国政報告

国政報告(第202号)

 10月1日(火)、安倍総理は来年4月からの消費税8%引き上げを決定・発表しました。景気の回復に底堅さがみられることが理由で、経済に与えるマイナス効果に対し、25年度補正予算など対策を取ること、社会保障制度の改革を着実に進めること等も併せて表明されました。民主党の野田政権下の「三党合意」で敷かれたレールの上をいよいよ汽車が走り始める訳です。この間の経緯を国会で見てきた私とすれば、財政の着実な再建と持続可能な社会保障の確立は重要課題であり、総理の決定を支持します。それだけに、年末の新年度予算編成と同時期にまとめられる経済対策で万全を期すよう求めていきます。

 15日(火)の臨時国会召集を前に、党人事が逐次進み、私は北陸信越ブロック選出の総務を務める事になりました。毎週2回開かれる総務会に出席し、党の主要事項の決定過程に参画します。政府の一員だった政務官とはまた違った新鮮な経験が積めそうです。政務調査会では水産部会長代理と総務・経済産業の副部会長、組織部門では女性局長代理を務めます。いずれも過去に経験のある分野で、心新たに向き合いたいと思います。所属委員会については、来週報告できそうです。

 この間、4日(金)は高岡市恒例の万葉集全二十巻朗唱の会で歌を朗じ、8日(火)からは東京で各省庁の予算要求事項で関心のある分野のレクチャーを受けました。文科省では過疎地への教員配置、高校の理科教育、新型ロケットの開発、農水省では花きや薬用植物の栽培支援、経産省では市街地の商業対策など、野党時代から関心を持っている分野の新たな取組の説明を受け、情報を県・市にも伝えました。同期会である「四志の会」の夕食会、県連の石破幹事長への農林水産政策の提言、県遺族会の靖国神社参拝北陸地区税理士会の要望・懇談など、9月までの総務省中心の動きとは異なる議員活動主体の毎日が戻ってきました。いわば肩慣らしをして、来週からの国会に備える今週でした。

 10日(木)には、北陸新幹線の列車名が、かがやき(速達タイプ)・はくたか(各停タイプ)・つるぎ(シャトル)・あさま(長野止)と発表され、再来年春の開業に向けた準備が加速しそうです。県西部では新高岡駅にできるだけ多くの列車に停車してもらいたいところです。同日夕刻、党TPP対策委員会が開催され、インドネシアのバリ島での協定交渉について報告がありました。交渉国では12月中旬にも合意が成立するよう、協議に努力を傾注する姿勢とのこと。党公約である重要5品目(米、麦、牛肉、乳製品・甘味作物)の聖域堅持を前提に、5品目を細分化した586品目の食材品の個々の関税や取引量などを精査する事となりました。これら重要案件について国会でどのような議論が展開するのか、来週から順次報告していきます。

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国政報告(第201号)

 9月30日(月)に副大臣・政務官人事があり、昨年12月27日から9か月余り務めてきた総務大臣政務官を退任しました。この間、新藤大臣始め総務省の皆さんのお陰で通信・放送・郵政分野の業務に邁進でき、併せて得難い経験を積む事ができました。地元の皆さんにも、在京当番等で折々の行事・会合に欠席がちとなった点、理解、支援頂いた事、厚く御礼申し上げます。今後の党務、国会での持ち場はこれから決まりますが、再び一から努力していきます。

 今週は、政務官として最後の出張となった山陰・阪神地方での見聞について、前号に続き、後半の25日(水)の活動を報告します。朝一番は、明石市に所在するNICT(独法・情報通信研究機構)の未来研究所を訪問しました。ICTの将来展開を見据えた幅広い分野で研究が展開されており、省電力化したマイクロチップの開発、外部からの刺激に対する脳の動きの分析など、情報通信をより効率的・効果的に活用するアイデアによる研究を見る事ができました。

 その後、神戸市ポート・アイランドの理科学研究所の施設に移動し、以前よりその開発に注目していたスーパー・コンピュータ「京」の実物を見学しました。ずらっと並んだ計算回路は、お隣の石川県の工場で製造された製品です。装置から発生する熱を、空調と水の循環の二方式で冷やしており、随所にメンテナンスを容易にする工夫がなされていました。聞けば、計算回路の中は未だ電気的信号のやり取りとなっており、これを光通信に切り替えて行くことで、さらに省エネルギーが図れるとの事。また、膨大な計算結果のデータを全国のユーザーに通信する回線の容量を更に増やしたいとの点は、以前から私も気になっていた事で、NICTほか総務省の協力できる分野です。「京」は既に研究者のニーズが高まり、計算の順番待ちも発生しており、次世代の「エクサ」の開発が始まろうとしています。今後とも、注目・応援したい分野です。

 最後に、大阪市梅田で、再開発ビル「グランドフロント大阪」に本年4月に設けられた「ナレッジキャピタル」を訪問しました。大阪駅再開発で生まれた新しい建物の中に、若い起業家・研究者・学生等が自由に交流し、ビジネスチャンスをつかむ場を提供しようとの趣向です。これまで「SOHO」(スモール・オフィス、ホーム・オフィス)と呼ばれていたインキュベータ施設を格段に進化させた施設で、NICTも分室を設け、協力しています。分室では、8Kのディスプレイで、ネット上の地図・風景情報を読み出し、驚く程の解像度で見る事ができました。 出張2日目は、ICT成長戦略を具体化する上での様々な手段を目にし、戦略実現への明るい展望を持つ事ができました。案内頂いた皆様に感謝申し上げます。

 明けて10月1日(火)、総務省地下講堂にて私たち5名の副大臣・政務官の退任式があり、最後は万葉集巻19、4251番の家持卿の歌、「玉鉾の 道に出で立ち 行く我は 君が事跡(ことと)を負いてし行かん」を朗じ、省を後にしました。1日の消費税8%引き上げの決断など、国の重要課題の進捗については、自分の新しい持ち場の報告と併せ、次号で報告します。

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国政報告(第200号)

 週1回ペースの国政報告も200号となりました。50回ごとに小冊子にまとめているのですが、151回から本号までは、私たちが野党時代の消費税三党合意の後から総選挙での与党復帰、参院選でのねじれ解消と、政治環境が大きく動いた時期でした。国が直面する課題をどのような手順で解決していくか、政権運営の手腕が問われる中、第二次安倍内閣が一歩ずつ前進し、景気と外交が持ち直してくる過程であったと思います。消費税引き上げの判断からが次の50回になりそうです。

 この間、私自身は総務大臣政務官としての活動が大きな比重を占めました。情報通信郵政分野でICT成長戦略の策定と施策化、スカイツリーへの放送波移転、日本式地上デジタル放送の南部アフリカ諸国での採用働きかけなど、得難い経験をさせて頂きました。これも多くの方々のご支援あっての事と改めて御礼申し上げます。

 20日(金)は静岡県袋井市に半日出張し、総務省の「ICT街づくり事業」での具体的な取り組みを見学させて頂きました。特産品の高級メロンやトマトの栽培にICT技術を生かす取り組み、災害時の避難所運営へのICT活用の試みなど、原田市長、豊田商工会議所会頭ほか皆さんに現地で説明頂きました。東海道の宿場町から発展し、若い世代の人口も増えている元気な市ですが、お茶を含め、地場の農業を大切にしたいとの市長さんの強い思いがモデル事業の採択につながっています。栽培環境の管理を農家の「技」からデータ化しようと、ソフトウェアづくりを担当する企業のSEさんが自らハウスでトマト栽培に挑戦する姿に感動しました。

 週末は富山で党県連支部長会議伏木の獅子舞、福岡のつくりもん祭り、西部6市の市議の皆さんとの懇談などをこなし、24日(火)、25日(水)の2日間で山陰・阪神地方に再度出張しました。初日は、島根県出雲市と鳥取県境港市で地域に密着した活動を進める郵便局を訪問しました。出雲の大社郵便局では、出雲大社の60年毎の遷宮行事に合わせ、記念のフレーム切手の販売や、観光客の皆さんのゆうパックの取り扱いで成果を挙げました。境港の水木ロード郵便局は、平成5年から市が取り組んだ「水木しげるロード」(ゲゲゲの鬼太郎にちなむ妖怪の銅像の設置等のまちづくり)の取り組みを局長さん自ら長年にわたって応援されていて、平成13年には元の「境港大正郵便局」から局名も改称されました。マンガのキャラクターが入った記念消印スタンプも、当初は可否が議論されたところですが、今ではアニメの記念切手も当たり前になるなど、先覚者のご苦労が偲ばれました。観光協会長の桝田さんは、前職の境港海陸運送の社長さんの時からの知り合いです。今では「水木しげるロード熱闘記」を出版されるほど、地域活性化の専門家に見事に転身されていて、懐かしい再会となりました。日本郵政グループの体制変更が一段落した現在、改めて2万4千局のネットワークを生かし、周囲の地域の皆さんと協力し、地域を元気にしていく役割が期待されます。山陰で頑張る2局の今後の展開が楽しみです。

 出張後半は、阪神地方のICT研究拠点を見学したのですが、その報告は次号にします。

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国政報告(第199号)

 15日(日)と16日(月)の連休が在京当番となり、宿舎で各省庁の概算要求資料を読んで過ごしていたところ、台風18号が発達を続けながら本土に上陸、気象庁から京都・滋賀・福井等の府県に大雨特別警報が出る事態となりました。テレビでは京都・嵐山を始め、各地の河川増水・浸水の模様が報じられ、被害は広範囲にわたりました。関係の皆様にお見舞い申し上げます。自治体の避難勧告等、対策も手厚かった事もあり、人的被害は最小限に留まったようです。総務省に登庁するまでには至らず、当番明けとなりました。

 これに先立つ14日(土)、JR城端線新高岡駅の起工式に出席しました。平成16年末、富山・金沢間の着工が決定する際、新幹線新駅の位置を数百メートル西に移して城端線と接続する形を高岡市役所から要請し、県・国のご理解を得る事ができたのが、今日につながっている訳です。挨拶では、関係者の一人として、御礼を申し述べるとともに、一日も早く城端線に「ピッカピカ」の新車両が投入されるよう、また、高岡駅での城端線・氷見線直通化の実現を、堂故参議院議員と一緒に頑張っていくことを誓いました。新幹線開業まで、あと1年半。多くの乗客が行き交う姿が現実のものとなるよう、地域として「おもてなし」の努力も大切ですね。

 17日(火)の夕刻に再び上京し、総務省の用務を中心に過ごしています。今月末に副大臣・政務官の一部交替が予定されており、ともかくも、この9か月の業務に一定のまとめを付けようとしています。18日(水)は、モザンビーク大使館を訪問し、マラテ大使に地デジ日本方式の採用に向け、本国への働きかけをお願いしました。私たちの7月末の現地訪問の後、8月には自民党の日本・AU友好議員連盟の国会議員の皆さんが訪問下さり、波状的な働きかけを行っています。近い将来の採用決定を期待したいものです。同日午後、省内で私が主催した「電子政府研究会」のメンバーと厚生労働省の課長ほか皆さんで、都内の飯田橋公共職業安定所と日本年金機構の千代田年金事務所事務センター(有明に所在)を訪問しました。雇用保険と年金に係る諸手続きの電子化に取り組んでおられる最前線であり、システムをどのように改善すれば職員の皆さんの事務処理の負担が軽減されるかという視点から多くの「気づき」がありました。

 7月から2か月間、職員の皆さんと精力的に取り組んだ成果は、19日(木)、遠藤政府CIO(内閣情報通信政策監)に報告・提言しました。役所の能率が上がり、国民・企業の行政手続きがスマートになり、経済成長にも寄与できる「ICT先進国」に日本が成長していけるよう、現場に立脚した不断の努力が必要です。

 同日夕刻、おそらく現メンバー最後の政務官会議が官邸でありました。20日(金)は、ICT街づくり事業に取り組む静岡県袋井市を半日訪問します。9月末の節目に向けて、全力投球で進みます。

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国政報告(第198号)

 9月も半ばに近づき、東京も暑さが和らいで秋の気配が漂っています。先月末から月初にかけ、富山では局所的な豪雨に見舞われ、関東では竜巻の被害もありました。地球温暖化が原因と言われていますが、被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、警戒情報の適切な伝達など、努力が必要と感じています。

 さて、一週間の休暇をお許し頂き、家族四人でイタリアを旅行してきました。天候にも恵まれ、歴史と自然の素晴らしい風景を目に焼き付け、良い思い出を作る事ができました。今週から総務省の業務に復帰し、国政報告も続けて参ります。特に、8日(日)未明の2020年オリンピックの東京開催決定は嬉しい知らせでした。これからの7年間、国として取り組む大きな目標がはっきりした訳で、素晴らしいスポーツの祭典となるよう、様々な努力を積み重ねる、その過程自体が、日本を元気にしていくものと思います。

 私の今週の動きは総務省での活動が主体で、12日(木)に年1回恒例の、電波産業会のメーカー各社のトップの皆さんとの懇談会がありました。省が掲げるICT成長戦略を製造・システム開発分野で実現していく大切なパートナーの皆さんで、医療、教育、インフラ管理、G空間、4K・8Kテレビなど、戦略で重点的にICT(情報通信技術)の活用に取り組む際に、様々な製品やシステムを供給頂く事となります。こちらからは、局長・審議官が出席し、8月末の概算要求に盛り込んだ施策や、3年に一度の電波利用料の見直しの考え方、研究開発の方針などを説明しました。トップの皆さんからは、オリンピック開催決定を歓迎しつつ、祭典運営にICT技術を活用すべきとの意見があり、ICT成長戦略の着実かつ迅速な実行や、情報セキュリティ対策、ビッグ・データ利用ルールの早期策定等も求められました。国の経済指標が上向き、景気の先行きに明るさが見えてきた中、メーカーに皆さんの前向きな姿勢に元気づけられる会合でした。人材育成や女性の能力活用にも話が及び、理系女子がもっと増えて欲しいとのお話しもありました。

 12日の夕刻、省内の電子政府勉強会の最終回を開催しました。勉強会の詳細は196号で報告しましたが、国民の皆さんに便利だと感じて頂け、経済活動をより円滑に低コストにする視点で、電子化に重点的に取り組むべきとの認識を一同持ったところです。併せて、業務改善の視点で、システムの統合や紙の減量化など、個々に取り組む課題もあります。最終回は、メンバー全員が感想を発表しあい、6月下旬から2カ月半、精力的に取り組んだ会のまとめとしました。参加頂いた職員の皆さん、また、他省庁から説明に来て頂いた皆さんに厚く御礼申し上げます。今後、政府CIO(内閣情報通信政策監)に報告・提言をする予定です。

 10日(火)には、立川市にある自治大学校を訪問しました。高岡市勤務の折、自治体職員の研修施設としてその存在は知っていたのですが、見るのは初めてでした。ちょうど、新たな研修コースが開講した日で、氷見・高岡市役所から参加された方や、以前から研修中の富山県庁の方にもお会いすることができました。講義も拝見しましたが、研修に励む自治体職員の皆さんの真剣な雰囲気が印象的でした。泊まり込み研修なので、自治体の枠を超えたネットワークもできる由、そんな場を提供する事も、総務省の業務の一端です。来週も、総務省の持ち場で頑張っていきます。週末は在京当番です。

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国政報告(第197号)

 8月も最終週となり、霞ヶ関の各省庁では26年度予算の概算要求案が取りまとめられています。総務省でも「ICT成長戦略会議」の提言に基づき、医療、教育、資源探査、G空間、4K・8Kテレビの開発など施策が目白押しです。29日(木)の自民党総務部会での説明の後、財務省に提出となります。

 一方、富山では23日(金)の集中豪雨で被害が出ており、関係の皆様にお見舞い申し上げます。昨年、大きな被害を出した高岡市の地久子川は、この間の災害対策と消防関係者の迅速な対応で軽微な浸水被害に止まりました。改めて、ハード・ソフト両面の減災・防災対策の大切さを認識しました。

 25日(日)には福光南部( 太美山、東太美、西太美、広瀬館の4地区 )で国政報告会を開催させて頂きました。また、28日(水)には島根県選出の青木一彦参議院議員(党水産部会長代理)の来県を得て、射水市の海老江、金山の2地区で党の「ふるさと対話集会」を持つ事ができました。4年前の野党転落以来、地域の皆さんの様々な声を直に聴き、政策に生かしていく運動に党として取り組んできましたが、与党に転じても継続していく方針です。私にとっては参議院選挙をはさんで久し振りの「双方向」の意見交換でした。地域の基盤整備に関わる要望はもちろんですが、「福島第一原発の汚染水処理を急ぐべき」、「消費税増税で景気は大丈夫か」、「海水温上昇への対策は」、「TPPの水産分野への影響は」などなど、国政全般に関わる意見・質問にはっとさせられる場面も多々あり、地域に密着した活動の意義を痛感しました。

 総務省では、概算要求案の説明を受ける一方、本年5月4日に開局した日本郵便の川崎東郵便局を見学しました。我が国発着の船便郵便物と我が国到着の航空郵便物を一手に引き受けるほか、神奈川県東部地域の国内郵便物の区分事務も受け持つ全国3番目の最新鋭マンモス局で、局員は1300人だそうです。国際郵便物を扱うことから、横浜税関の出張所も置かれ、有害物品探知のために麻薬犬も活躍しています。何より、6階建ての大きな建物にフロア毎に区分機や作業場が機能的に配置され、スタッフの皆さんのさわやかな挨拶が印象的でした。最近の円安の下、海外向けの船便郵便物は昨年比2割程度増加し、日本郵便(株)の業績にも寄与しているそうです。また、競争力が劣る船便郵便から撤退する国が増えており、日本が中継地となるケースが増えており、この分野の「ハブ機能」は我が国が担いつつあるようです。いつもの事ながら、現場は「百聞は一見に如かず」です。富山でも東京でも、歩いて自分で見聞きする活動を怠らないように、と思います。

 私事ですが、来週一週間は、数年振りの家族旅行にて休む事、お許し下さい。198号は9月13日(金)頃の予定です。

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国政報告(第196号)

 残暑お見舞い申し上げます。高知県四万十市で連日40度を超える猛暑となる一方、山陰や東北では、「かつて経験したことのない大雨」で土砂崩れ等の被害が発生しました。関係の方々にはお見舞い申し上げます。在京当番で過ごした旧盆、15日(木)に武道館で催された戦没者追悼式典に初めて参列させて頂いたほか、出歩ける23区の範囲内で東京の下町の風情など楽しみました。

 いったん富山に戻り、21日(水)に再び上京、総務省でも概算要求はもとより、この秋に取り組む課題の打ち合わせを始めています。22日(木)は午前にNTT武蔵野研究開発センター、午後に三鷹市のICT街づくり推進事業と二か所を見学してきました。NTTでは、従来の電話に係る分野から広く情報通信全般、さらにはそれを受け取る人間の脳や神経の作用に至るまで、幅広く研究開発が進められています。自社のサービス向上に役立てられているのみならず、他業種と連携した製品開発も進められていて、研究員の皆さんから意欲的な説明を受けました。三鷹市では、清原慶子市長が率先され、災害時の帰宅困難者や要援護者対策を念頭に置いて平時からICTを生かしたネットワーク構築を進めています。JR三鷹駅周辺のWiFiエリア整備や、要援護者とサポーターとなるNPOの皆さんを操作しやすい端末でネットワークする取り組みなど、「人と人のつながり」を基盤に置いてICT街づくりを進める姿勢に感銘を受けました。このような一つ一つの取り組みが、総務省の掲げる「ICT成長戦略」の実現につながるものと思います。

 一方総務省内では、戦略の重要な柱である「電子政府」をいかに実現していくかという問題意識で、7月から職員の皆さんと勉強会を開催しています。国民や企業・団体の皆さんが、国や自治体の様々な手続きをよりスムーズに行えるよう、また、官側では業務を効率化し、かかるコストを少なくできるよう、ICTを活用したシステムづくりを進めようという取り組みです。ワン・ストップ、ペーパー・レスなど様々な効果が期待できる半面、何から手を付ければ良いのか、また、民側にメリットの大きい取り組みは何か、など具体的な進め方は必ずしも明確になっていない状況です。そこで、現に先行的に稼働しているいくつかの事例を対象に、参考とすべき事、解決すべき課題を明らかにしようと取り組んでいます。

 例えば、年一回の確定申告では、国税庁のシステム、「イー・タックス」を利用し、半数近くの方が電子申告されています。国(税務署)と自治体では、所得等の電子化されたデータを受け渡しし、再度打ち込む作業を省いています。さらに、自治体側も「エル・タックス」というシステムを構築し、企業の給与支払い台帳や償却資産台帳の提出の電子化を進めています。ここから先は、企業の人事・経理担当者の方にもデータの電子化に協力頂かなくてはならず、さらには企業向けソフトウェアのアウトプット項目に組み入れてもらう事も必要です。そうなってくると、企業側では、社会保険や労働保険も含めて手続きの電子化を望まれる事になるでしょう。このようにして、税・保険料の申告・賦課・納付の電子化を官民が協力して進め、お互いにメリットを享受していくことが大切だと感じています。経済・社会の様々な側面で、ICTを活用する、そんな思いで職務に当たって行こうと思っています。

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国政報告(第195号)

 3日(土)に北陸地方がようやく梅雨明けしたとのこと、今年の夏はからっと晴れる日が少なく、東京も湿度の高い日が多い状態です。6日(火)などは朝8時に夕立ちのような強い雨と雷があり、宿舎から会館に行く時間を遅らせたりしました。そんな中、臨時国会(第184国会)は2日(金)から7日(水)までの会期で開催され、参議院の新しい体制を決めて閉会となりました。初日には、堂故参議院議員も初登院され、会館の事務所も「店開き」となり、一緒に仕事をしていく体制が整いました。

 今国会では実質的な審議は行われず、この後は8月末締め切りの新年度予算概算要求の作業が佳境を迎えるほか、秋に予定される臨時国会に向けて提出案件を練る事となります。私にとっては、与党に転じ、政府の一員として初めて迎える夏ですが、9日(金)から18日(日)の旧盆の間、在京当番を引き受け、東京で「充電」する事になりました。国政報告も、来週は休ませて頂くとして、当面の国政上の課題と総務省での取り組みを整理しておきます。

 内政では、来年4月に消費税を5%から8%に引き上げる計画を実行するか否かの判断時期は9月とされています。このため、予算の歳入・歳出規模が固まらず、当面、既定経費は1割カットで要求し、成長戦略に資するものは別枠要求となります。人口の高齢化が進展する中、年々増大する社会保障費をいかに抑制し、成長戦略の実現に必要な「未来に向けての投資」を確保するかが予算編成上の課題です。併せて社会保障制度について、国民会議の議論を踏まえて制度改革を設計・提案しなければなりません。エネルギー分野では、通常国会最終日に廃案となってしまった電力供給制度改革法案の成立を期し、段階的に自由化を進める一方、エネルギー源の新たな構成を定め、原子力発電所の再稼働問題にも答えを出さなければなりません。これを踏まえて、地球温暖化に対処すべく、二酸化炭素排出量の抑制目標を再構築する事になります。

 このほか、東日本大震災からの復興、安全保障体制の強化、普天間基地の移設、国家公務員制度の改革、衆議院の定数是正などの案件がありますが、ここは「ステップ・バイ・ステップ」で、向こう2-3年の間に腰を据えて着実に解決していく事が大切で、拙速に取り組む事のないように、と思います。外交面では、TPP交渉に国益を守る立場で臨む事、さらに中国・韓国との首脳レベルの意思疎通を図り、国際社会において我が国の役割をしっかりと担っていく事が課題です。この点、安倍総理を先頭に閣僚の皆さんが積極的に海外出張されている事は、日本のプレゼンスを高める上で効果的だと思います。

 総務省での私の持ち場では、ICT成長戦略を実現するための新年度予算づくり、かんぽ生命の学資保険改訂認可のための業務体制確立、南部アフリカ地域での地上デジタル放送日本方式の採用を主たる課題と位置づけ、引き続き取り組んでいきます。次回は、その一環としてここ1-2か月精力的に取り組んできた「電子政府」の勉強会について報告したいと思います。

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国政報告(第194号)

 7月24日(水)から31日(水)まで、地デジ放送の日本方式を採用頂いた南部アフリカのボツワナ共和国での放送開始式典出席のため総務省の用務で出張してきました。併せて、モザンビーク共和国にも日本方式採用の働きかけのため出向きました。4月の時と同様に、香港・ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)を経由し、飛行機の乗り継ぎ時間を入れて丸1日づつかけての往復です。ただ、先方は南半球で、季節が冬だったため、気温は暑くても20度後半で、朝晩は冷え込み、空気が乾いていたので、快適でした。再び蒸し暑い東京の空の下、明日からの臨時国会(第184国会)を前に、今回はアフリカ出張報告を綴ります。

 25日(木)にモザンビークの首都マプトに到着し、ペレンベ科学技術大臣、レベロ運輸通信副大臣、イングレス運輸通信次官ほか政府関係者と面談しました。モザンビークはいったん欧州方式採用を閣議決定したのですが、森田前政務官始め日本側の働きかけで、日本方式による試験放送を今春から実施しています。6月に横浜で行われたTICAD-V(アフリカ開発会議)の際、来日されたゲブーザ大統領に安倍総理始め日本側から働きかけた経緯も踏まえ、試験放送を踏まえた日本方式の評価や技術研修の実施を提案しました。日本方式の長所は、テレビのみならず、携帯電話でワンセグ放送やデータ放送が同時にでき、電気が供給されていない地方部でも携帯端末さえあれば、情報を行き渡らせる事ができる点です。先方もこの事は理解が進んでおり、当方の提案を政府部内で検討するとの答えを頂きました。

 モザンビークでは、農業・物流分野等、日本の経済協力が行われており、日本企業による天然ガス、石炭、植物油、木質チップ加工等のプロジェクトも展開されていることから、我が国との関係を重視しています。引き続き、同じポルトガル語圏であるブラジルとともに、採用に向けて努力していきます。マプトはインド洋を臨む落ち着いた街で、海産物はイワシ、エビ、イカ、タコなど日本と同じです。赤みを帯びた土と水色の海、南半球の冬なので北寄りから昇る太陽が印象に残りました。

 27日(土)にマプトからヨハネスブルグを経由し、ボツワナの首都ハボロネに入り、29日(月)の放送開始式典、30日(火)の共同作業部会冒頭挨拶に臨みました。高地に位置するハボロネは、周囲に草原と低木が拡がる街ですが、4月は一面緑だった風景が、今回は冬らしく一面茶色に変わっていたのが印象的でした。担当のマシシ大統領府大臣とは、東京での会食以来僅か2週間での再会となり、今後地デジ移行の実務を担当されるモレフィ運輸通信大臣ともゆっくり話す機会が取れました。

 式典は、ケディキルウェ副大統領出席の下、SADC(南部アフリカ開発共同体)諸国のコンゴ、ザンビア、マラウィ、モザンビークからも大臣・副大臣等が陪席する中で開催され、私も日本政府を代表して、採用頂いた日本方式によるスムーズな地デジ移行の実現に最後までしっかり協力する旨、挨拶で誓いました。ボツワナでこれから始まる具体的な取り組みは周辺のSADC諸国も注目しています。ここで成果を挙げ、アンゴラ、モザンビークなどでの日本方式法採用、さらには南部アフリカ諸国とのICT分野での協力関係構築につながれば、という思いの中での「第一歩」を踏み出す出張となりました。冬晴れのハボロネの爽やかな空気を胸に刻み、同行頂いた総務省職員の皆さん、支援頂いた外務省大使館の皆さん、そしてこれからの具体的な協力作業に携わられるNHK始め民間の皆様に感謝しながらの出張報告とします。

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国政報告(第193号)

 昨21日(日)に参議院選挙が終り、地方区では堂故茂さん、比例区では山田俊男さんほか関係者が当選を果たしました。全体として自由民主党が65議席、公明党が11議席と、与党が76議席を確保して参院の過半数を超え、「ねじれ」が解消されました。新たな局面に入った国政の推移は、今後報告することとし、今週は24日(水)から1週間、アフリカ(モザンビーク、ボツワナ)に出張予定のため、先に193号をお届けし、次回は8月初旬にさせていただきます。

 総務省のICT成長戦略の各論として、先に医療・介護と教育を紹介しましたが、施設管理、1次産業、海底資源探査などの分野にも展開が期待されています。ここで活躍するのが「センサー」です。皆さんには自動ドアでおなじみですが、対象物の位置の変化を電波の力で把握する機能を持っています。多数のセンサーをネットワークし、情報を集約・活用することで新たな業務分野が広がります。

 地下に埋設された水道管や橋梁にセンサーを取り付け、漏水や橋の歪みを検知させ、管理センターに通報する仕組みを作れば、施設を一元的に管理できます。植物工場では場内の温度や湿度をセンサーで感知させ、適切な環境となるよう空調や水の供給をコントロールできます。海底資源の探査も無人センサーと適切な通信手段の組み合わせで効率化できそうです。このほか、登下校時の子ども達の見守り、有害鳥獣の監視、地すべりの事前予測など、センサーのネットワークで対応可能な業務は多岐にわたります。先月末に訪問した長野県塩尻市では、市内にセンサー網を張り巡らし、多様な可能性を追求しています。

 新藤大臣が主唱される「G空間」の活用も大きな可能性を秘めています。地球上の様々な対象物の位置を、宇宙空間に打ち上げた測位衛星で正確に把握し、その情報を集約して活用しようとするものです。実例としてカーナビがありますが、万葉線のドラえもん電車も、今どこを走っているか、常時ホームページに掲載されています。携帯電話からの119番通報も、電波が通る基地局が把握できるもので、消防本部ではおおよその場所がわかるそうです。加入者が自らの位置の公開を承諾している場合は、ズバリその場所に急行できます。物流分野では、貨物の入ったコンテナにICタグを付ければ、世界中どこでも現在地が把握でき、輸送状況がチェックできます。

 以上、4回にわたりICT成長戦略の描く近未来の社会の姿を紹介してきましたが、ネットワークをいかに構築していくか、また、一面、プライバシーの侵害などの副作用にどう対処していくか、課題は数多くあります。例年8月末の新年度予算の概算要求締切りに向けて、これから総務省内では施設・予算の肉付け作業が本格化します。戦略の実現に資するよう私も努力していきます。

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