国政報告

国政報告(第342号)

 5日(金)に復興副大臣を拝命し、お盆を経て2週間ぶりの報告となります。6日(土)に6月に亡くなった妻の母の納骨を東京で済ませ、7日(日)は地元で散髪をして上京し、8日(月)から復興庁での仕事がスタートしました。

 午前に官邸で、閣議後に総理が主催される復興推進会議が開かれました。安倍総理から、今回の第3次改造内閣の指針のトップに震災からの復興を掲げた事を踏まえ、閣僚全てが復興大臣との思いで協力する事、被災地に寄り添い、現場主義で、未来への希望が持てるよう、この5年間の復興・創生期間(平成28-32年度)に努力するよう指示がありました。復興庁に戻り、今村大臣の閣議後会見に立ち会い、記者の皆さんに自己紹介させて頂きました。

 お昼過ぎの東北新幹線「はやぶさ19号」にて大臣に随行して仙台に向かいました。復興庁の出先である宮城復興局にて職員の皆さんに挨拶の後、宮城県庁に村井知事を訪ねました。ちょうど、天皇陛下の「お気持ちの表明」の時間と重なり、テレビで拝聴の後、挨拶を兼ねて懇談しました。村井知事からは、復興施策の進捗を評価しつつ、市町村への一段の人的支援の要請など、残された課題への対応を求められました。

 その後、海沿いの県内第2の都市、石巻市に移動し、地震・津波の犠牲となられた方々への献花の後、住まいの場を新たに確保する防災集団移転促進事業や災害公営住宅整備事業の現場を訪れました。事業が最盛期を迎え、完成した公営住宅には入居が進み、集団移転についても、底地が区画されて完成し、これから住宅建設が進もうと言う段階でした。亀山市長、丹野議長、大森副議長から、5年間の苦労を振り返り、市民の皆さんに生活(住宅)と生業(産業)の場をしっかり確保していきたいとの思いを聴かせて頂きました。

 翌9日(火)、大臣は福島に向かわれ、私の方で、宮城県北部の東松島市(阿部市長)、南三陸町(佐藤町長)、気仙沼市(菅原市長)、女川町(須田町長)と4市町を訪問し挨拶と併せて当面の要望や思いを聴かせて頂きました。住宅、区画整理、防潮堤など、住民合意に苦労されながらも方針をまとめ、形にされている首長・議会始め行政の皆様の努力の跡が偲ばれました。そして、多くの住民の皆様が仮設住宅から新たな住まいへと移っていかれるこの時期、個々の皆さんの置かれた環境の違いへの配慮や、新たなまちづくりのための基盤や、地域特性を活かした農林水産業・製造業・観光の振興を目指す意気込みと国の支援を求めるご意見を様々に寄せて頂きました。私自身が一つ一つの課題を東京に持ち帰り、解決に向けて前進するよう努力していく旨、お話ししました。

 10日(水)には名取市の山田新市長が今村大臣に面会され、同席してご挨拶しました。おって宮城県南部ほか関係自治体も訪問する予定です。

 お盆の期間は、14日(日)に恒例となった小矢部市興法寺地区での馳先生主催のふるさとトーク、15日(月)に県戦没者追悼式、16日(火)に県立高岡高校同窓会と出席の上、17日(水)のかがやきで上京、党東日本大震災復興加速化本部総会に出席しました。額賀本部長、谷事務局長始め諸先生方により、復興加速化に向けての第6次提言骨子が審議されました。その中で、福島第一原発事故により、長期避難生活を余儀なくされている福島県相馬・双葉地域の12市町村における「帰還困難区域」の取り扱いについても、地元首長のご意見を踏まえ、調整して行く旨、了承されました。

 18日(木)は地元案件で、検証作業が最終局面を迎えた利賀ダムの促進要望で、綿貫先生、各市長の皆さんに同行して国土交通省に伺いました。あと一息のようです。

 来週も、与党側の提言取りまとめ、月末締切に向けての概算要求の取りまとめなど、動きが続きます。今週は夏バテのためか、胃腸の調子を崩しましたが、体調管理しながら職務に当たります。

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国政報告(第341号)

 今週は前半が臨時国会、後半には内閣改造に伴い、復興副大臣を拝命することとなり、私にとっては大きな動きのある週となりました。昨5日(木)の皇居での認証式を経て、心新たに新職務にて努力する決意で本号を綴っています。

 先週末の7月30日(土)、党県連総務会にて秋の知事選に向け、石井知事を推薦し、政策協定を結ぶ事に決し、宮腰県連会長と石井知事の間で取り交わしを行いました。31日(日)は東京日帰りで、久しぶりに東京高岡会に出席し、夕刻は高岡商工会議所青年部50周年の祝賀会で祝辞を述べました。地方創生は、若い世代の皆さんに各地域で仕事に、子育てに頑張って頂ける環境を作っていく事が主眼であり、青年部の皆さんの活発な取り組みに期待し、また、応援していかなくては、と思います。

 1日(月)朝、「かがやき536号」で新高岡駅から上京し、参議院選挙を受けての第191国会(臨時会)の召集、天皇陛下をお迎えしての開会式に臨みました。午後には東海北陸自動車道の期成同盟会があり、桜井小矢部市長から県内を始めとする区間の四車線化の早期着工を求める意見発表がありました。検証作業が大詰めを迎えている利賀ダムとともに、野上・堂故・山田議員始め同僚の皆さんと事業推進にしっかり頑張っていきます。

 2日(火)午後の党森林吸収源対策PTへの出席が総務部会長としての最後の仕事になり、夕方には2020年財政構想小委で、小泉事務局長たちと党人事前最後の議論を、社会保障改革をテーマに行いました。3日(水)朝には党の新三役決定に伴い、部会長として大いに経験を積ませて頂いた10カ月が終わり、午後の本会議で国会閉会となりました。夕刻の内閣改造で野上官房副長官が誕生の知らせを、先の参院選で全国一の得票率で押し上げた甲斐もあったと、嬉しく聞きました。

 4日(木)は本川氷見市長、夏野砺波市長の要望を受け、砺波市議会自民会の皆さんの一億総活躍に関する勉強会をセットさせて頂くなど、日程をこなしていた所、18時前に携帯電話が鳴り、相手は菅官房長官でした。復興副大臣を受けるようにとのご指示で、5年前の東北大震災の惨状や我が国における復興成就の重要性など瞬時に心の中を駆け巡り、謹んでお受けしますとお返事致しました。今回の人事では、部会長の後でもあり、党務で汗をかく時期と思っていたため、翌5日(金)午前10時15分まで、モーニング姿で官邸に出頭せよとの事でにわかに慌しい局面となりました。衣装は宿舎にあったものの、靴やベルトをデパートに買いに走り、朝には銀無地のネクタイが無い事に気付き、急きょ伊東先生に貸して頂き、何とか形になりました。

 皇居に参内、天皇陛下のご面前で安倍総理から辞令を頂き、新たな職務がスタートしました。官邸で野上官房副長官と同席しての副大臣会合で総理・官房長官から訓示を頂き、復興庁に初登庁、今村大臣、長沢・末松副大臣、務台・田野瀬・井原政務官のチームで、西脇次官始め職員の皆さんと力を合わせ、被災地に寄り添い、復興の推進に当たる事となりました。私の担当は、業務の総括、地震・津波からの復興で、地域としては宮城県のお世話をします。早速、週明け8日(月)には大臣に随行して宮城県に出張、知事・市町村長との面談から実質の仕事に入ります。

 次回はお盆をはさみ、19日(金)頃に報告致しますが、まずは職務に邁進します!

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国政報告(第340号)

 北陸から一足遅れて、東京も28日(木)に梅雨明けとなり、強い日射しと暑さがやってきました。先週に引き続き、経済対策の取りまとめ、2020年小委など党政務調査会の仕事を主体に、週日の東京での活動を続けています。

 先週末は、伏木港万葉埠頭に海上自衛隊の護衛艦、「いせ」、「みょうこう」、「せとぎり」の三隻が入港しました。防衛大学校の学生120名余の実習を兼ねての寄港で、一度に三艦が接岸するのは伏木港では初めてであり、全国的にも珍しいとのことです。22日(金)の歓迎レセプション24日(日)の艦上での答礼レセプションに参加、福井司令ほか皆さんと歓談しました。23日(土)は、高岡で日本インドア・グリーン協会の総会があり、屋内緑化を営む方々が全国から100名余集まられました。地元の野上さんが行事の運営から視察研修のコース設定まで仔細に準備されており、総会前には滝田洋二郎監督が制作された高岡を紹介する5分物の映画も上映され、好評でした。いずれの行事も、北陸新幹線の開業効果の現れであり、防大生も伏木港で下船し、新高岡駅から東京経由で横須賀に戻ったそうです。

 25日(月)の朝、党県連常任顧問会議にて、今秋の知事選に石井知事を推薦するべく、30日(土)の総務会に提案する事に決し、夕刻に上京、26日(火)朝の政調全体会議での経済対策の議論に参加しました。政府から提示された案は、①一億総活躍、②21世紀型インフラ整備、③英国のEU離脱決定に対応した中小企業対策、④熊本地震対応ほか防災対策、の4本柱となりました。総務部会長として、地方に十分な事業が確保されるよう要望し、具体的に、本年度当初予算で十分に採択されていない、学校施設整備、農業基盤整備、社会資本整備総合交付金の三事業を挙げ、自治体の要望に応えるよう求めました。会合で出された意見を踏まえて調整が進められ、28日夕刻に再度会議が持たれ、扱いは稲田会長に一任されました。来週8月2日(火)の閣議決定の予定とされており、対策の規模は、官民合わせて28兆円程度と安倍総理が表明されています。この後、内閣改造を経て補正予算の編成に入る訳ですが、一般会計の規模としては、3兆円程度と言われています。自治体の要望が1件でも多くかなうよう、期待しています。

 26日は、利賀ダム期成同盟会の総会が砺波市庄川地区であり、建設現場の視察には参加できなかったものの、新幹線でのトンボ帰りで総会に顔出しがかないました。綿貫会長自らのご尽力で、7年間かかっていたダム事業の必要性の検証作業に答えが出て、継続すべきとの結論が北陸地方整備局から国土交通省に上申された機会での節目の総会で、事業完遂に向けての決意を一同新たにしました。

 27日(水)には、参院選後初めての2020年財政構想小委の会合を持ち、歳出改革工程表の目玉である社会保障分野について、若手議員の皆さんと議論しました。内閣改造・党人事前に、来週もう一度委員会を開催し、少しでも議論を深めておこうという思いです。また今週は、南砺市、小矢部市、高岡市と重要要望に上京され、対応しています。いよいよ8月1日(月)には第191国会(臨時会)の召集、3日には内閣改造の予定となり、新たな体制でまた頑張っていきます。

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国政報告(第339号)

 東海地方まで梅雨明けしたとの事ですが、東京は雨で涼しく、夏にはもう一息という所、今週は「金帰火来」で月末にまとめられる経済対策に向けた党政務調査会の作業が主体です。

 先週末の三連休、16日(土)は富山市にて、党四国選出国会議員の皆さんの視察に対応しました。17日(日)は昨年に引き続いて富山新港を舞台に開催された「タモリ・カップ」のパーティ、18日(月)は伏木海上保安部の巡視船「やひこ」の体験航海への参加と、「海の日」らしく過ごしました。タモリ・カップは、タレントのタモリさんが主催するヨット・レースで、前後にはヨット・パレードやバーベキュー・パーティなど来場者も幅広く楽しめる催しがあります。県セーリング協会の四方会長、石井知事、夏野射水市長などの熱い要望に、タモリさんも来年の3度目のレース開催に前向きな発言をされ、イベント会場は大いに盛り上がりました。

 地元の皆さんの受入れ体制もさることながら、帆船海王丸、海竜マリンパーク、国立高専射水キャンパスと、海洋教育、海洋スポーツに関わる施設の充実ぶりは、タモリさんからも高い評価を受けているとの事です。「やひこ」でご一緒した福井伏木海保部長からも、北陸新幹線開業で首都圏からのアクセスが良くなった利点を生かし、子どもたちの体験学習や大学のゼミ合宿を「夏の富山湾」で積極的に受け入れては、とのエールを頂きました。新幹線を活かしてインバウンドのお客様を増やす事が課題の富山県にとって、上手に活かしたい提言だと思いました。

 この間、県議会政務活動費の架空請求問題で矢後県議が辞職するに至り、残念ではありますが、襟を正して受け止めたい心境です。

 19日(火)に上京し、地元6市の新年度要望のうち、重点事項について各省庁の対応方針の説明を順次受けながら、20日(水)には経済対策に盛り込むべき事項の協議のため、総務部会役員会を持ちました。今回の対策についての総理指示は、①一億総活躍、②21世紀型インフラ整備、③熊本地震対応ほか防災対策、の3本柱となっており、総務省からはICTを活用した地域活性化策や消防体制の充実等の施策が示されました。役員会としてこれを了承しつつ、地方経済のテコ入れのため、地域の要望に沿った事業予算の確保を強く求める意見が出され、地方創生推進交付金など、必要な措置を政府に求める事を付して、政務調査会に意見を提出しました。他部会も順次、部会や役員会を開催して意見を取りまとめましたが、私の出席した国土交通部会でも、自治体への補助・交付金事業の充実を求める声が相次ぎました。この後、稲田政務調査会長が党としてまとめた意見を政府に申し入れ、これを受けた経済対策案が26日(火)朝の政調全体会議に示される予定です。

 21日(木)には、2020年小委の役員会を持ち、来週27日(水)から社会保障分野で改革すべき点についての議論を始める事としました。来月上旬の内閣改造に伴う党人事で、小泉事務局長を含め、お互いにどのような役職に変わるかわかりませんが、少しでも若い世代の皆さんの想いをまとめておこうという方針です。同日、地元6市の先頭を切って、射水市から新年度要望を受けました。来週、再来週とこのような形で仕事をしていきます。

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国政報告(第338号)

 7月10日(日)に参院選の投票日を迎え、富山選挙区は応援してきた野上浩太郎候補が全国トップの得票率で三選を果たしました。全体の結果を見ると、我が党は1人区で21勝11敗で、前回の平成25年のレベルには達しませんでした。新潟・長野・山梨県と、秋田を除く東北各県の選挙区を落とし、沖縄での島尻大臣の落選は、党沖縄振興調査会事務局長としては残念でした。与党で過半数という目標は達成でき、主要メディアでも与党勝利との評価ですが、「西高東低」とも言える選挙結果については、慎重に受け止めなければならないと思います。

 ともあれ、12日(火)に上京し、まずは、選挙区の6市の新年度に向けた国への要望事項のうち、主要なものについて関係省庁から説明を受けています。13日(水)は総務部会・情報通信戦略調査会の合同会議で総務省から通信白書の説明と併せ、3年に1回の電波利用料の見直しの方針や、インターネットの普及に対応した今後の放送事業の在り方についての省内の検討状況を聴きました。また、射水市議会の自民会派の皆さんが上京され、議員会館での勉強会に招かれました。2020年経済財政構想小委の検討状況について話をし、医療・介護・年金・子育てなど福祉施策の在り方について幅広く意見交換しました。

 国政の政治日程も選挙前の想定より前倒しとなり、内閣改造は9月ではなく、8月3日(水)になるようです。現体制で経済対策と今年度補正予算の大枠を決めてしまう方針となり、来週には各部会から要望事項を稲田会長に提出するようにとの指示が出たところです。内閣改造に伴い、党人事も予定されており、総務部会長としての仕事も8月初めまでで一区切りになりそうです。2020年小委もメンバーの交代など可能性が強いものの、少しでも社会保障制度の改革の議論に入ろうと、14日(木)の幹部会で今月末・来月初の2回の会合を予定する事にしました。

 経済対策には、熊本地震の被害への手当てのほか、地域経済の活性化や社会資本整備が盛り込まれる見通しであり、学校施設の充実など、防災効果も併せ持つ事業が上手く組み入れられるよう、政調の会議で声を出して行きます。日本銀行の異次元の金融政策の効果が出ている間に、政調戦略が具体的に前進するように知恵の絞り所です。来週は、経済対策絡みの部会や役員会で忙しくなりそうです。

 こうして、約一カ月半振りに東京での活動に取りかかったところで、矢後肇富山県議会副議長の政務活動費の架空請求問題がにわかに大きなニュースとなりました。本人が記者会見で不正を認めて謝罪し、副議長も辞任するなど、全国レベルでも報道される事態となっています。同じ党で活動してきた同志として残念に思いますが、不正行為自体は到底許されるものではなく、県民の皆さんに真摯に向き合って襟を正していく姿勢が必要と痛感しています。本件についても推移をしっかりと見つめつつ、来週以降も東京での動きを中心にお伝えして行きます。

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国政報告(第337号)

 参議院選挙も終盤戦、時折、夏の前触れのような日射しが照る中、活動を続けています。途中、3日(月)には庄川左岸排水対策協議会に出席しました。前職の高岡市長時代から関わっている事業で、砺波・小矢部・南砺・高岡4市に及ぶ「となみ野」の農業用排水路を改修し、途中に調整池も設け、農業と住民の生活を支える基盤を総合的に整備するものです。附帯の県営事業も、一期、二期と進んで、来年度は三期に入る要望がなされています。平成21年度の着工以来、公共事業抑制の厳しい環境下ではありましたが、国営農地防災事業として着実な進捗が図られ、完成のめどが立ちつつあります。社会資本整備について色々な意見がある中、本事業はその効果を十分に主張できるものだと思います。

 ここ数回、前国会の政務調査会での議論の中からトピックを選んで紹介してきましたが、最後となる今回は、内閣の消費税先送りの決断を受けた今後の財政運営の課題を述べようと思います。これは、秋の臨時国会においても、TPP批准案件と並んで論戦の主要テーマになるものと思います。

 昨年の6月、党の財政再建特命委員会の議論を踏まえ、政府は2020年度までの財政再生計画を、骨太方針の一部として閣議決定しました。リーマンショック後の最悪期の10年度(西暦)のプライマリーバランスの赤字幅を15年度には半減できたことを基礎に、今後5年間で、平均3%の経済成長、消費税の10%への引き上げ、高齢化に伴う社会保障費の自然増抑制を核とする歳出改革の3つの手段の組み合わせにより、赤字を解消することとしました。今回の消費税増税の19年10月への先送りの決定は、当然、計画の進捗を遅らせる効果がありますが、最終年度の20年度には増税効果が十分に発現することから、計画の枠内で増税実施を可能な限り最大限遅らせたとも解釈できます。

 このため、計画で予定している18年度の中間点検時は、増税効果が無いため、赤字幅の縮減は厳しい状況になるものの、成長政策と歳出改革は計画に定めた通りに取り組めば、20年度の目標達成は可能な現状にあると言えます。従って、新年度予算編成に際しては、計画に定めた工程表通り、社会保障費の自然増の抑制策を実行していかなければなりません。自助・共助・公助の精神で、負担能力のある方には応分の負担をお願いし、真に困窮されている方へのセーフティ・ネットをしっかり張っていくという基本理念で、医療・介護・年金など各分野の制度の見直しを具体化しなければなりません。その際、2020年経済財政構想小委員会からの提言・発信も期待されるものと思います。一方、保育士・介護士の処遇改善など新たな政策実現のための財源は、原則として消費税以外の手段で用意しなければなりません。秋にも期待される経済テコ入れのための補正予算の財源も同様で、昨年度の税収の上振れ分が少なくなっているだけに、財源確保には工夫が必要になりそうです。

 また、日本銀行の「異次元の」金融政策も、市場への資金供給量が400兆円を超え、「出口」の議論開始が必至の状況になりつつあります。財政再建に向け、絡み合う政策課題をどう整理・解決していくか、今後の内政の焦点の一つだと思います。

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国政報告(第336号)

 7月に入り、晴れ間には日差しが強く、夏が近づいてきたと実感する中、参議院選挙の運動期間も後半戦に入ってきました。

 今回は、私が座長、小泉議員が事務局長となって活動してきた党財政再建特命委員会の「2020年以降の経済財政構想小委員会」の議論から、5月に3度検討した「働き方」に関する各論の内容を紹介します。少子高齢化を伴う人口減少局面に入った我が国では、特に地方圏において経済指標が今までと異なる動きを示しています。景気が過熱しているわけではないのに、27都道府県全てで有効求人倍率が1倍を超え、業種によっては人材難で事業継続を危ぶむ声まで上がっています。労働市場の供給ひっ迫は、当面変わらないトレンドであろうと思われ、このことを前提に、これから社会参加していく若者の働き方の変化と、必要な政策を議論しました。

 最近、企業の寿命は短くなり、個人の職業寿命は延びる傾向にあります。就職した会社で定年まで勤め上げるというスタイルが必ずしも主流ではなくなっています。また、労働力不足への対応として、外国人労働者を別とすれば、女性や高齢者の役割が期待される一方、子育てや介護との両立や「ワーク・ライフ・バランス」をどう作り上げていくかが課題となっています。企業の社員という形態のみならず、スペシャリストとして自営、起業する生き方もあり、従前の「職人」という働き方も見直されるべきです。「多様性=ダイバーシティ」は、労働分野でも今後のキー・ワードと言えそうです。

 すでに、大企業では採用時に学生時代に起業経験のある学生を評価する傾向にあり、30代で起業する方が増えている一方、教育の現場では、起業のチャンスを生かして踏み出す意欲を持つ若者を充分育てきっていないとの批判もあります。女性の妊娠・出産時の離職を反映する「M字カーブ」の解消、高齢者の労働意欲を高める雇用制度づくりが必要で、労働生産性・資本生産性を向上させるためにも労働時間の短縮が求められます。

 小委員会の中間とりまとめでは、「10代のうちから仕事や起業という道もあれば、大学卒業後すぐに就職しないという選択もある。転職を重ねるのも、学び直しをするのも当たり前。いつだって子育てや家族のケアを最優先できる。何かに失敗したとしても、何度でもチャレンジできる。」と呼びかけています。複線的な働き方のモデルを作り、新卒一括採用から、経験者も含む随時採用へと弾力化すること、企業内で総合職と専門職、正社員と非正規社員の処遇格差を縮めること、副業を解禁すること、1歳時までの育休制度を充実すること、など、社会の雇用慣行を変えていく必要があります。

 そのために、政府も、雇用保険・厚生年金の適用対象を拡大すること、職業教育・職業訓練の内容を見直すこと、育休制度を拡充することなど、制度を変える取り組みが必要となります。このことによって、労働生産性が向上し、経済が活性化するとともに、失業等の社会保障コストを低減させて、結果として財政再建につながれば、という思いで、参議院選挙後に提言をまとめたいと考えています。

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国政報告(第335号)

 6月22日(水)に第24回参議院通常選挙が公示、18日間の選挙戦がスタートしました。18歳の方から選挙権を持つ事もあり、19日(日)には富山市で県連学生部の発足式があり、2020年経済構想小委の中間報告、「レールからの解放」を元に講演させて頂きました。18日(土)に南砺市吉江地区後援会に出席したほか、地元での応援活動が主体の毎日なので、国政報告は前国会中の党政務調査会での活動を中心に綴っています。

 昨年秋から与党内で検討が進み、地元でも関心が高かったテーマとして、北陸新幹線の敦賀以西のルート決定問題があります。昨春に長野・金沢間が開業し、沿線地域に大きな波及効果をもたらしており、着工済みの金沢・敦賀間の一日も早い供用と、敦賀以西のルート決定・着工が強く望まれています。このため与党内に、敦賀までの工事前倒しと敦賀以西のルート検討の二つのプロジェクトチーム(PT)が結成され、富山県以西の関係府県の国会議員がメンバーとなり、精力的に調査・研究を進めました。富山県からは、工事前倒しは田畑議員、ルート検討は私が加わりました。

 新幹線は、昭和40年代に作られた全国計画に基づき、整備5線と呼ばれる東北・上越・北陸・九州・北海道新幹線が先行的に逐次工事が進められてきました。北陸新幹線については、富山から先は「福井県小浜市付近を経由し、大阪に至る」ルートとの表現で計画され、今日に至るまで40年以上経過しています。この間、整備凍結や、在来線を活用したスーパー特急方式での簡易な整備など、方針が二転三転しながらも、地元の先人の粘り強い運動の成果もあって、フル規格での整備が進められてきました。

 金沢までの開業、敦賀までの工事前倒しと、整備に進捗が見られた事で、大阪まで整備し、北陸と関西を新幹線で結ぶ必要性が、北陸側のみならず関西でも痛感されるようになり、今回の検討に至りました。PTでは、国土交通省からこれまでの経緯について説明を受け、沿線の自治体、運行主体となり得るJR西日本・東海、学識経験者の意見をヒアリングし、ルートを三案に絞り込みました。

 一番短いのが、米原駅で東海道新幹線に接続する「米原ルート」。滋賀県、石川県の希望です。二番目が、小浜付近から京都駅の地下に乗り入れ、東海道新幹線とは別線で新大阪駅に至る「小浜ルート」。JR西日本の提案で、福井県、大阪府が賛同しています。三番目が小浜から舞鶴へと大回りし、京都駅に乗り入れて新大阪駅に別線で至る「舞鶴ルート」。京都府の希望です。ちなみに富山県は、「乗り換え無しに京都・新大阪に早く行ける」ルートを希望されており、米原で乗り換えが発生するか否かで、「米原ルート」か「小浜ルート」を希望する理屈になります。

 PTでは、関西国際空港へのアクセスを別途検討すべき事、「舞鶴ルート」については、京阪奈学研都市付近を経由する可能性も検討すべき事を付記し、4月末に国土交通省に詳細な調査を依頼しました。ほぼ半年で結果を出すとの事で、これを踏まえ、得失を勘案したルート選定は、稲田政調会長が「年内に行う」と明言されています。米原駅での乗り換えは現状では避けられないものの、リニア中央新幹線が整備されれば事態は変わる可能性があります。リニア新幹線も整備前倒しの議論があり、その推移もにらんで、年末には重要な局面を迎えます。なお、ルートの最終決定は、PTではなく、上部組織である「与党整備新幹線建設推進PT」を中心に行われると思います。

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国政報告(第334号)

 引き続き梅雨空の下、富山で参議院選挙の応援活動を続けています。この間、12日(日)は、高岡高校の近畿圏同窓会に出席するため、大阪に日帰りで出かけました。総会に先立つ講演会では、東京と富山を行き来しながら文化マネジメント活動に携わる林口さんが講師を務めました。美術館の企画展、歌手のコンサート、寺院の文化活動など様々なジャンルのコーディネートの傍ら、地元では日本遺産に選定された高岡のPR事業を請け負っている由。フリーペーパーの制作や大手雑誌記者の受け入れツアーなど、地域文化の発信に貢献されています。地方創生が国の重要な政策課題となる中、北陸新幹線も活用する林口さんのような「二拠点活動」をする方が増えることを期待しています。また、地元にUターンされる人材を活かし、地域活動の輪にうまくネットワークしていけるように、地域の側でも受け入れ態勢を整えることが大切だと感じました。

 週明けの13日(月)の午後に上京して各省庁からのレクを済ませ、あとは県西部中心の毎日です。霞が関は幹部の人事異動が進む中、消費税増税延期の決断を受け、限られる財源の下で社会保障の改革や制度設計をどう進めるか、早くも29年度予算に向けた検討が始まっており、党財政再建特命委員会としても選挙後にはフォローして行かなければなりません。また、舛添都知事の政治資金等の問題が都議会の審議で深刻になり、15日(水)には辞職に至りました。「想定外」の事態も生じる中、参議院選挙に向けては緊張感を持って進まなければなりません。

 さて、本号では、林口さんのお話にちなみ、「文化GDP」について紹介したいと思います。我が国には素晴らしい文化財がたくさんあり、これまでもその保存・修復は文化庁を中心に粘り強く取り組まれています。これを一歩進めて貴重な観光資源として活かすべきとの意見が、昨年末から党内で強く出てきました。折しも、訪日外国人客数が二千万人の大台に近づき、政府も新たに四千万人の目標を設定しようとしており、日本らしさを強調できる文化財の役割が注目されています。さらに、安倍政権は「新三本の矢」として、名目GDPを600兆円まで到達させると打ち出しており、文化の分野でも、様々な付加価値により、GDPの成長に寄与できるものと考えられます。また、文化庁も京都への移転の方針となり、新たな機能を持って文化行政を展開したい意向が出てきました。

 以上のような背景を受けて、党文化伝統調査会の小坂会長や馳文科大臣のご指導の下、堂故政務官とも連携しつつ、今春、「文化GDP」のプロジェクト・チームを立ち上げました。私が座長、実質的な推進役の事務局長には滋賀県選出の新進気鋭の二之湯武史参議院議員がつき、有識者ヒアリング等の検討の末、文化GDP拡大に向けた提言をまとめ、政府に提出しました。文化財修理に観光にも資する視点を入れること、修理自体を産業と位置づけること、ソフトな文化活動をコーディネートする人材を育成すること、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、文化面の発信を強化すること、等々早速骨太の方針にも反映させることができました。

 参議院選挙後もさらに文化GDPの様々な側面を検討し、新たな提言につなげていきたいと考えています。

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国政報告(第333号)

 通常国会を終え、梅雨晴れの富山で参議院選挙の応援活動に入っています。それに先立ち、2日(木)は東京で県人会の百周年記念式典に出席し、3日(金)に富山に戻りました。4日(土)は第三選挙区女性部総会、5日(日)は党氷見市連総会射水市作道支部総会に顔を出しました。6日(月)、7日(火)と再度上京して残っていた各省庁からのレクをこなした後は、県西部でのあいさつ回りを中心に活動しています。

 消費税増税の平成31(2019)年10月までの延期についての安倍総理の決断については前号で触れました。平成32(2020)年度予算のプライマリーバランス黒字化の財政再建目標は堅持するとのことで、景気浮揚を最重点に、歳出は見合いの歳入に応じて執行していくことが基本になるものとみています。当面、一億総活躍社会実現に向けた、保育士・介護士の給与水準の改善について、安定財源を充てる事が急務です。秋の臨時国会に向けて作業が進む経済対策・公共事業についても、必要な財源の検討が必要です。

 総理は、アベノミクス三本の矢(金融緩和、財政出動、成長戦略)をさらにふかして、国際経済の落ち込みリスクに立ち向かう考えを表明されましたが、その中で私が懸念するのが、日本銀行の「異次元の金融緩和政策」の持続可能性です。日銀は3年前の平成25年春、黒田現総裁の就任とともに、消費者物価上昇率を2%台に押し上げ、我が国経済をデフレ状態から脱却させるため、「異次元の」金融緩和策をスタートさせました。その主力は、国債を年80兆円のベースでの買い入れです。これで、市中にお金をふんだんに供給し、その大半は金融機関の日銀への預金で戻っているものの、長短金利を低めに誘導し、民間企業の投資を促す姿勢を鮮明に打ち出してきました。これと国の補正予算(財政政策)、規制緩和等の成長戦略が有機的に作用し、為替や株の相場を劇的に改善し、景気浮揚と雇用創出、賃金引き上げを実現してきたのがアベノミクスと呼ばれる経済政策です。

 一方、原油を中心にエネルギー価格が思いのほか低迷し、少子高齢化の下で国内消費が盛り上がりづらいことなどを背景に、消費者物価上昇率は0%台前半に留まっています。このため、日銀は「追加緩和」として、今年初めからは「マイナス金利」まで導入しています。この間、日銀の国債保有高は逐次増加し、直近の平成28年5月末では370兆円に達しています。来年5月には450兆円、再来年5月には530兆円、と機械的に計算できるのですが、そのように買い進めば、「国債の中央銀行引き受け」という問題が生じてきます。これでは、国の借金を中央銀行がお札を刷って引き受けている事態と見なされかねず、早晩、日銀の買い入れはストップせざるを得なくなると思います。その際に、「三本の矢」をどのように再構築するのか、政策判断を迫られるタイミングは、消費税引き上げの前に到来してしまうのではないか、この事を心配している所です。この懸念は、5月31日(火)の党政調全体会議で発言しています。来週以降も、この半年の政務調査会での活動を土台に、様々な政策テーマについてお伝えしていきたいと思います。

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