の案内で学ばせて頂きました。15万人を超える住民の健康調査を無料で実施され、地域病院への若手医師派遣など医療を支えられる一方、採取された遺伝情報を匿名化して解析され、世界でも有数のバイオバンクが構築されつつあります。今後は体質の遺伝を踏まえた生活習慣病の予防や、創薬への貢献など我が国全体に成果が還元されていくものと期待されます。

 今回の出張では、このほか、仙台市の農事組合法人井土生産組合亘理町のわたり温泉鳥の海舞台アグリイノベーション精米工場山元町の山元イチゴ農園と新たな産業(なりわい)起こしに頑張る皆さんを訪問し、宮城の「創生」を感じることができました。

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国政報告(第385号)

 15日(木)、前回の報告を仕上げた後、午後11時半に衆議院本会議が開会となり、野党提出の内閣不信任案を議題とする旨、大島議長が宣告された上、日付を超えて審議を続けるために「延会手続き」が取られ、いったん休憩となりました。次いで、16日(金)午前0時10分から本会議を再開し、不信任案の趣旨説明、討論の後、記名投票(各議員が演壇に登って賛否の投票を行う「堂々巡り」)の末、不信任案は否決されました。徒歩で宿舎に帰り着いて午前2時半、それでも衆議院はこれで終わったのでまだ良かったのです。

 不信任案が処理されたことを受けて、参議院本会議が再開され、組織犯罪処罰法改正案について、法務委員会の審議状況の中間報告、次いで採決により、可決成立を見たのは午前7時46分でした。参議院の皆さんは徹夜の一日となった訳です。

 通常国会の事実上の最終日となった16日、衆議院は午後1時からの本会議で閉会手続きをしたのに対し、参議院は午後から予算委員会の集中審議で加計学園問題の質疑を行った後、夕刻の本会議と最後まで忙しい展開となりました。この日、性犯罪を厳罰化する刑法改正案が参議院で滑り込み成立するなど、最後まで案件処理が進み、内閣提出法律案の成立率は95%を超える結果となりました。政府・与党で成案を見るに至らなかった受動喫煙対策法案など、厚生労働省関係の法案が次期国会に向けた宿題となり、次は「働き方改革」が重要テーマとなりそうです。

 一方、加計学園の獣医学部設置認可を巡る文部科学省の内部文書についての再調査結果が16日に発表され、大方の文書の存在が確認されました。これを受けての参院・予算委員会となった訳ですが、安倍総理も19日(月)の記者会見で真摯に説明責任を果たしていく旨、通常国会での質疑対応への反省も含めて表明されました。文部科学省と内閣府の調査結果を踏まえ、国会閉会中の委員会審議の要否は、今後、世論の動向も見ながら、与野党の国会対策委員会間で協議されるものと思います。

 私については、16日夜に富山に戻り、17日(土)は高橋高岡市長の市長選に向けての事務所開き党富山県連大会に出席し、さらに砺波小矢部大門新湊各支部の総会南砺市吉江地区の後援会総会にて、国会閉会を受けての挨拶をさせて頂きました。19日(月)は東京への「一日出張」となり、往復に新高岡停車の臨時かがやきを使いました。20日(火)、21日(水)は富山に留まり、地元6市の市長さん方を順次訪問し、来年度に向けて国への主要要望事業を伺いました。この間に高岡市二上地区の県工業技術センターのものづくり研究開発センターを訪問し、3Dプリンターなど最新鋭の設備を見学し、最近話題のCNF(セルロースナノファイバー)の実用化を後押しする研究の現状を伺いました。製造業の研究開発に係る県の二上地区の機能集積には目覚ましいものがあり、県内外の企業が施設の設備を利用している由、県内の「拠点」としてのアピールが望まれます。

 22日(木)朝に上京し、復興庁の仕事に戻り、明23日(金)は都議会議員選挙の告示日で葛飾区の党候補の応援に入ります。東北と東京と富山の3点往復で引き続き頑張ります。

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国政報告(第384号)

 この報告を14日(水)午後10時に会館事務室で綴っています。18日(日)の通常国会の会期末を前にして、組織犯罪処罰法案の審議を巡って与野党の対立が深まり、昨13日(火)の参院法務委員会は、金田法務大臣の問責決議案が提出され、いわば民進党等の審議拒否とも言える形で中断されました。今日の参院本会議で問責決議案は否決され、与党側は委員会審議を打ち切って中間報告を受ける形での本会議での採決を目指し、これに抵抗する形で野党側から安倍内閣不信任案が提出されました。これから、衆院本会議が日付を跨ぐ形(延会)で開かれ、与党側は不信任案を否決処理して参院での法案採決を目指す方針です。

 組織犯罪処罰法案の審議では、処罰対象が広がることへの懸念が主たる論点でしたが、与党側は対象となる行為を絞り込み、政府も一般国民が故無く捜査の対象になるようなことはあり得ないと答弁を尽くしてきました。いたずらに不安をあおり、反対のためだけに審議を中断する行為を繰り返す民進党等の姿勢は疑問であり、一定の審議時間を消化した現時点での採決はやむを得ないと考えます。

 一方、終盤国会では、学校法人加計学園の愛媛県今治市での獣医学部設置許可を巡り、内閣府と文科省との協議の過程において官邸上層部の意向が影響を与えたか否かが焦点となりました。これに絡んで文科省から流出したメモの真偽を巡り、文科省の調査が不十分との批判が世論に広がり、再調査する事態となりました。政府側の説明では、この間の判断は文科省の責任によるものとされており、再調査の結果は説明責任を果たせるものでなければなりません。

 一面、今国会はご退位法案を与野党の実りある議論によりまとめ上げるなど、立法府の機能を十分に発揮する成果も挙げてきただけに、終盤でのこの波の高い状況を残念にも思います。

 さて、先週末は9日(金)の福島県川俣町佐藤町長、富岡町宮本町長との面会のための出張の後、10日(土)のみ富山で過ごし、11日(日)は東京で妻の母の一周忌を営ませて頂きました。富岡町には、今春の避難解除以降、初めての訪問でしたが、中心部にオープンした「さくらモール」は近隣の住民や作業員の皆さんで賑わっており、秋に常磐線が再開する予定の富岡駅周辺も急ピッチで整備が進められていました。二次救急を担う医療センターも着工の運びとなり、デイ・サービスも再開し、来春の小・中学校の再開が待たれる状況です。帰還された住民の数はまだまだ少数ですが、月ごとに着実に増加しており、郡山市から帰還した役場の皆さんの表情も明るさが増したように感じました。今国会で成立した福島復興再生特措法に基づく基本方針の閣議決定に向けた与党内の手続きも進んでいます。帰還困難区域での「特定復興再生拠点区域」の設定により、残る避難指示区域にも住民の皆さんが帰還できる環境を創り出すべく、復興庁としても努力していきます。

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国政報告(第383号)

 ここしばらく涼しい日が続いていますが、今日(7日(水))、関東も梅雨入りしたとのことです。通常国会も平日であと7日間となり、重要法案の審議状況が焦点となっています。ご退位法案と衆議院の選挙区改正法案は9日(金)の参議院本会議で成立する見通しとなり、後は組織犯罪等防止法案が残っています。受動喫煙対策法案が提出見送りの方向となったほか、法務省、厚生労働省関係で審議見送りの法案が出そうですが、会期延長の判断は、上記2法案の審議の進捗にかかっています。一方、学校法人加計学園の獣医学部新設を巡る文部科学省の内部文書の真偽の問題がメディアで取り上げられており、野党側からの質問が続いていますが、文部科学省は出所不明である以上、調査は不要との立場です。

 私自身の公務・政務では、東北・富山・東京の行き来が続いており、3日(土)から9日までの一週間で東北に5回の日帰り出張となる予定です。まずは2日(金)、本庁にて岩手・宮城・福島3県の知事や有識者で構成する復興推進委員会の24回目の会議が開催され、復興の現状と課題について報告・意見交換がなされました。ついで3日朝は福島で吉野新大臣の下、内閣府・環境省・復興庁の3省庁の出先機関で構成する福島復興再生総局の幹部会議があり、午後からは第12回福島12市町村の将来像に関する有識者検討会に出席しました。内堀知事や浜通り12市町村の首長が出席され、地域の現状を踏まえ、ICT教育、交流拡大、鳥獣対策、消防力強化など将来像実現のために広域的に取り組む事項を議論しました。

 3日夜、大宮経由の新幹線で富山に戻り、4日(日)は腎友会富山支部党平支部の総会に出席したのち、5日(月)朝、東北新幹線水沢江刺駅から岩手県陸前高田市へ出向きました。津波で大きな被害を受けた中心部も嵩上げが進み、4月末には商業施設「アバッセたかた」が開業しました。引き続き、6月市議会に向けて、市役所移転先の決定が焦点となっており、区画整理事業の進捗も望まれるところ、戸羽市長、伊藤議長ほか皆さんに現場を案内頂きました。

 一度東京に戻って、6日(火)朝、再び仙台に出向き、「東北復興水産加工品展示商談会2017」のオープニングに大臣に代わって挨拶しました。被災地の産業復興の上で、水産加工業は重点分野であり、一度失われた販路の再構築のため、東北六県商工会議所連合会などが主体となって全国さらにはアジアからも有力企業のバイヤーを招聘し、地元業者との商談の場を設ける取り組みで、今年で3回目となります。一件でも多くの成約を念じつつ、岩沼市の沿岸部の多重防御機能を兼ねた震災メモリアルパーク、「千年希望の丘」に向かい、鈴木副市長に案内頂きました。午後には吉野大臣と一緒に被災者支援に取り組む(一社)みやぎ連携復興センターを訪問し、木村代表理事ほか皆さんから活動内容の説明を受け、意見交換しました。引き続き、8日(木)、9日と福島へ連日出向き、現場の状況を肌で感じてきます。

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国政報告(第382号)

 先週末の5月28日(日)に、第68回全国植樹祭が魚津市で開催され、一昨年に続いて天皇・皇后両陛下が富山県に行幸になられました。27日(土)は、お召列車にて新高岡駅で降車下さり、来島JR西日本社長の先導にてホームを歩かれるところで国会・県会議員の皆さんと一緒にお出迎え致しました。「かがやき」停車運動を続けている県西部の私たちにとって嬉しいご配慮でした。高岡市では昨年末にユネスコ無形文化遺産に登録された御車山の会館を視察下さり、祭り関係者の意気も大いに上がりました。

 28日の式典は、多くの県民が参加しての演舞、意見発表、植樹と、森の大切さ、森と海との大切な関係、地球温暖化への取り組みの重要性などをアピールする中身の濃い内容でした。東日本大震災被災3県への苗木の贈呈もあり、次回開催地の福島県の内堀知事も出席され、一歩づつ復興を進める南相馬市の海岸での開催の意義を力強く挨拶されました。式典開会前には雲が厚く、小雨もぱらつく天候でしたが、時間の経過とともに快晴となり、参加者全員での「ふるさとの空」の大合唱ですがすがしく式典を終えました。

 このほか、鉄道OB会高岡支部、党金山支部上平支部の総会や、田中南砺市長の後援会総会などに出席し、29日(月)朝、新高岡駅から「かがやき536号」に乗って、通常国会会期末(18日(日))まであと三週間の永田町に出てきました。組織犯罪処罰法の審議が参議院に移り、衆議院では本1日(木)に衆院選区割り改正法案、明2日(金)にご退位特例法案が本会議で可決の見通しとなっています。各委員会の案件処理も進み、最終的には法務省・厚生労働省の残り案件の扱い次第ですが、会期延長の必要性の判断は微妙かと思います。国家戦略特区での学校法人加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、野党側からは予算委員会の集中審議が求められており、その扱いも含めての日程調整になりそうです。

 復興庁では、30日(火)に5月16日現在の大震災による避難者数が発表され、96,544人と初めて10万人を割りました。今春、福島県での原発事故による避難指示の一部解除がなされたことと、各地での住宅建設の進展によるもので、岩手県内に避難している方は12,694人、宮城県内は18,706人、福島県内は23,897人と着実に減少しています。一方、福島県から県外に避難されている方は35,818人、県内に避難されている方は23,735人(4月28日現在)で、併せて6万人近くの方が未だ避難を余儀なくされており、復興に向けて引き続き努力していかなければなりません。避難中の方、新たなコミュニティの所属される方それぞれに、心身のケアも大切で、全国26か所に設けられた相談センターの機能の活用など、多面的に被災者支援を続けていく必要があります。

 今週末は福島市での会議、来週は岩手、宮城、福島の被災地をそれぞれ訪問する予定です。現場の状況や声を東京に持ち帰り、課題の解決に努力する営みを続けていきます。

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