2015年10月

国政報告(第302号)

 両陛下を富山県にお迎えしての豊かな海づくり大会が、晴天のうちに無事終了し、26日(月)の夕刻に上京、27日(火)朝の党政務調査会の職員の方々と打ち合わせから総務部会長としての活動が始まりました。総務省の仕事は、3年前に総務大臣政務官を務めており、馴染みはあるものの、改めて各部局の現状と課題のレクチャーを受けています。部会の構成も、衆議院側の部会長代理に菅家・小林の2議員が決まり、順次、副部会長が指名されて活動が本格化しますが、当面は来年度の税制改正を議論する党税制調査会に部会意見を反映させる事が仕事です。

 永田町の現状は、先月末に通常国会が終わった後、TPPの大筋合意を受けた対策策定、補正予算の要否の判断、そして新年度の税・予算のセットへと政府が作業を進めています。これに与党政務調査会として意見をまとめ、政府に申し入れて行く過程が年末まで続きます。例年は臨時国会と並行して進む作業ですが、今年は国会開会のメドが示されないままに推移しています。国会が閉じているため、議員も必ずしも皆が在京で活動している訳ではなく、ウイーク・デーでも地元と往復しながら東京の日程をこなす方が多いものと思います。例年の環境との違いを感じつつ、部会活動のエンジンをかけて行く事になります。

 野党側からは、内閣改造も踏まえ、国会開会の要求が出されていますが、与党側ではTPPの交渉結果について、衆参の予算委員会で閉会中審査を行う方針のみ回答している現状です。今後の対応は、政府・与党幹部の皆さんの判断によりますが、仮に通常国会を1月上旬に前倒しして対応する場合は、公務員給与の人事院勧告に沿った改定案を冒頭に処理し、補正予算、本予算の順に審議を進めるものと予想されます。前国会で継続審査となった法務・厚生労働委員会の法律案の審議は4月以降にずれ込むものと思われ、この点だけは、前国会で国対を務めた私の立場で懸念するところです。

 28日(水)の朝、石井知事、横山議長、高平県議と宮腰党県連会長始め与党国会議員が集まり、国の機関の地方移転に係る富山県の要望について県側から説明を受けました。厚労省、文科省、消防庁の関係機関について受入れの希望があり、特に製薬産業の成長が近年著しい富山の現状に照らし、ジェネリック薬の審査や薬業行政に係るアジア諸国の政府職員の訓練を行う機関の誘致に望みが持てるのでは、との認識を共有しました。午後から、国会議員側を代表して私が知事に同行し、石破地方創生担当大臣に要望しました。また同日、国営農地防災事業庄川左岸地区の事業促進要望にて、砺波・高岡・小矢部・南砺の4市長が上京され、同行して齋藤健農林水産副大臣に要望しました。平成21年当選同期の4人のうち、伊東・齋藤議員が農水副大臣、小泉議員が党政調農林部会長となり、3人までが農水分野に集まる展開となりました。「橘さんも農水分野に来いよ!」と、皆から言われています。

 29日(木)は、党TPP対策本部の会合があり、11月末の政府の対策策定に向け、11月下旬までに党の方針を決めることとなりました。総務部会関係では大きな問題は無さそうですが、小泉農林部会長は早速フル回転です。久しぶりに政務官を終えた小泉議員と同席し、新しい持ち場での毎日が動き出したなあ、と実感しました。「心機一転」で取り組んでいきます。

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国政報告(第301号)

 前号の後、15日(木)の朝に羽田空港から飛び立ち、23日(金)の夕刻まで、議院運営委員会から欧州へ9日間出張しました。24日(土)の朝に富山に戻り、天皇・皇后両陛下ご臨席の下、「第35回豊かな海づくり大会・富山大会」の諸行事に参加しました。

 大会は、射水市新湊地区を主会場に、大島大会長(衆院議長)、森山農水大臣、丸川環境大臣などのご出席で盛大に開催されました。高度3千mの立山連邦から流れ出る良質な水が注ぎ込む深さ千mの富山湾には、多様な種類のさかなが数多く生息しています。「天然のいけす」を舞台に営まれる漁業と人々の生活や文化に焦点を当て、育てる漁業、良好な環境づくり、そして次代の漁業者育成への決意を参加者が確認し合う有意義な機会となりました。県・射水市関係者の入念な準備の賜物です。とりわけ、大会運営に関わる高校・高専生や、作文・意見発表をする小中学生の元気で清々しい態度と、終始温かく見守って頂いた両陛下のお姿が強く印象に残りました。

 欧州出張では、岸信夫団長(衆院議運理事)ほか5名の議員メンバーで、イタリア、スペイン、フランス三国を回りました。各国の下院議事堂、国立公文書館を訪問し、親日議員有志の方々と意見交換しました。イタリアでは、今月末まで開催のミラノ万博も訪問し、洗練された展示と美味しい日本食が評判の日本館を見学しました。スペインでは、独立の動きがあるカタルーニャの州都バルセロナに足を伸ばし、実情を伺いました。

 三国とも本会議場は我が国同様、半円形のすり鉢状で、運営についても、議運・国対に似た役割の組織や会議がありました。スペイン、フランスの本会議の定例日は火・水・木(日本は火・木・金)で、週末は議員は選挙区に戻るなど、共通点もありました。目下、欧州では、中東から流入する難民の受入れが課題ですが、当面はドイツの対応を注視しているようです。経済・財政については我が国と同様の問題意識で、成長戦略、観光振興、財政再建など日欧間で意見交換できるテーマが幾つもありそうです。

 公文書の取り扱いについては、各国の館で収集・分類・保存が地道に進められていました。憲法、人権宣言(フランス)、通商条約(イタリア)など、基本的文書が国民に向けて積極的に展示されていて、我が国の国立公文書館の在り方の検討方向と一致しています。

 私とすれば、2年前に家族旅行させて頂いたイタリアは別として、スペイン・フランスは四半世紀ぶりの訪問でした。街並みが一段と磨かれたトレド、交通渋滞がひどくなったパリなど、変化も感じつつ、街の社会資本に対する地道な投資の重要性を再認識しました。

 帰国と同時に政務調査会総務部会長を拝命しました。地方自治、情報通信、行政管理と、取り組んできた分野で頑張って参ります。

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国政報告(第300号)

 例年より早い時雨に見舞われた三連休、富山で10日(土)は氷見線・城端線のコンセプト列車「べるもんた」号の出発式、11日(日)は高岡市のグラウンドゴルフ場の開場式福岡の木舟城まつり、12日(月・祝)は茶道裏千家淡交会高岡支部の許状お引き渡し式と各行事に参加しました。「べるもんた」号は、どちらかというと車歴の長い気動車が主体の線区に何か新しい車両を、という地元の希望を踏まえ、JR西日本社にて、既存車両の改装ながらも観光要素満載の大胆なリフォームを施したものです。土日の運行ですが、既に一カ月以上予約で満席とか、新幹線に連動して沿線の活性化への寄与が期待されます。木舟城まつりでは、新高岡市合併10周年を記念し、中世から16世紀後半の「天正の大地震」で倒壊するまで、県西部の拠点であった木舟城の跡で、地元の皆さんが中心となり、武者行列が披露されました。生憎の空模様でしたが、要所要所で雨が上がり、関係者の心意気が天に通じるようでした。

 13日(火)朝のかがやき536号で、新高岡駅から上京しましたが、永田町では新しい副大臣・政務官が決まったものの、党人事も途上で、臨時国会の日取りも未定とあって、議員の姿もまばらです。例年なら、10月下旬くらいに召集され、人事院勧告を実施するための給与法改正案などの案件を処理するところですが、通常国会が異例に長期間にわたったこともあり、各委員会の海外視察も月末まで続くとあって、予定が立てにくいようです。

 前号で触れた通り、TPPの大筋合意がなされ、原発も九州電力の川内1号機に続き、川内2号機も間もなく稼働の予定です。その後は、関西電力高浜3・4号機、四国電力伊方3号機と原子力規制庁の手続きが終局に向かっています。沖縄では、辺野古沖の埋め立て承認を翁長知事が取り消したのに対し、沖縄防衛局が国土交通大臣に審査請求し、来月にも本体工事に着手する構えです。このほか、国民へのマイナンバー番号の通知手続きが始まり、消費税10%引き上げ時の軽減税率導入の検討を安倍総理が宮澤新税制調査会長に指示するなど、国政には様々な動きが出ています。国会閉会中とはいえ、予算委員会の閉会中審査が行われるようです。前国会の積み残し案件の処理のためにも臨時国会で審議を促進させる方が望ましいと思いつつ、昨年は思いもしない総選挙が打たれた事もあり、先行きを勝手に決めつけずに、富山と東京を往復しながら政務をこなして行こうと思います。13日はJAいみず野女性部の皇居清掃奉仕団の皆さんの激励と、南砺市井頭(いとう)敬神会の皆さんとの懇談、14日(水)は総務省政務官時代にお世話になったモザンビークのマカテ大使の離任に際しての夕食会に顔出ししました。

 明15日(木)からは、議院運営委員会の海外視察で、23日(金)までイタリア、スペイン、フランスと回ってきます。その矢先、萩山教厳先生の訃報が飛び込んできました。葬儀に出席できぬ非礼をお詫びし、6期20年間にわたり国政に参画され、能越自動車道や新湊大橋など地域の高速交通体系の実現に汗をかかれた先生の偉大な足跡を心に刻み、渡して頂いた富山3区のバトンを手に、微力ながら精進して参る決意です。

 国政報告も本号で300号となりました。帰国後の301号からは新たな党の役職にて前進して行きます。

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国政報告(第299号)

 国会閉会中の今週ですが、一番の動きは10月5日(月)、TPP交渉の大筋合意の知らせでした。民主党内閣時の参加検討表明から5年、安倍内閣となって交渉に参加してから2年半の長期間にわたる取り組みでした。この間、甘利担当大臣を中心に農業分野5品目(米、麦、乳製品、肉類、甘味作物)を守るという方針のもと、粘り強く交渉に当たってきました。当初は関税の即時撤廃との不安もありましたが、安倍総理と米オバマ大統領との首脳会談でお互いにセンシティヴィティを持つ重要な品目がある旨の合意ができ、米や麦の関税率は変更されませんでした。

 もちろん、各品目について、輸入数量の拡大や関税の引き下げ等、市場開放に向けた措置が取られますが、当初の交渉方針は守られたものと思っています。また、製造業の品目はもとより、和牛や水産物など我が国が輸出に力を入れている農水産品について、相手国の関税撤廃など交易条件が改善する効果もあります。今後、合意内容の詳細が明らかにされるとともに、農業分野を中心とした対策が立案され、協定署名後の年明けには批准に向けた国会審議が始まることになります。

 最終合意の段階では、医薬品等の分野で米国と他の国が激しく対立し、閣僚会議は当初の予定を2日延長しての折衝となりました。この間、甘利大臣が大筋合意に向けて米フロマン代表ほかのメンバーに強く呼び掛けるなど、我が国が重要な役割を果たしたものと見ています。これで、民主党政権以来の国政上の三つの重要課題として私が注視してきたTPP、原発再稼働、沖縄基地移設のうち、二つが大きく展開したことになります。九州電力の川内原発は1号機が順調に稼働し、2号機も今月中旬に稼働開始の予定で、四国電力の伊方原発が後に続く見込みです。残るは沖縄の普天間基地の辺野古への移設ですが、翁長県知事が辺野古沖の埋め立て工事の許可取消しを準備するなど、予断を許さない状況が続いています。ここを乗り切って2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、「日本を取り戻す」という公約実現に政府与党として進んで行きたいものです。

 私自身の今週の主な動きですが、3日(土)に若宮健嗣代議士をお招きし、富山第三選挙区・女性部共催の平和安全法制セミナーを開催、夕刻は才川昌一議員後援会で国政報告の機会を頂きました。4日(日)は陸上自衛隊富山駐屯地53周年5日(月)の国立富山高等専門学校創立50周年・創基110周年、6日(火)の全国すし(寿司)連富山大会と式典出席が続き、7日(水)は党北陸新幹線敦賀以西のルート検討委員会にて福井・石川・富山三県知事の意見を伺いました。また、3日朝には、高岡市伏木の勝興寺門前のポケットパークにて、地元自治会の皆さんによる大伴家持卿の銅像・歌碑の除幕式がありました。「しなざかる 越(こし)に五年(いつとせ)住み住みて 立ち別れまく 惜しき宵かも」との万葉集の家持卿の和歌を小生にて揮毫させて頂きました。恐れ多い事でしたが、元越中国庁跡に家持卿の銅像を建立したいという地元の皆さんの熱意に共感し、国会でも万葉集を披露させて頂いているご縁に感謝してお引き受けした所です。

 7日(水)には第3次安倍改造内閣が発足、9人の閣僚が交代しましたが、骨格の皆さんは留任となり、安定感のある布陣だと思います。これに伴い、私たち議員の人事も行われますが、国会で仕事をする機会を頂いて7年目、気持ちも新たに自分の営みを少しでもカタチに残せるように努力して行きます。

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国政報告(第298号)

 先月25日(金)に衆参両院とも、各委員会、本会議が一斉に開かれ、通常国会の閉会手続きがとられました。第189国会は27日(日)の会期末を待たずに静かに閉じられ、しばらくは秋の休会時期が続くようです。

 25日の夕刻に富山に戻り、26日(土)は2か月に1回の散髪位で静かな週末を過ごさせて頂きました。28日(月)に高岡市内で打ち合わせを済ませ、29日(火)に再び上京し、各省の積み残しのレクを受けました。閉会後の永田町は在京の議員も少なく、国会周りで街頭活動をする人影もまばらになりました。平和安全法制の成立がどのように受け止められていくのか、まだ確たる事は言えませんが、富山県連では各選挙区ごとに講演会を開催することになりました。私の第3区でも10月3日(土)に自由民主党富山県第三選挙区支部・女性部共催で若宮健嗣代議士にお願いして、衆院の特別委員会での審議に立ち会われた経験を下に、法整備の必要性をお話頂く予定です。

 安倍総理は国連総会への出席等の用務で米国に出張されており、各国首脳との会談の模様などが連日報道されています。平和安全法制を整備したからと言って、地道な外交努力の積み重ね無くして恒常的な安全保障は成り立ちません。米国はもとより、ロシア、韓国、中国首脳との接触、また、国連安全保障理事会の改革に向けたドイツ、インド、ブラジル首脳とのG4の活動など、精力的に動かれている様子を嬉しく思っています。

 私自身は、引き続き、石破大臣を応援していく考えですが、28日に結成された派閥には入りませんでした。初当選時に無派閥で活動する道を選択した以上、必要な時には駆け付けるが、日常の政治活動はこれまで通りのスタイルで進めていこうと思います。安倍総裁が再選された以上、そのリーダーシップの下、「日本を取り戻す」という初期の目的の達成に持ち場で努力していきます。

 30日(水)に富山に戻り、TPPの閣僚交渉の行方を気にしながら、10月7日(水)までの滞在予定です。1日(木)の朝は、高岡大和で開幕した「2015工芸都市高岡クラフト展」の開会式に出席、全国から応募された「用の美」を究めた作品を観賞しました。お昼は、今夏から同窓会長を仰せつかった県立高岡高校の創立117年式典に参列、同窓生の出町譲テレビ朝日ディレクターの人生の歩みと在校生への熱いエールを聴かせてもらいました。その後、射水市新湊の曳山13基の勇壮な引き回しの観覧に出向きました。

 国会が終わって久し振りに心を落ち着けて地元の行事に参加し、改めて地域の皆さんの多彩な活動や、次代を担う世代の活力によってこの6市が成り立っていることを強く感じています。地元のために、土台となるこの国のかたちをどう整えていくのか、しばらくは思いを巡らす充電期間としたいと思います。

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